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91話 スマーフォの開発者


 朝が来た。


 昨日に引き続きA級ダンジョンの攻略を進めようと思う。


 いつものようにメイドさんに案内され、皆で朝食をいただきに食堂に向かう。

 ブランダさんやエレナさんも食卓についていて、一緒に朝から豪華な食事をする。


 いつものようにブランダさんを中心に雑談をしながら食事をする。


「そういえば、皆はまだ私の父に会ってなかったな。名をパスカルと言い、シャンテの祖父にあたるのだが。まあ、スマーフォの開発研究に夢中になってて、今も別邸で朝からいろいろと実験をしているようだ。もしよかったら一度会ってみてはどうだろうか」


「お父様~。それはいいかもしれないですねぇ~。実はスマーフォの部品素材に役立つかもしれないアイテムがあるのですよぉ~。おじい様に見せてみようと思うのです」


 シャンテが言う。


 ん……なにかあったっけ? 昨日のドロップアイテムの詳細はシャンテが記録してまとめてくれているので何か利用できるものがあるのかもしれない。

 ちなみにシャンテには「もふ猫のポーチ」を与えていて、在庫管理も任せている。



 こうして俺たちは、ダンジョンに行く前に、シャンテの祖父であるパスカルさんの別邸に行ってみることにした。その別邸は敷地内にあるので、すぐに着く。

 シャンテの案内で、別邸に入りパスカルさんの仕事部屋に入る。


 部屋に入るとそこは金属製の部品が散乱していた。まるでガラクタ置き場のように見える。

 部屋の奥に大きい作業台があり、そこでかなり年配の男性が熱心に機械の部品のような物を手にし作業をしているようだ。


「おじい様~。シャンテが戻ってきましたよぅ~」


「……ん? ……お、おう! シャンテか! 久しぶりじゃのう~! よく戻ってきた。……ん? そちらの人たちは?……」


「私のパーティー仲間ですよ~。今、一緒にダンジョン攻略をしてるのですよ~」


 こうしてシャンテはパスカルさんに俺たち一人一人を紹介した。


「なるほどのう~。シャンテがパーティーを組んで冒険か……。わしももっと若ければダンジョンで希少な素材を探したいのじゃが、もうこんな歳なので無理じゃ。残念じゃのう……」


「ところで、おじい様~、A級ダンジョンでちょっと珍しい素材が手に入ったので見てみますかぁ~」


「なにっ! シャンテ! 早く見せるのじゃ!」


「は~い、これですよぅ~。……どんな感じですか~? 使えますかねぇ?」


――――――――――

銀の魔鉱石(ユニーク素材)

・特殊な魔鉱石

・あらゆる金属系の素材として有効

・錬金素材としても有効

――――――――――


「ふむ、――なっ! こ、これは! こんな素材、見たことないぞ! こ、これを使えば……あるいは……!?」


 パスカルさんはシャンテが渡した、メタルスライムのユニークアイテムを見て興奮している。


「これは新種の金属素材じゃ! わしのスキルが反応しておるぞ! ……ふむ、これと高純度のミスリルを合金すれば……もしかすると……いけるか!?」


 パスカルさんは俺たちには良く分からないことを独り言のようにつぶやいている。恐らくスマーフォの開発に役立つ物なのだろう。



 パスカルさんの話では、現在スマーフォの通信可能距離を伸ばすことを当面の目標にしていて、そのためには魔力伝達をスムーズにする素材が必要とのことだった。そしてこの「銀の魔鉱石」はそれを可能にする素材とのことらしい。

 また、より性能を上げるには純度の高い"ミスリル"と合わせて、合金にするとよいとのことだった。ミスリルは希少な素材で、高純度にするには、かなりの量のミスリル鉱石が必要らしい。

 

 ちなみに、通信距離を伸ばした後に、映像機能などの搭載も考えているとのこと。また、スマーフォからホログラムのような、宙に大画面の映像を映す機能などの開発も視野に入れているらしい。凄い向上心と発想だ。さすが大商会の礎を築いたお人だ。


 なんだか、前世でのテレビやパソコン、映写機などを想像してしまう。そのうち、ダンジョン配信とか出来ることになるかもしれないな。



 まあ、専門的なことは良く分からないが、とりあえずスマーフォの性能を上げるにはこの「銀の魔鉱石」とミスリルが大量に必要になるらしい。

 とりあえず、「銀の魔鉱石」については、A級ダンジョンの1階層のメタルスライムを狩ればいくらでも手に入る。必要とあれば追加で入手するかな。あとは、ミスリルかあ……。これはどこで手に入るのだろうか……。



「いやー、貴重な素材をありがとう! これで開発が一歩前進できそうだ!」


 喜ぶパスカルさん。


「また、なにか役に立ちそうな素材が見つかれば持ってきますね」


 俺はそう言って、パスカルさんと別れて皆でダンジョンに向かった。

 

 



 昨日は12階層まで攻略した。引き続き今日は13階層から攻略を始める。


 13階層に入り、しばらく進むと巨大な蜘蛛の魔物が現れた。銀色に光っている。


―――鑑定―――

シルバースパイダー Lv230

・強力な魔力を持つ糸を飛ばす

・糸の絡めてに注意

・鋭い牙や尖った足にも注意

・弱点:特になし

――――――――  

 

 シャンテの目が怪しく光った。


「トールさん! 蜘蛛ですよっ! 蜘蛛っ!」


 シャンテは蜘蛛の魔物が現れると喜ぶ。新種の糸のドロップを期待しているようだ。


 皆で一斉攻撃して倒す。

 

 そしてユニークアイテム2種類が出るまで狩り続ける。


~~~鑑定~~~

銀蜘蛛の糸(素材)

・魔力が込められた上質の糸、裁縫用

‥‥‥‥‥‥‥‥

銀蜘蛛の牙(レア素材)

・武器素材として有能

・強い魔力が込められている

‥‥‥‥‥‥‥‥

白銀の魔力糸(ユニーク武器・素材)

・強い魔力が込められた強靭な糸

・非常に強力で優秀な糸

・攻撃用の糸、または裁縫などの素材用の糸としても用いられる

・闇属性の魔物に対して特に有効

‥‥‥‥‥‥‥‥

女神の白銀の魔力糸(ユニーク武器:素材)

(同上)

・空間ソケット《2》

・素材としてつかう場合はソケットを空にしなければならない

~~~~~~~~


「トールさん! 新種の糸が出たのです!」 


 新たなユニーク糸が出た。しかもレベル230の魔物からだ。シャンテは大喜びだ。

 シャンテは目を輝かせながら、もふ猫のポーチに回収する。


「この糸があれば、更に強い冒険者服を作れそうですよぉ~。後でいろいろと試してみますね~」


 おお~それはいいな。

 そう言えば前回作ってもらった冒険者服に使用したユニーク糸は、C級ダンジョンの物だったので、こちらの糸の方が格段に性能がいい。服を新調するにはいい機会かもしれないな。きっとシャンテのことだ。素晴らしい服を全員分作ってくれるに違いない。

 それに、ラーフィンのレアアイテムである「ラーフィンの毛皮」もある。これも裁縫素材として使うと凄い性能のものが出来そうだ。いろいろと期待感が高まる。


 更に下層階へとどんどん進む。途中の敵を倒しながらユニークアイテムおよび女神のユニークアイテムを得たら、次の階へ進む。

 基本的にアイテム回収はモフに、記録はシャンテに任せている。女神のユニークアイテムと魔石に関しては、俺が回収することにする。



 15階層は、以前フォレスタの街の東門で倒したオークジェネラル(Lv250)が現れた。なぜかお供に2体のハイオークを従えていた。


~~~鑑定~~~

(オークジェネラルのユニークアイテム)

ブラックハルバード(ユニーク武器・槍斧)

・攻撃力(AR)18

・装備時、体力+30、筋力+40

・追加黒炎攻撃(中)

‥‥‥‥‥‥‥‥

(ハイオークのユニークアイテム)

エロリィナイト(夜の悦び)EX(ユニークアイテム:消耗品)

・強力な精力増強剤

・エロリイナイトの上位版

・催淫効果(特大)

・使用には要注意!

~~~~~~~~


 おおう……ハイオークのユニークアイテム……。かなりやばそうだな……。


「ええと、15階層、虹色アイテム。大きい豚さんみたいなのは、長い斧みたいな武器で、中くらいの豚さんみたいなのは…ポーション? のような小瓶で……」


 シャンテがブツブツつぶやきながら記録していっている。


「シャンテ……その小瓶は扱いには要注意な……」

「はい? 了解ですぅ~」



 17階層は、以前フォレスタの街の南門で倒したサキュバスクイーン(Lv270)が現れた。


~~~鑑定~~~

クイーンズイナレス(ユニークアクセサリー:耳)

・装備時、魔力+10、精神+50

・付与スキル:魅了Lv3

・魅力上昇(大)

~~~~~~~~


 19階層は、以前フォレスタの街の北門で倒したオーガジェネラル(Lv290)が現れた。


~~~鑑定~~~

インドラス(ユニーク武器・大剣)

・攻撃力(AR)19

・装備時、体力+20、筋力+50、敏捷+20

・クリティカルが出やすい

~~~~~~~~


 ユニークアイテムの性能がぐんぐん上がってくる。武器の方はミーア用だな。



 そして20階層に入った。更に階層内が広くなる。


 遠くに巨大なゴーレムのような人型の魔物が、大地に足を響かせながら歩いている。




―――鑑定―――

ミスリルゴーレム Lv300

・強力な腕力と体力を誇る

・体が非常に硬く防御力が高い

・物理攻撃、魔法攻撃共に効きづらい

・弱点:特になし

――――――――  


「ミスリルゴーレム!!」


 俺はその銀色に輝く巨体に目を見張った。


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