73話 B級ダンジョン下層階の攻略
領都が魔物に囲まれた日から幾日か過ぎ、とうとう新月から数えて10日目となった。
満月の夜まで後5日だ。
俺たちパーティーは引き続きB級ダンジョン攻略を進めていく。
21階層にやって来た。
ここでは人型の魔物が現れた。漆黒のフードマントに包まれ、手に杖を持っている。
―――鑑定―――
リッチ Lv100
・魔法使いの魔物
・火魔法や闇魔法で攻撃してくる
・魔力がかなり高い
・魔法耐性が高い。
・弱点:光系統
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ついにレベル100の魔物が現れた。
「にゃ~! 魔法使いみたいだにゃ~!」
「杖を持ってるのじゃ~! 欲しいのじゃ~」
光系統が弱点のようだ。せっかくなので、モフの光魔法を中心に攻撃することにする。モフのスキルは、沢山使用することによってレベルが上がるのだ。モフは、ライトボールなどを連発して積極的に光魔法を使う。
シャンテも操糸術や飛針術を使い、上手くサポートしている。
皆の実質レベルも高いので問題なく倒せる。
こうしてリッチを狩り続けていると、モフの光魔法のレベルが一つ上がったようだ。ついにモフの光魔法のレベルが5になる。いい傾向だ。
いつものようにユニークアイテム2種類を入手した時点で、ドロップアイテムをまとめて鑑定する。
~~~鑑定~~~
闇の珠(素材)
・上質の錬金素材
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漆黒のフードマント(レア防具)
・防御力(DR)5
・装備時、魔力+8
・炎、闇耐性(中)
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マギカレイマス(ユニーク武器:杖)
・攻撃力(AR)4
・装備時、魔力+25
・炎および闇の攻撃効果+10%
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女神のマギカレイマス(ユニーク武器:杖)
(同上)
・空間ソケット《2》
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ついに杖のユニークアイテムが出た。
以前、イナリが魔力の上がる杖を欲しがっていたが、この杖は申し分ない能力だ。しかもイナリの得意とする炎の攻撃が上昇する効果も付いている。
「やったのじゃああ!! 凄い杖なのじゃああ!」
イナリに渡すと、またしても狂喜乱舞していた。片手に火炎孔雀の扇、もう片手にこのユニーク杖を持ち、はしゃいでいる。
両方の効果を合わせると、火炎の攻撃が3割も増すことになる。これは凄いことだ。炎攻撃はイナリにお任せだな。
マギカレイマスは、かなり魔力が上がるので、エミリーとミレア用にも欲しいものだ。また、ガイたちのパーティーの魔法使いであるメイや、新しく加わった回復術師の女性にも贈りたいものだ。
俺も魔法攻撃をする時には、女神のマギカレイマスに装備を変更するのもいいかもしれない。ソケットにはもちろん魔力が一番上がる魔石を2つ入れるつもりだ。
その後、リッチを狩りまくり、更に4本ほど入手した。
次は22階層だ。
ここでは大きな白い蜘蛛の魔物が現れた。8階層に現れるキラースパイダーより更に大きく獰猛そうな蜘蛛だ。
「にゃあ~、不気味だにゃ~」
「ほんとね、なんだか寒気がするわ……」
「こ、これは――!」
―――鑑定―――
ホワイトスパイダー Lv105
・強靭な蜘蛛の糸を飛ばす
・糸の絡め手に注意
・噛みつき攻撃にも注意
・光属性を持つ
・弱点:炎・闇系統
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シャンテの目が怪しく光っている。
「トールさん! 蜘蛛ですよっ! 蜘蛛っ!」
「お、おう。そうだな、蜘蛛だな……」
そうか、シャンテは新種の糸が欲しいとかなんとか言っていたな。
以前、キラースパイダーのレア糸を渡したことがあったが、その時も結構興奮していたな。ユニーク糸が出ることを願いつつ俺は叫ぶ。
「よし! みんな! シャンテの為に狩りまくるぞ!」
「「了解!」」
そしてホワイトスパイダーを皆で狩まくる。
糸の絡めてが厄介なので、一気に皆で瞬殺する。特に火炎攻撃がかなり上昇したイナリの活躍が大きかった。
虹色の光が何度か見え、ユニークアイテムを幾つか落としたところで、まとめて鑑定する。
~~~鑑定~~~
白蜘蛛の糸(素材)
・上質の糸、裁縫用
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白蜘蛛の牙(レア素材)
・武器素材として有能
・光属性を持つ
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マリオネーラ(ユニーク武器・素材)
・光の魔力が込められた輝く糸
・非常に強力で優秀な糸
・攻撃用の糸、または素材用の糸としても用いられる
・闇属性の魔物に対して特に有効
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マリオネーラ(ユニーク武器:素材)
(同上)
・空間ソケット《2》
・素材としてつかう場合はソケットを空にしなければならない
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「トールさんっ! この糸は! 新種の糸です!! すごい、です!」
シャンテの目がキラキラして、興奮している。
シャンテによると、このユニーク糸の塊は1つでかなりの量があり、素材として使う場合も1つでかなりの量の服が作れるようだ。もちろん攻撃用の糸としても非常に優秀とのことだ。
せっかくなので、皆で更に狩り、合計6つほど入手する。
シャンテは新種の糸をたくさん抱えて大喜びだ。
良かったなシャンテ。皆は微笑ましい目でシャンテを見ていた。
昼時になったので、転移で一旦ダンジョンを抜け出し、ギルド内の酒場に飛ぶ。ここのお任せ定食は美味い。皆でワイワイとはしゃぎながら昼食を取る。ミーアとイナリは定食をお代わりしている。なんかこういうのも楽しいな。テンションが上がる。
再びダンジョン攻略を再開する。
次は23階層だ。
ここでは、巨大な人型の魔物が現れた。15階層に出現したオーガに似ているが、更に一回り大きくかなり強そうだ。
―――鑑定―――
ハイオーガ Lv110
・体力と筋力に特に優れる
・攻撃力は特に高い
・弱点:特になし
・体は硬く物理攻撃は効きにくい。
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レベル110。更に上がる。
しかし今の俺たちは無敵だ。皆で一斉攻撃をかけ瞬殺する。
しばらくハイオーガを狩り続けて、ユニークアイテムを2種類入手したので、まとめて鑑定する。
~~~鑑定~~~
ハイオーガの角(素材)
・上級の武器素材
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オーガの大剣(レア武器)
・攻撃力(AR)12
・装備時、体力+8、筋力+8
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グラムス(ユニーク武器:大剣)
・攻撃力(AR)17
・装備時、体力+15、筋力+20
・攻撃時、クリティカル効果(中)
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女神のグラムス(ユニーク武器:大剣)
(同上)
・空間ソケット《2》
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今度は大剣のユニーク武器だ。ARはついにミスリルの大剣と並んだ。そして能力上昇が凄い。完全に脳筋タイプの大剣だ。
「にゃあ~! 大剣だにゃ~! 欲しいにゃ!」
ミーアが欲しがってるのであげることにする。というか完全に前衛のミーア向きの大剣だ。ミーアは大剣フラマニゲルスを持っているが、どっちを使っても良さそうに思える。
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フラマニゲルス(ユニーク武器:大剣)
・攻撃力(AR)15
・装備時、体力+10、筋力+15、敏捷+10、
・追加攻撃、黒炎(中)
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「にゃ~! 大剣の二刀流だにゃ~!」
ミーアを見るとその2種類の大剣をそれぞれ片手に持ち、二刀流にして器用に素振りをしている。
恐ろしい……。普通大剣は両手で持つ武器のはずなのだが……。なにかミーアには特別な才能があるようだ。ますます、脳筋に拍車がかかったようだ。
さて、いよいよ最下層の24階層だ。
俺たちは高揚しながら、最下層に踏み込む。迷宮主を除き、B級ダンジョンの最後の敵を相手にする。
早速出て来た。
人型の魔物だ。剣をそれぞれの片手に持っている。二刀流だ。12階層の「暗黒の騎士」と姿は似ているがこちらの方は更に体格が良く、銀色に輝いている。
―――鑑定―――
守護者 Lv120
・剣技に長けている
・全般的に能力が高い
・光属性を持つ
・弱点:特になし
・物理・魔法共に攻撃は効きにくい。
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レベル120。これが最下層を守る魔物か。
だが、俺たちは遥かに強い。何時ものように一斉攻撃で瞬殺し、狩りまくる。
ドロップアイテムを鑑定する。
~~~鑑定~~~
白銀の兜(防具)
・防御力(DR)7
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白銀の鎧(レア防具)
・防御力(DR)10
・装備時、体力+9、筋力+9
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聖剣アウローラ(ユニーク武器:剣)
・攻撃力(AR)15
・装備時、全能力値+10
・剣術Lv+1
・光の追加攻撃(中)
・光属性を持つ
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女神の聖剣アウローラ(ユニーク武器:剣)
(同上)
・空間ソケット《2》
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「おお!! 素晴らしい!」
これは今までで最高の剣だ。ARはミスリルの剣と同等にまで高い。そして全能力値+10は凄い効果だ。しかも剣術のレベルが1つあがるのも素晴らしい。光の追加攻撃・属性などまさに聖剣といった感じだ。
「トール殿! その剣は凄そうだ! 私も欲しいぞっ!」
アリシアさんが興奮して食いついてくる。俺はアリシアさんに剣を渡す。
「おおお! 力が湧いて来たぞっ! しかも剣術のレベルが上がったようだ!」
アリシアさんは、うっとりとした表情で、その光輝く美しい剣を掲げて一心に見ている。
ミーアやリンも興味を持ったようなので、狩りを再開して幾つか入手する。
この剣は騎士団長のリドルフさんにも贈りたいものだと思う。きっと喜ぶに違いない。
こうして俺たちはついにB級ダンジョンの24階層を制覇し、残るは迷宮主との戦いのみとなった。
下層階は広いので、ここまで来るのに意外と時間がかかったな。
「さて、今日の攻略はここまでにするか。次はいよいよ迷宮主戦だな」
俺たちは、迷宮主のいる奥の方を見つめながら、転移してダンジョンを後にした。
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