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予約の真意

掲載日:2026/05/09

短編です

 大学を卒業してから、レストランを始めて早七年。ワイン好きな俺の、ほとんど趣味みたいな店だけど、存外ワインを好む人は多いのか、店は繁盛していた。

 中でもハヤシダさんは、一、二年前から定期的に予約を取ってくれている、いわゆる常連さんだ。紳士という言葉をイメージして作られたみたいな、いわゆるイケオジのハヤシダさんは、店に来ると必ず次の予約を取ってくれる。その際、必ずワインの年代を希望する。だから仕入れがしやすいんだ。料理はその時の気分やお任せを選ぶけど、メニュー以外の料理を無理に注文するようなこともしない。

 物腰は柔らかで、優しいし、端っこの席で静かにワインを飲む姿は、まるで俳優のようだ。

 今回は1996年もののワインを、との注文が入った。食事は今回はお任せで、との事。ワインも重要だけど、料理にも自信があるんだ。ハヤシダさんがこれから先も足を運びたくなるような店にしたい。

 過去の記録を見ると、ハヤシダさんの予約のメモが出てきた。

 大体三か月に一回、ワインの年代だけにこだわって注文をかけている。

 前回は1998年もの、その前は96年を。過去に4回ほど予約が入っていたけど、大体その辺の年代のワインが多いな。なにかこだわりがあるんだろうか。

 ワインの年代を調べても、特筆してその年代が有名とか、出来が良いとかそう言うことではないが、ハヤシダさんには何かこだわりがあるんだろう。できるシェフは、お客さんの事情に深入りしないモノだよな!

 ハヤシダさんの予約が入った日、相変わらずおしゃれな装いで現れたイケオジのハヤシダさんは、いつもの席に座った。

「いつもありがとうございます」

「こちらこそ、いつも同じ席を準備してくれてありがとう」

 あぁ、やっぱり格好いいなぁ。

「「○○県で起きた連続殺人事件についてです」」

「「被害者の年齢が20代後半から30代に偏っているのが気になりますね」」

「「警察は手口などから同一犯の犯行とみています」」

 テレビのニュースで、長く続いている殺人事件の話題が流れてきた。

「怖いですね、△△市って近いですよね。もう一年かぁ・・・」

「そうだねぇ。・・・・この店は何年経ったかな?」

「えぇっと、7年です」

「七年も!?すごいねぇ・・・。君は今何歳?」

「今年で31ですね」

「そうか、若いねぇ。じゃぁ次は、1995年の君が生まれた年のワインで予約を取っておこうかな」

「ありがとうございます!」

 やっぱりハヤシダさん、何かこだわりを持ってワインを選んでいるんだなぁ。


予約の日が近づいてきたころ、ワインの注文を済ませ、開店準備をしていると、テレビのニュースで速報が入った。

「連続殺人事件の犯人が逮捕されました。犯人の名前は■■・・・・」

 そこに映っていたのは、どう見てもハヤシダさんだった。



——え?——

次の犯行を示唆するメモが見つかったんだって・・・。

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