92話 ミスリル取得、そして25階層へ
「ミスリルゴーレムだ!!」
俺は叫ぶ。
「み、ミスリル!」
「にゃっ! ミスリルかにゃ!?」
「も、もしかしてミスリルをドロップするかも!? ですっ!」
シャンテの目が怪しく光る。
皆で一斉に攻撃する。敵のレベルは300だがかなり硬い。
一般的にミスリルの鎧は、防御力(DR)17ほどと言われている。
しかし前衛のメンバーの武器の攻撃力(AR)もそれに匹敵するかそれ以上の武器を装備しており、更にこちらの筋力が高いので攻撃は通る。特に俺とミーアの装備している魔剣ラーフィンは、ARが22もあるので余裕だ。
「おおおお!!」
「にゃにゃにゃにゃああー!!」
俺とミーアが中心となってミスリルゴーレムを撃破する。
モフも猫爪で、ミスリルゴーレムに有効な攻撃を与えている。感覚で探ると、猫爪スキルがいつのまかレベルが6に上がっていた。そしてなにか硬い物質を破断するスキルを持っているようだ。
~~~鑑定~~~
ミスリル鉱石(素材)
・硬く魔力伝達のよい鉱石
・ミスリルの純度は低め
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ミスリルのインゴット(レア素材)
・高純度のミスリル
・武器防具等、いろいろな素材に使われる希少な素材
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「おお! ミスリルが手に入った!」
「トールさん、やったのですー!」
こうして、予期せずいいタイミングでミスリルが手に入ったのだった。特にレア素材のインゴットは使いやすそうだ。
更にミスリルゴーレムを探し、狩り続ける。
効率よく狩る為に、剣術スキルを使用する。
剣術派生スキル――鉱破斬(鉱物系統の硬い敵に特効)
ユニークアイテムが出る。
~~~鑑定~~~
ミスリルゴーレムの腕輪(ユニークアクセサリー:腕輪)
・装備時、体力+30、魔力+30、筋力+30
・付与スキル 土魔法Lv5
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女神のミスリルゴーレムの腕輪(ユニークアクセサリー:腕輪)
(同上)
・空間ソケット《1》
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「ミスリルゴーレムの腕輪」も、かなりいいアクセサリーだ、今まで装備していた「土の腕輪」の完全上位版だ。
せっかくなので、しばらくミスリルゴーレムを狩り続け全員分の腕輪を手に入れる。その過程で大量のミスリルが手に入った。
パスカルさんへのお土産ができてよかった。それにしても希少なミスリルがたくさん入ったのだ。俺たちのパーティー資産もうなぎ上りだ。
少し休憩した後、次の階層へ向かう。
21階層――闇の鑑定士(Lv310)
~~~鑑定~~~
黒の鑑定眼鏡(ユニークアクセサリー:顔)
・付与スキル 物品鑑定Lv3
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なんか黒縁のメガネが出てきた。効果は物品鑑定のみだ。アイテム管理をしているシャンテに渡す。
「わわっ! アイテムの詳細が見えるのですよー! これはすごいのです~」
「にゃ~、シャンテが賢く見えるのにゃ~」
黒縁メガネが意外と似合うシャンテ。理知的な秘書のように見える。
更に下層へ進む。
22階層――光風の弓士(Lv320)
23階層――ガーディアンナイト(Lv330)
24階層――ハイリッチ(Lv340)
~~~鑑定~~~
ウィリルーシル(ユニーク武器:弓)
・攻撃力(AR)16
・装備時、筋力+20、魔力+30、敏捷+40
・装備時、弓術Lv+2
・貫通効果(大)
・矢に強力な光と風の力を纏わせる。
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聖剣ルナレス(ユニーク武器:剣)
・攻撃力(AR)20
・装備時、全能力値+22
・剣術Lv+1
・光属性を持つ
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暗黒の指輪(ユニークアクセサリー:指輪)
・装備時、魔力+50
・付与スキル 火魔法Lv4、闇魔法Lv4
・魔力回復(大)
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更にユニークアイテムの性能が上がってくる。
エミリーとミレアの弓、俺とリン、ミーア、アリシアさんの剣を更新する。
暗黒の指輪は魔力が50も上がるので、ハイリッチを倒しまくり、全員分用意する。
今回特に注目する魔石はガーディアンナイトの魔石とハイリッチの魔石だ。
今の段階では、俺の女神の装備ソケットに入れるメインの魔石は、ガーディアンナイトの魔石になる。魔力特化にしたい場合はハイリッチの魔石を入れることになるだろう。
~~~鑑定(ソケット効果)~~~
・ガーディアンナイトの魔石(全能力値+6)
・ハイリッチの魔石(魔力+30)
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敵のレベルもかなり上がって来たので、俺たちのレベルも徐々に上がっていく。
24階層の転移陣を解放して、更に進む。
25階層に入ると、広い場所に出た。
ダンジョンの中に湖があった。地底湖のようだ。
水中に、細長い蛇のような姿がたくさんうごめいて見える。
―――鑑定―――
エレキスイール Lv350
・うなぎの魔物
・強力な雷を放ってくる
・雷耐性を持つ
・弱点:斬撃等物理攻撃
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「う、うなぎの魔物!?」
「ミーアが行くにゃ!」
ミーアが武器をユニーク斧槍に持ち替えて、湖の近くまで突入する。しかし、水中から眩しい電撃が発しミーアに直撃する。
「ぎにゃにゃにゃああああああ!!」
ミーアが痺れて倒れる。しっぽからぷすぷすと煙が上がっている。
「「「み、ミーア!」」」
「だ、大丈夫か!?」
シャンテが網の糸を出して、ミーアをこちらまで引き寄せる。
「にゃ~…しっぽが焦げたにゃ~……」
なんとか無事だったようだ。どうやら湖に近づきすぎると電撃を放ってくるようだ。
エミリーとミレアが一斉に、遠くから新しいユニーク弓を使って水中のうなぎの魔物の群れに向かって、連射する。
リンが、土魔法のスキル、魔鉱の槍を連続で飛ばす。
「ギャギャギャギャアアアア!!」
水しぶきが盛大に上がり、そのうなぎの魔物の群れが水中で一斉に霧になる。
ドロップアイテムが水面に大量に浮かぶ。
すかさずシャンテが網の糸を出して、ドロップアイテムをすべて回収する。
~~~鑑定~~~
うなぎ肉(食材)
・非常に美味
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極上のうなぎ肉(レア食材)
・とろけるような美味しさ
・蒲焼などにすると更においしい!
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雷電の指輪(ユニークアクセサリー:指輪)
・装備時、魔力+30、敏捷+10、精神+10
・付与スキル 雷魔法Lv3
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「トールさん! うなぎ肉が大漁ですよっ! それにすごい指輪も!」
シャンテの黒縁メガネが光る。
雷電の指輪。初めて雷魔法なんて魔法が出てきた。なんだか凄そうだ。能力値向上も素晴らしい指輪だ。
それにレアアイテムは、極上のうなぎ肉だ! 大量にある。これは蒲焼にしたら美味しそうだ!
「よし! 今日はここまでにして、これからうなぎの蒲焼パーティーだ!」
こうして俺たちは湖から少し離れたところで、焚火を炊いて極上のうなぎ肉の蒲焼を作る。リンの料理スキルも自然と上がって、今はレベル4になっている。
そういえば朝食のあと、なにも食べてなかったな。皆お腹がすごく空いているようでちょうどよかった。
極上のうなぎ肉の蒲焼が出来上がった。
「にゃ~極上のうなぎ肉はすごく美味しいにゃ~」
「ほっぺたが落ちる美味しさなのじゃ~」
「お、美味しすぎるぞっ!」
「ミレアもこれ大好き!」
「はぁ~しあわせ~」
皆、呆けるような幸せな顔をして、一心に食べている。確かにとろけるような美味だ。
焚火の明かりが地底湖の水面を照らす。
幻想的な風景を眺めながら、俺たちは極上のうなぎ肉に舌鼓を打つのだった。