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砂糖細工の船に乗って  作者: 酒田青
第四章 砂糖細工の船
100/100

砂糖細工の船

 砂糖細工の白い船は、今太平洋をゆっくりと北に向かって縦断している。風は緩やかで、赤道直下の太陽は力強い。砂糖が少し焼けて、甘い臭いが船全体に漂う。

 ロビーには藍のドレスを着た絹子がいる。絹子は椅子に座って、ぼんやりと黄色いカナリヤを眺めている。カナリヤの飼い主は絹子に取られてしまったその席を、困ったように見ている。

「あの……」

「何よ」

 絹子が高慢に睨みつける。

 

 四〇一三号室の細長いドアの向こうで、老人は目を閉じていた。夢を見ているかのように。やがて、瞼が開く。老人は高い鼻を動かして、ふう、と息をついた。心地よい夢を見ていたかのように。

「マツコ、私もいつかここを出て行くよ」

 そう呟くと、老人は安心したように目を閉じた。また夢の世界に飛び立つために。

 部屋は再び静けさを取り戻した。

 《了》


 最後までお読みいただきありがとうございました。

 2011.4.10.花木静

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 船を降りてからの松子の家族関係に、最初は混乱してしまいました。同じく登場人物多めの「ぼくアド」では終始混乱なく読めましたので、作者さまの筆力アップをひしひしと感じました。 [一言] 読…
[良い点] 100/100 最後まで読みました~!! ・59話までの鬱展開。 ・60話からの怒涛の展開。 ・そして…… いい話でした。感動しました。今まで読んだ中で一番響きました。 [気になる…
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