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忘れないでね

作者: 香坂 そよか
掲載日:2026/03/28

ねぇ、私、ストーカーにあっているの。


私は思い切って彼に相談した。


「いつから?どんな目にあってるの?」


彼の顔に浮かんだ怒りに、私は内心、安心した。

私のために怒ってくれる、その優しさが嬉しかった。


最近のことを話す。

同じ時間、同じ場所で、何度も見かける人がいること。

たまたまかもしれない。でも、どうしても気になってしまうこと。


「気のせいかもしれないよ。でも、心配なら警察に相談した方がいい」


彼はそう言った。


優しい。けど、それじゃ足りない。


次の日、彼と歩いていると——いた。


かれだ。

いつもと同じように、何も変わらない様子で歩いている。


「……あの人だよ」


小さな声で伝えると、彼は少しだけ眉をひそめた。


「すぐにここから離れよう」


そう言いながら私の手を引いて、その場を離れた。


優しい彼に安心感を感じた。


ストーカーのかれについて、せめて名前くらいは知っておきたくて、彼にそれとなく調べてもらった。

彼は少し困った顔をしながらも、結局は教えてくれた。


今度は自分で、しっかり調べた。

帰る時間。

住んでいる場所。

鍵の隠し場所。


少しずつ、少しずつ。


——知っていった。


ただ、ちゃんと知りたかっただけ。



夜、ドアの前に立つ。

鍵はいつもの所にあった。

部屋に入り目を閉じると、かれのことばかり考えてしまう。


ねぇ、忘れないでね。

私のこと。


一生一緒に居ようね。



——約束したのに。


私は今、刑務所の中にいる。


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