47話 10階層~11階層
朝が来た。
昨夜は、丘の上の烽火台でかなり遅くまで楽しんでいたので、帰りが遅くなってしまった。
帰宅すると、リンに心配されてちょっと叱られてしまった。怒った時のリンも可愛いものだ。まあその後、ポゴリアのミートサンドを沢山買っていたので、それを渡したらコロッと機嫌が直ったのも可愛いものだ。シスコンという言葉が脳裏によぎる……。
隣のベッドでは、いつものようにモフが準備体操のようなものをしている。前世で言えば、ラジオ体操ではなく、ヨガのような太極拳のような不思議な動きだ。のどかな朝だ。
さて、今日のダンジョン攻略はいよいよ10階層からになる。結構早くここまで到達したものだと思う。
その前にステータスの確認をしてみるか。久しぶりだ。装備をし、確認する。
――――――――――――
トール 18歳
Lv 50
体力:50+68
魔力:50+60
筋力:50+70
敏捷:50+65
精神:50+50
幸運:50+35
SP:41
スキル:剣術Lv3、鑑定Lv3、夜目Lv3、感知Lv3、水魔法Lv3、風魔法Lv2、火魔法Lv2、土魔法Lv3、闇魔法Lv2、回復魔法Lv2、空間魔法Lv3、蹴術Lv2、操糸術Lv3、硬化Lv3、レクイエム
ユニークスキル:女神のドロップLv6
特殊スキル:迷宮主と戦う場合に全能力値+10%
【装備品】
武器(右手):パラライズファング
武器(左手):スコープルテイル
防具(頭) :もふ猫のフード
防具(全身):藍狼のマント
防具(肩) :緑光のショルダーガード
防具(体) :クリムゾンレザー
防具(服) :シャンテの冒険服
防具(腰) :ゴブリンの腰巻
防具(足) :バトルブーツ
アク(頭) :風のリボン
アク(首) :キャッツアイ
アク(胸) :兎王の勲章
アク(腕) :銀熊の腕輪
アク(腕) :土の腕輪
アク(指) :黒炎の指輪
アク(指) :コラプトゲンマ
――――――――――――
「うわ……。我ながら凄まじいことになってるな」
レベルはあれから少し上がりついに50に達している。
そして装備品の効果も凄まじい。ほぼレベルの能力以上にブーストされている。そのおかげで実質的なレベルは100を優に超えてるようだ。これでもまだ改良の余地がありそうなところが恐ろしい。
SPは41もある。
そろそろ何かスキルレベルを上げたいところだが、どれを選べばいいか迷う。嬉しい迷いだな。
まあ、今のところダンジョン攻略には余裕があるので、必要な時にSPを使用するとしよう。それに今後Lv7に上げる予定の女神のドロップスキルが、どれだけSPを必要とするかも分からないしな。
次にモフのステータスを見てみる。
――――――――――――
モフ (モフミィコマンド)
Lv 48
体力:48+35
魔力:62+10
筋力:48+35
敏捷:96+15
精神:48+10
幸運:58
スキル:猫爪Lv2、精神向上Lv1、夜目Lv4、感知Lv4、土魔法Lv3、光魔法Lv4、空間魔法Lv4、冷気の霧、鈴の音
【装備品】
武器(手) :白猫の爪
武器(A首):白猫の鈴
防具(A腕):銀熊の腕輪
防具(A腕):土の腕輪
――――――――――――
「おお! モフもこんなに強くなってたのか!」
レベルは48になり、装備品の数が増えたこともあり、能力値のブーストもいい感じだ。
それにここのところ猫爪攻撃をよくしていたので、猫爪のレベルが1つ上がりLv2となっている。
「さて、今日は10階層から行けるところまで行こう」
◇
ダンジョンの10階層に来た。
転移陣を利用して6階層に来て、そこから10階層までなるべく魔物を避けて来た。
今日の当面の目標は12階層到達だ。そこの転移陣を解放するためでもある。
感知スキルを発動させて魔物を探す。
早速、遠くに魔物の気配を感じた。何か弓のような物を持っている人型の魔物のようだ。よく見ると顔はヴェールのようなもので包まれており、体つきはゴブリンに似ているが屈強そうだ。
鑑定をしてみる。
―――鑑定―――
風の魔弓士 Lv46
・風を纏った弓で攻撃してくる
・弱点:土魔法
・敏捷力が高い
――――――――
「弓で攻撃してくるのか。ふむ、土魔法が弱点で敏捷が高いのか」
昨日、土木工事で使った土魔法。土魔法の派生スキルの詳細を感覚で探ってみる。
――土魔法Lv3(サンドボール、アースウォール、サンドストーム)
なるほど、敵は敏捷が高いので、サンドボールは避けられそうだ。広範囲魔法のサンドストームで行こう。
俺は土魔法を唱える。
「サンドストーム!!」
凄まじい砂嵐が敵を襲う。敵は避けようとするが、魔法の範囲が広いので無理そうだった。
「ギャアアアアアアアアア!!」
風の魔弓士は、一撃で消えて行った。
やはり弱点をついた攻撃は効果あるな。まあ、こちらの魔力が高すぎるおかげでもあるが……。
こうして、いつものように、ユニークアイテムを落とすまで狩りまくる。モフも装備付与で土魔法が使えるのでモフにも手伝ってもらう。
念のため、敵の攻撃がどういうものか確認したところ、かなりの速さの矢を放って来た。風の魔力が込められているようで、放たれる矢には強い風の渦を纏っていた。なかなか強力な弓攻撃だ。まあ、アースウォール(土の防壁)で完全にシャットアウト出来たが。
10体弱ほど倒したところで、ユニークアイテムが出たので、まとめて鑑定する。
~~~鑑定~~~
強矢(弓の矢)
・上質の矢
・30本セット
‥‥‥‥‥‥‥‥
風の矢(レア弓の矢)
・風の魔力が込められている強力な矢
・当たると風の竜巻(小)が発生する
・20本セット
‥‥‥‥‥‥‥‥
ウェントスウィース(ユニーク武器:弓)
・攻撃力(AR)13
・装備時、筋力+10、魔力+15、敏捷+20
・装備時、弓術Lv+1
・貫通効果(中)
・矢に風の力を纏わせる。
・当たると風の竜巻(中)が発生する
~~~~~~~~
「おおお!! これは凄い!」
今回初めて弓のユニークアイテムが出た。
性能は素晴らしいの一言。ARは13。かなり高い。装備時の能力向上は、弓術士らしい上がり方だ。そして「装備時、弓術Lv+1」。これは弓術スキルを持つ人のスキルレベルを1つ上げる効果だろうか。初めて見る効果だ。更に、貫通攻撃や竜巻発生などの付加効果も強力そうだ。
状況によっては、短剣二刀流からこちらの弓にスイッチして、遠距離攻撃が出来ることになる。これは便利そうだ。
ふと思う。この弓は、エミリーに向いてそうだな。エルフは弓が得意らしいしな。よし、もう1つゲットしてエミリーにプレゼントするか。エミリーなら、うまく活用してくれそうだ。
こうして俺は、再度風の魔弓士を狩りまくり、もう1つウェントスウィース(ユニーク弓)を確保するのであった。
次は11階層に入る。どんどん進んでいこう。
探索すると、鎧に包まれた騎士のような魔物が現れた。右手に剣を持っており左手には盾を持っている。
早速鑑定する。
―――鑑定―――
剛の甲冑騎士 Lv50
・体力、筋力に優れている。
・物理防御力が高い
・弱点:やや魔法全般
――――――――
「甲冑騎士、レベルが50か。だいぶ高くなってきたな。物理攻撃には耐性がありそうだな」
しかし、魔法には弱いようだ。盾を持ち甲冑を着こんでいるせいか、動きも鈍そうに見える。
普通に水魔法あたりで攻撃してもいいのだが、先ほど手に入れたウェントスウィース(ユニーク弓)を試してみたい気もする。
「よし、武器をスイッチしてみるか」
俺は二刀のユニーク短剣を空間魔法を使い収納し、ウェントスウィースを装備した。
甲冑騎士に目がけて先ほど手に入れた風の矢を放つ。
ビュウウウウウウウ!
風の魔力を帯びた矢が力強く飛ぶ。
ガキイイイイイイーン!
ゴゴゴゴオオオ!
「ウオオオオオオ!!」
矢が当たり周囲に旋風が舞う。
どうやら矢自体は硬い盾と甲冑に阻まれたようだ。しかし、風の魔力の追加効果が効いているようだ。
もう一度矢を放つ。
ズバアアアーン!!
ゴゴゴゴゴオオオ!
弱った甲冑騎士の鎧を矢が貫通する。貫通効果が現れたようだ。更に旋風が巻き起こる。
「ウオオオオオオオオオ!!」
甲冑騎士は、悲鳴を上げて消えて行った。
「なかなかこの弓はいいな。物理と風の両方の力があるので使い易いかも」
こうして俺は甲冑騎士を倒しまくって、ユニークアイテムを手に入れた。
そして、まとめて鑑定する。
~~~鑑定~~~
強盾(防具:盾)
・上質の盾
‥‥‥‥‥‥‥‥
剛の鎧(レア防具:鎧)
・防御力(DR)8
・体力+5、筋力+3
‥‥‥‥‥‥‥‥
アルマトテラ(ユニーク防具:体)
・防御力(DR)14
・装備時、体力+15、筋力+10
・体力自然回復(中)
・形状変化するため動きやすい
~~~~~~~~
「おお!! 鎧のユニークが出たか!」
性能は素晴らしい! DRは破格の14だ。高価なミスリルの鎧のDRが15なのでそれに匹敵する防御力だ。そして装備時の能力上昇や体力回復(中)、それに硬質の鎧にもかかわらず、動きやすいらしい。
現在装備しているクリムゾンレザー(ユニーク皮鎧)と比較してみる。
――――――――
クリムゾンレザー(ユニーク皮鎧)
・防御力(DR)8
・装備時、体力+10
・体力自然回復(小)
――――――――
こうして見ると明らかにアルマトテラはクリムゾンレザーの完全に上位互換だな。
俺はマントを脱ぎ、鎧装備を着替える。白銀の美しい鎧だ。体力回復効果を確かに感じる。そして以前の皮鎧と遜色なく動きやすい。これはいい鎧だ。
俺はふと思う。この鎧はリドルフ騎士団長に似合いそうだな。よし、もう1つ入手してプレゼントすることにしよう。
こうして俺は、再度甲冑の騎士を狩りまくり、もう1つアルマトレラ(ユニーク鎧)を確保するのであった。
「さて、次は12階層だ。とりあえず転移陣を解放したいな」
こうして俺は12階層への入り口を抜ける。
そして無事、転移陣の元にたどり着き、一息つくのであった。