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66話 C級ダンジョン攻略 再び


 朝が来た。


 先日は、メアリさんたちに杖の製作依頼をし、シャンテをパーティー仲間にした。


 その後、「満月花」の花びらをメアリさんに渡しに行った。

 また、リンは満月花を家庭菜園に植え替えたり、世界樹の実からなぜか種が出て来たので、それを庭に植えたりして過ごしていた。


 俺はエミリー、ミーア、イナリと一緒に、B級・C級両方のダンジョンに入り、必要なユニークアイテムを可能な限りかき集めた。

 彼女たち3人は俺よりレベルが低かったが、王都滞在時代にすでにC級ダンジョンはクリアしている。今回ユニーク装備で一緒に狩りをするうちにだいぶレベルも上がって来たように思う。



 そして、本日。

 いよいよミレアとリン、シャンテのC級ダンジョン攻略を開始することとなった。

 C級ダンジョンの迷宮主(ボスモンスター)を倒して完全攻略しなければ、B級ダンジョンに入れない為である。


 すでにC級ダンジョンを攻略している他のメンバーも全員付き添いで参加する。

 メンバーは、8人と1匹。

 ミレア、リン、シャンテ。エミリー、ミーア、イナリ。アリシアさん、俺とモフだ。


 俺は思う。このメンバーが今後の鍵となるに違いないと。


 次の満月の日までに、皆で更なるユニークアイテムを得ながら、B級ダンジョンを制覇し、限界までレベルを上げるのだ。


 そして籠城戦においては、遊軍となり、状況を見ながら戦うことになる。このことは、すでに男爵から許可をもらっており、すべて俺とアリシアさんに任せるとのことだった。


 そして真の目的は、魔物を率いる敵の親玉を倒すためのメンバーだ。恐らく高位魔族が現れることだろう。

 俺たちは影のエースキラーとして、来るべきときに備え密かに力をつけることを決意している。


――――――――――――


リン 15歳

Lv30

体力:30+50

魔力:30+30

筋力:30+50

敏捷:30+30

精神:30+15

幸運:30+5


SP:32


スキル:剣術Lv1、体術Lv1、火魔法Lv1、風魔法Lv2、水魔法Lv1、土魔法Lv3、夜目Lv3、感知Lv3


生産スキル:料理Lv1、家庭菜園Lv1、植物採集Lv1、裁縫Lv1


???スキル:???


【装備品】

 武器(右手):フレイムソード

 武器(左手):パラライズファング

 防具(頭) :もふ猫のフード

 防具(体) :アルマテトラ

 アク(頭) :風のリボン

 アク(首) :キャッツアイ

 アク(腕) :銀熊の腕輪

 アク(腕) :土の腕輪


―――――――――――― 


 現在のリンの能力と装備品はこんな感じだ。レベルは30だが、実質的なレベルは70はあるように思う。


 ミレアやシャンテにも、武器はそれぞれ違うが、防具に関しては概ね同じようなユニークアイテムを装備してもらっている。他の皆も、抜けはあるが、現在入手可能なユニーク装備を複数装備してもらっている。


 おそらく他の皆も、装備品により実質的なレベルはリンと同等かそれ以上に違いない。

 

 ちなみにシャンテの武器は、「ブリンジャル」という(ムチ)のユニーク武器だ。以前B級の4階層のトゲナスビーから入手したもので、中距離攻撃が出来、激痛効果などが付与されている。


 装備品でかなりブーストされた能力を皆が持っているので、反則級の8人パーティーだ。

 だが、もっともっと強くならなければいけない。さあ、手始めにC級の迷宮主を倒しに行こう。



 すでにC級ダンジョン自体、格下の魔物ばかりなので、基本的に一直線に最下層まで進んで行く。


 途中、4階層でキャタピルやバタフルを皆で瞬殺して、シャンテが欲しがっていたユニーク糸「シルスレッダ」や風のリボンなどを幾つか確保する。


「と、トールさんっ! これは凄いのです! こんなに希少なアイテムがボロボロ落ちるなんて……」

「そ、そうだな……普通はこんなにドロップしないぞっ! しかもこれがユニークアイテム……こんなドロップの仕方は見たことないぞ」

「トールとパーティー組めば、ドロップアイテムがウハウハなのじゃ~」



 6階層の転移陣を解放し、更に下層へ進む。


 8階層では「銀熊の腕輪」、9階層では「バトルブーツ」、10階層では「黒炎の指輪」、11階層では「コラプトゲンマ」(指輪)などのユニークアイテムをそれぞれ幾つか取得しながら、進む。特に8階層の「銀熊の腕輪」は多めに確保した。体力が15、筋力が10上がる優れものだ。


 その後、12階層にたどり着き、転移陣を解放する。


 8人で魔物を瞬殺しながら、有り余る体力と速足で進軍していったので1日で辿り着いた。

 ミレア、リン、シャンテのレベルも更に上がったようだ。

 シャンテは当初はレベルが20だったが、ここに来るまでにかなりの魔物を倒したため、ほぼリンやミレアに追い付いて来ていることだろう。


 しばらく転移陣の近くで食事休憩を取った後、階層の最奥に進むと、大きな扉に行き当たった。ボス部屋への扉だ。


 実は俺はこのボス戦に少し期待をしていた。


 C級ダンジョンの迷宮主(ボスモンスター)はアイアンゴーレム(Lv35程度)だが、前回俺とモフは迷宮主のイレギュラーに会い、レベル70のキングラビットと戦う羽目になったのだった。

 あの時は、俺とモフの二人だけで挑み、しかも俺とモフは30に満たないレベルだった。そしてユニークアイテムはある程度装備していたが、まだ十分でなかったため苦戦した。


 今のメンバーなら人数も多く、ほぼ全員のユニーク装備が充実しているので、レベルはそれほど高くはなくても、皆実質的なレベルはかなり高い。イレギュラーがあっても十分余裕を持って倒せると予想していた。

 

 ならば迷宮主のイレギュラーが起こった方が、逆に都合が良い。

 前回の俺とモフのように一気にレベルが上がり、ボーナスSPも得られ、更に貴重なユニークアイテムなども入手できるチャンスだからだ。


 俺は、皆に迷宮主のイレギュラーの件を事前に伝えてある。レベル70程の迷宮主が出る可能性があるということを。

 

 皆は各自、思い思いにステータスを開き貯まったSPスキルポイントの割り振りなどを行っている。



 さて、準備が済んだところで、いよいよ迷宮主(ボスモンスター)戦だ。 


 扉のすぐ右脇に人の腰くらいの高さの台座がある。この台座の上に大きめの赤い水晶玉が置かれている。


 ここに手を乗せて少しだけ魔力をそそぐと、このボス部屋への扉が開くのは、前回経験している。


「よし、いよいよ戦うぞ。皆、準備はいいか!?」


「にゃー! 大丈夫だにゃー!」

「わらわもじゃ~! 倒すのじゃ~」

「準備出来てるわ! トール!」

「トール殿! 前衛は任されよ」


 皆の頼もしい返事が返って来る。


 俺は台座の水晶玉に手を置き、魔力を少しそそぐ。


 ――天から声が聞こえてくる。


≪再挑戦には1か月の経過時間が必要です。扉は開かれません≫



「あ…………」


 なんてこった! すっかり忘れていた! 俺とモフがここの迷宮主に挑戦したのは、わりと最近だった。


 確か迷宮主への扉の向こうに入るには、冒険者ごとに1か月に1度というスパン(再挑戦不可期間)があった。となると、俺とモフは今回は入れないということになる。

 扉は他の誰かに開けてもらい、俺とモフだけここで留守番ということになる。俺たちが無理に入ろうとすると、魔力の壁ではじき返されることだろう。


「にゃ~ん……」


 俺もモフもショックを受けた。


 状況を理解した女性陣が、俺とモフを憐みの表情で見つめている。そんな生暖かい目で見ないでくれ、悲しい……。



 しかし、その時だった。再び天から声が聞こえてくる。


≪訂正します。前回の挑戦時、迷宮主にイレギュラーが起こったことを確認――スパンが無効化されました≫


≪迷宮主への扉が開かれます≫


「おお!! やったぞ!」

「にゃ~ん♪」


 なんだか良く分からないシステムだが、どうやら俺たち全員で入れるようだ。やったー。



「トール! よかったね!」

「ふぅー、トール殿抜きではいささか心配だったのだ。良かったぞっ!」

「にゃ~。トールと皆で行くにゃ~!」


 こうして無事、皆でボス部屋に入って行った。



 ボス部屋に入ると、薄暗い奥から霧のようなものが立ち込め徐々に迷宮主が現れて来る。



「どうかにゃ!? イレギュラーは起きたかにゃ?」


 ミーアがそう言い、皆は期待と不安を持って見つめる。



 ――天から声が聞こえて来る。


≪迷宮主に異例(イレギュラー)が発生しました≫



「来たああああああーー!!」

「「おおお!!」」



≪迷宮主、キングキャットが現れました≫


≪キングキャットのレベルは75≫


 巨大な猫の魔物が目を爛々と輝かせている。


 

「よっしゃああああーー!! 皆! (かも)がネギを背負って来たぞ!」 


「にゃ? トール、(かも)じゃなくて猫なのだにゃ?」


 い、いや俺の前世の世界ではそういうことわざがあってだな……まあ、いっか。


「と、とにかく一気に倒すぞ!!」


「「おう!!」」



 モフが光魔法の弱体化の光をキングキャットにかける。


 シャンテが操糸術のマリオネットをかけてその巨大猫を宙づりにする。


 エミリーとミレアが風の力を得たユニーク弓で強烈な矢を放つ。


 イナリが無数の狐火(きつねび)を浮かべ敵の巨体に一斉に当てる。


 ミーアとアリシアさんの脳筋組が、剣で凄まじい連撃を行う。


 リンが強烈なボディーアタックと同時にフレイムソードを突き立てる。  


「ギャアアアアアアアアアアアアアアア!!」


 敵の断末魔の悲鳴が聞こえる。

 

 ボス部屋が揺れる。


 キングキャットは大きな霧となり徐々に消えていった。


 ほぼ一瞬の出来事だった。なんて恐ろしいパーティーなんだ。どっちが魔物か分からないな……。



≪迷宮主、キングキャットを討伐しました≫


≪パーティーメンバーのレベルが上がりました≫

≪パーティーメンバーのレベルが上がりました≫

≪パーティーメンバーのレベルが上がりました≫

≪パーティーメンバーのレベルが上がりました≫

    ・

    ・

≪パーティーメンバーのレベルが上がりました≫


 ――繰り返す天からの声


≪パーティーメンバーのそれぞれに習得可能スキルが解放されました≫


≪パーティーメンバーのそれぞれに特別ボーナスとしてSPが与えられます≫



 ――モフッ、モフッ。


≪キングキャットの通常アイテム『猫王の毛皮:特大』をドロップしました≫ 


 ――コロン。


≪キングキャットのレアアイテム『黄金の爪』をドロップしました≫ 


 ――コロン


≪キングキャットのユニークアイテム『猫王(キングキャット)の勲章』をドロップしました≫ 



「や、やったぞ!! みんな!」


「うにゃにゃにゃあああ~!」

「やったのじゃあああ~!」

「やったわね! トール!」

「と、トール殿! 圧倒的じゃないか! 我がパーティーは!」

「トールさん、体が熱いですぅ~」

「ミレアも……!」

「お兄ちゃん! レベルが凄く上がったみたい!」



 こうして俺たちはこの日、イレギュラー迷宮主――キングキャットを倒し、無事C級ダンジョンをクリアしたのだった。


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