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50話 美少女亜人3人組と


 ガイたちと別れた後、俺はお腹が空いていたので、ギルド内の酒場で昼食を取ることにした。


 この酒場は夕方や夜は賑わうが、今は昼時。冒険者はさほど多くなく、テーブル席はまばらだった。


 俺はカウンターでお任せ定食を注文し、隅の方のテーブル席に座り一息つく。


 注文した定食が来た。お肉や野菜、スープやパンがセットになっている。美味しそうだ。


 さて食べようとすると、ギルドの入り口の扉がカラーンと音を立てて開いた。がやがやと3人組の女性冒険者が入って来る。


 その冒険者たちは皆美少女で、それぞれ、やや長い耳、猫耳に尻尾、狐耳にふかふかの尻尾の姿をしている。


 エミリーとミーアとイナリだ。


 近くにいた冒険者たちが、彼女たち亜人3人組をさも珍しそうに見ている。


 まあ、この街ではあまり亜人は見かけないからな。


 俺は酒場の方から彼女たちに声を掛ける。


「おーい! エミリー! 俺だー、こっちだー!」


 エミリーたちが俺の方に振り向く。


「あら、トールじゃない!」

「にゃっ! トールだにゃ~!」

「トールなのじゃ~」


 3人は賑やかに俺のテーブルに近づいて来る。


「トール、お昼ご飯かにゃ~! 美味しそうだにゃ~。ミーアも食べるにゃ~!」

「ごくり。(わらわ)もお腹すいたのじゃ~!」


 ミーアとイナリがよだれを垂らすような勢いで騒いでいる。


「あんたたちねぇ~」


 エミリーが呆れた顔をするが、その本人も俺の定食に目が釘付けになっている。食べたそうにしているのが良く分かる。


「おう、皆あっちのカウンターで好きなものを注文していいぞー。俺の奢りだ」


「さすがトールだにゃ~! ありがとうにゃ~」

「やったのじゃ~! (わらわ)はお肉がいいのじゃ~」

「トール、ありがとね! 皆行くわよ!」


 賑やかにカウンターに向かう3人。食欲があることはいいことだ。


 こうして俺たち3人は一緒に昼食を共にするのだった。


「おいしかったにゃ~。満腹にゃ~」

「妾も満足なのじゃ~」


 料理がすべてお腹の中に収まり、皆でのんびりお茶などを飲む。


 エミリーが少し声を(ひそ)めて話しだした。


「ねえ、トール。実は私たち、この街に来て間もないけど、ちょっとまた事情が出来て街を一旦離れることになったの。といっても、用事がすんだらまた戻ってくるつもりだけれど……」



 エミリーの話によると、ミレアに関係することらしい。一度、エルフの里に戻って、エルフの長老様と今後の事を話合うとのことだ。ミーアとイナリも同行するらしい。


 俺は、あの慰霊祭の日のことを思い出す。エミリーは、エルフの秘儀がミレアに継承されたようなことを言っていた。

 あの時、ロザリーさんの想い出の珠をミレアが手にしたときの光景が脳裏に浮かぶ。


 やはりエルフの秘儀に関係することなのだろうか……。


 俺が考え込んでいると、エミリーが再び話し出す。


「ねえ、トール。もし良かったらでいいんだけれど……。トールもエルフの里に一緒に来てくれないかしら……」


 エミリーが俺の目をじっと見つめて言う。


「エルフの里かー。面白そうだな。どれくらいの間滞在するんだ?」


「一応、4~5日といったところかしら……。そういえば、トールは妹さんがいたわよね。もし心配なら妹さんも一緒でもいいわよ」


「お、いいのか。……そうだな、後で(リン)に聞いてみるか。多分大丈夫だとは思うが、後でスマーフォで知らせるよ」


「うん、分かったわ。ありがとうね。トール」



 ほほう、リンも一緒で皆でエルフの里に旅行か。なんだか楽しそうだ。おそらくリンもこういうの好きそうだから喜ぶだろう。

 

 エルフの里への帰省――まあ、何か少し意味ありげだが、少しくらいは観光をさせてもらおう。ちょっとワクワクするな。




 

 食事を終えた俺たちは、その後、一緒に街をぶらぶらする。


 ミーアが武器屋を見てみたいとのことだったので、俺はバッカスさんところの武具屋に皆を連れて行った。


 武具屋に入るとミーアが目をキラキラさせて、展示されている武器を片っ端から物色し始めた。


「はあ……。ミーアは武器が好きだからねぇ……」


 若干呆れ顔のエミリーである。


 エミリーの話によると、ミーアは様々な種類の武器の扱いに長けているらしい。というのも、剣術スキルを始め、初期スキルで数種類もの武器スキルが与えられたとのことだった。また、格闘スキルもあるらしい。まあ弓は使えないらしいが。

 本人的には特に大剣が好みらしい。代わりに魔法系はあまり使えないとのこと。


 ミーアは完全に近接武闘派だな。やはり猫獣人っぽい感じだ。


 俺もせっかくなので、少し武器を見てみることにする。剣や大剣、槍に斧などいろいろとある。同じ剣でも形状や大きさはまちまちだ。槍のように長くその先に斧のような形をした物などもあるな。あれはハルバードという武器だったか。


 俺は鑑定スキルを利用して展示されている武器の数々を見て回る。こういうとき鑑定があると便利だな。


 いろいろと鑑定してみたが、やはりユニークアイテムのような能力向上効果やスキルが付いているものはほとんどなかった。あったとしても効果は少ない。ダンジョンの魔物からドロップするレア武器くらいの性能だろうか。改めてユニークアイテムの性能の良さを感じる。


「う~ん、これかにゃ~。これもいいかにゃ~」


 ミーアが大剣が並べられている一角で悩んでいるようだ。


 どれどれちょっと鑑定してみるか。俺はすべての大剣を鑑定してみる。

 やはり、ユニークアイテムに匹敵する大剣は無いようだ。ミスリルの大剣などがあったが、AR(攻撃力)は17と高いが、付加効果はさほど無い。それにミスリルの大剣はびっくりするような値段が付いている。さすがに高価な材質が使われてるだけはあるな。


 俺はガイにプレゼントしたユニーク大剣の情報を読み取る。


――――――――――――


フラマニゲルス(黒炎の大剣)(ユニーク武器:大剣)

・攻撃力(AR)15

・装備時、体力+10、筋力+15、敏捷+10、

・追加攻撃、黒炎(中)


――――――――――――


 ミスリルの大剣よりARは少しだけ低いが、それを補ってあまりある効果が付いている。


 やはり、武具屋で買うのはもったいないな。ミーアには後でこのユニーク大剣をプレゼントしようと思う。



 エミリーが、展示されている弓を品定めしている。


「まあ、王都の店より小さい店だけれど、結構質は良さそうね。ただ、今持ってる弓とそう大差ないのよね……ミスリルの弓は良いけれどさすがに高くて買えないし……」



 イナリを見ると、杖を展示している場所にいて、いくつかの杖を見ていた。


「う~む。ここは杖の品ぞろえはあまり良くないのじゃ……」


 イナリは戦闘もこなすらしいが、元々は魔法使いタイプなので、魔力が上がる杖を基準に見ているようだ。

 ここにある杖は、どちらかというと、バトルスタッフなどの物理攻撃用の杖をメインに品ぞろえしている。



「よお、トールじゃねえか!」


 バッカスさんの声が聞こえて来た。いつの間にか店内に入って来ていた。


「そこの嬢ちゃんたちはトールのお仲間か? こんな美人さんを侍らせてトールも隅に置けねえな!」


 バッカスさんは豪快に笑う。


「あ、バッカスさん、こんにちは。……別に侍らせてる訳ではないですよ~。ところで、バッカスさん、杖の品数が少ないですよね。やっぱり、武器や防具を中心に取り揃えているんですか?」


「あー、確かにそうだな。杖は制作できねえ訳じゃねえが、俺たちはどちらかというと武器防具が専門だな。魔法使い用の杖が欲しいなら、魔法具屋に行ったほうがいいだろう。魔法具屋なら、そこの通りのすぐ向かい側にあるぞ。ジーナばあさんが経営してる。俺の名前を出せば懇意にしてくれるだろう」


 なるほど。実はそこの店なら俺はよく知っている。いつもポーションを買ってる店だからだ。そっか、ポーション屋だと思っていたが、魔法具屋でもあったんだな。

 そういえば、ポーション売り場の傍らに杖がたくさん置いてあったのを思い出す。


「ありがとうございます。バッカスさん」



 その後、武器に見入るミーアを引きずって、皆で魔法具屋に向かったのだった。


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