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98話 30階層~ 怪しい広場


 朝が来た。


 昨日は、その後レアアイテムの「極上の米」を料理長に渡したら、当人はびっくりしていた。普通の米よりかなり上質な米であることがすぐに分かったようだった。

 さすが料理長、食材の目利きがいい。

 そして、近いうちにお米を使った料理を作ってくれるとのことだ。もちろん"うな重"も作るとのことで、今後が楽しみだ。


 あとは味噌汁があれば最高なんだけどなー。俺はこの世界で18年生きてきたが、未だ味噌を見たことが無い。まあ、醤油のような調味料はあるので、前世の和食に近い味は出すことが出来そうなのでそれでよしとするか。ご飯に焼き魚もいいかもなー。



 おっと、そんなことよりダンジョン攻略のことを考えよう。

 さて、今日のダンジョン攻略は30階層からになる。


 現在の自分のレベルを確認すると、ちょうど380だった。


 実は昨日、アリシアさんから、A級ダンジョンの30階層以降の情報を、少しだけ聞いたのだった。

 その情報は、30階層以降になると、なぜかレベルが上がりづらくなるらしい、というものだった。

 アリシアさんは、先日の休みの日に、王都にいる知り合いの騎士団員の女性に会いに行った。そのときに彼女からその話を聞いたとのことだ。

 ただし、その彼女自身も噂程度にしか知らないとのことで、詳しい情報は冒険者ギルドに聞いてみることを勧められたようだ。


 そのことが気になったので、俺は現在の自分のレベルを確認したのだった。どの程度上がりづらくなるのだろうか。今日は、ダンジョン探索で実際に確認すると同時に、早めに切り上げて冒険者ギルドへ行ってみる予定だ。

 そう言えば、王都に来てからまだ冒険者ギルドの本部に行ってなかったな。


 それはさておき、今まで長期に渡り皆と一緒にパーティを組んで戦ってきたので、皆のレベルもほぼ俺と同じくらいだろう。

 そして、ユニーク装備のおかげで、皆の実質的なレベルは、概ね200レベル分ぐらいは上乗せされているはずだ。つまり500後半くらいといったところだろうか。まだまだ余裕はありそうだ。

 俺は、女神のユニーク装備のおかげで、今では実質レベルは800くらいになっている。



 早速、皆で転移して30階層に入る。

 

 30階層は、かなり広い洞窟になっている。前の29階層は夜の草原だったが、今度は洞窟型だ。

 この階層に来て、何かダンジョンの空気が変わったような気がする。

 うまく表現出来ないが、ダンジョン内に瘴気(しょうき)のようなものが漂っている感じだ。これがレベルが上がりにくい原因なのだろうか。


 しばらく進むと、大きな四つ足の魔物が現れた。頭が二つあり、不気味だ。


―――鑑定―――

オルトロス Lv400

・犬の魔物

・体力、筋力、敏捷が高い

・牙や爪の攻撃に注意

・弱点:やや魔法系

―――――――― 


 レベル400だ。だいぶ敵のレベルも上がってきている。

 オルトロスが咆哮する。上級冒険者でも震え上がりそうな咆哮だ。


 だが俺たちは強い。一斉攻撃で敵を倒す。


 広い洞窟を索敵しながら更に進む。敵を見つけては狩り続け、ドロップアイテムを入手する。


~~~鑑定~~~

オルトロスの牙(素材)

・硬く強い武器素材となる

‥‥‥‥‥‥‥‥

オルトロスの毛皮(レア素材)

・上質な毛皮。

・服、ローブ、マントなど、様々な素材となる

‥‥‥‥‥‥‥‥

オルトロスの爪(ユニーク武器:爪)

・従魔専用武器

・装備時、体力+30、筋力+30、敏捷+20

・攻撃力(AR)16

・攻撃時、麻痺効果(中)

~~~~~~~~


「おお! やっとユニーク爪が出たな!」


 モフの爪の武器は、今までレア物ばかりで、現在は「黄金の爪」というレア武器を装備していた。こちらのユニーク爪の方が、遥かに性能が高い。これでモフも一段と強くなれるはずだ。

 早速、モフの爪の武器を交換する。モフは嬉しそうだ。

 

 また、レア素材の毛皮も高く売れそうだ。


 


 早足で進み、31階層に入る。引き続き、瘴気を感じる大洞窟だ。


 大きな鳥の魔物がいきなり現れた。鷹のような鋭い爪と嘴を持ち、翼を大きく広げている。

 その体は水色に輝いていた。


―――鑑定―――

フロストホーク Lv410

・鷹の魔物

・全般的に能力が高い

・冷気魔法を使ってくる

・嘴や爪の攻撃にも注意

・弱点:やや火・炎

――――――――  

 

「よし! 皆、一斉攻撃だ――」


 俺が言い終る前に、敵がいきなり青白く輝く冷気を放ってきた。


「にゃ…………」

「なっ!……」


 前衛の2人が冷気をまともに浴び、凍り付いた。

 ミーアのしっぽに霜が付いて逆立っているのが見える。


「――狐火!」 


 イナリが無数の狐火で敵を攻撃する。敵は素早く避けようとするが、狐火の数が多い。

 次々に被弾して、フロストホークは、霧となって消えて行った。


 そして、凍り付くミーアとアリシアさんの近くに、狐火をそっと浮かべるイナリ。

 だんだんと2人に張り付いた氷が解けていく。


「……にゃ~…寒かったにゃ~。狐火、暖かいにゃ~」

「うう、凍え死ぬかと思ったぞ……イナリ殿、助かったぞっ!」

  

 ミーアとアリシアさんが復活する。なんとか無事で良かった。皆が羽織っているブルーフェンリルのマントは寒熱耐性が高いので、だいぶ冷気は抑えられていたようだ。

 しかし、奇襲には気を付けないといけないな。


 その後、俺たちは感知スキルをしっかりと使いながら、敵の奇襲に備えた。念のため、イナリが火魔法の「炎のヴェール」を皆に張ってくれる。

 こうして、敵の奇襲が来る前に先制攻撃をしながら、フロストホークを狩りまくるのだった。 

 

~~~鑑定~~~

フロストホークの嘴(素材)

・硬く強い武器素材となる

‥‥‥‥‥‥‥‥

フロストホークの羽毛(レア素材)

・寒熱耐性のある羽毛

・服、ローブ、マント、寝具など、様々な素材となる

‥‥‥‥‥‥‥‥

フロストリング(ユニークアクセサリー:指輪)

・装備時、全能力値+10

・付与スキル:冷気魔法Lv4

・寒熱耐性(中)

・魔力回復(中)

‥‥‥‥‥‥‥‥

女神のフロストリング(ユニークアクセサリー:指輪)

(同上)

・空間ソケット《1》

~~~~~~~~


 今回のユニークアイテムは指輪だ。能力値や付与スキルが素晴らしい。冷気魔法が付与されているアイテムは初めてだ。しかもすでにレベル4だ。これはかなり使えそうな指輪だ。


 今現在、指輪はすでに6つ装備している。

 指輪は6つまでしか装備出来ないので、今回外す指輪は「黒炎の指輪」だ。これはC級ダンジョンのユニーク指輪で、すでに装備している「暗黒の指輪」の完全に下位の指輪なので、早速フロストリングに替える。

――――――――――――

黒炎の指輪(ユニーク指輪:C級産)

・装備時、魔力+10

・付与スキル 火魔法Lv2、闇魔法Lv2

・魔力回復(小)

――――――――――――

暗黒の指輪(ユニーク指輪:A級産)

・装備時、魔力+50

・付与スキル 火魔法Lv4、闇魔法Lv4

・魔力回復(大)

――――――――――――


 これで装備しているユニーク指輪の6つがすべて高性能の物になった。俺は満足する。




 ――32階層に入る。

 ここは比較的狭い洞窟になった。そのまま真っすぐに進む。相変わらず瘴気のようなものが漂っている気がする。なんとなく不気味だ。


 しばらく歩いたが特に魔物が現れてこない。


 更に進むと、狭い洞窟が広がり円形の広場みたいな所に出た。広場の先には再び狭い洞窟が続いている。


 ふむ。なんだろうな。


「にゃ~お腹すいたにゃ~」

「わらわもじゃ~」

「トール、ちょうど広場があるし、ここで昼の食事にでもしない?」


「そうだな、そうするか。もう昼をとっくに過ぎたようだしな」


 俺たちは広場の真ん中辺りまで進む。


 そして、スライムシートを地面に敷き、弁当を取り出そうとしたその瞬間だった――。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!


 地面が、激しく揺れ急にへこんだ。宙に浮いた感覚があった。


 ドシン ドスン ドン――。


 気が付くと、皆一緒に大きな落とし穴に落ちたようだ。周りは薄暗い。かなり広い地下の部屋のようだ。


「い、痛たたー!」

「にゃあ! 急に地面の底が抜けたにゃー!」

「また尻もちついたのじゃー」



 モフがライトボールを浮かべた。

 周囲が明るくなり、この広い地下部屋の全貌が明らかになる――と同時に、皆が驚愕の表情を浮かべた。


「――なっ! なんだこれは!」

「にゃ! 魔物がうようよいるにゃー!」

「きゃあああ!」

「あっ! あわわわ!」



 大部屋に無数の魔物がひしめきあっていた。



「も、モンスターハウスだ!!」


評価およびブックマークいただきありがとうございました。また、たくさんのリアクションをいただきありがとうございました。

散歩をしてたら、桜が咲いてました。

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