43話 7階層~9階層
朝が来た。
昨夜の食卓にはオーク肉を使った料理が出て来た。美味しかった。さすがリンだ。
なんとなく力が付いたような気もする。
隣のベッドで準備体操のようなものをしているモフを眺める。
「さて、今日は7階層から行けるところまで行こう」
レベルだけ確認してみると、俺は45から47となり2レベルアップしていた。
モフも俺と同様に、43から45へと2レベルアップしている。
なるほど、深部に潜るにつれ敵のレベルも徐々に上がって来ているので、その分こちらのレベルも上がりやすくなるな。
速くレベルアップして、女神のドロップスキルのレベル7を解放したいという思いも強い。
◇
ダンジョンにやって来た。
転移陣を利用して6階層に来て、出て来るリンゴールを倒しながら、7階層に入る。
「おっ! あれはゴーレムみたいだな」
早速現れた。茶色の人間型の巨体がのしのしとゆっくり歩いている。鑑定してみる。
―――鑑定―――
クレイゴーレム Lv40
・土の魔力を秘めたゴーレム
・弱点:水、冷気
・体力と筋力に優れる
・硬く衝撃を吸収する能力がある
・物理攻撃は効きにくい
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「なるほど、水魔法でいくか。ウォーターボール!」
動きが鈍そうなので、簡単に命中する。
「ウオオオオオオオオーン!!」
巨体に穴が空き、そのまま叫び声を上げ消えて行った。
俺の魔力レベルは装備品の効果を合わせるとすでに100近いレベルになっている。
しかも弱点属性を突いている。ここは楽勝だな。
モフのスキルレベル上げもあるので、俺はなるべく控えてモフに任せることにする。
モフは進化し新しい装備を付けたのでかなり筋力が上がっている。今は筋力は70近くまで上がっている。
クレイゴーレムは物理攻撃が効きにくいらしいが、これだけの筋力と猫爪のスキルがあるので、比較的楽に倒せていた。
しばらくクレイゴーレム狩りを続けていると、ユニークアイテムを落とした。
まとめて鑑定してみる。
~~~鑑定~~~
土嚢(素材)
・土の入った袋
・建築材料に用いられる
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強化土(レア素材)
・魔力が込められている上質な土
・建築材料に用いられる
・特に外壁などに有効
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土の腕輪(ユニークアクセサリー:腕)
・装備時、体力+10、筋力+10、魔力+10
・付与スキル 土魔法Lv3
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「おおお!! 素晴らしい腕輪だ!」
ユニークアクセサリー「土の腕輪」、体力、筋力、魔力と+10が3つ付いている。そして何と言っても土魔法Lv3が付与されている。性能的にはかなりいい腕輪だ。これで、4属性すべての魔法がそろった。
俺とモフの片腕には現在「銀熊の腕輪」を装備しているが、それぞれもう片方の腕が空いていた。もう一つ何か腕輪が欲しいところだったので、凄く有難い。
とりあえず、モフに装備させてみる。これで更にモフが強くなった。
俺用にもう一つ欲しいので、更にクレイゴーレムを狩り続ける。
そして2つ目の土の腕輪を無事ゲットして、俺も装備してみる。更に力が湧いて来た気がした。
「よし! 次は8階層だ!」
俺は大満足で次の階層に進む。
しかし、土嚢とか強化土とか、建築素材がたくさん手に入ったな。これはどう使えばいいのか……。まあ、いずれ何かの役に立つかもしれないな……。
8階層に入る。
感知スキルを発動し、敵を見つける。
「うわ……蜘蛛の魔物か……?」
ダンジョンの天井辺りから、糸で吊り下がって降りてくる。蜘蛛のような姿をしている。
全体的に薄い黄色の体だ。頭部に赤い目がいくつか付いている。腹部は丸く、足を広げているのでかなり大きく見える。不気味な魔物だ。
素早く鑑定してみる。
―――鑑定―――
キラースパイダー Lv42
・蜘蛛の糸を飛ばし絡めて来る
・噛みつき攻撃に注意
(麻痺効果あり)
・弱点:炎系等
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「蜘蛛の糸と麻痺攻撃か。厄介そうな相手だな」
しかし弱点は火だ。
「ファイヤーボール!」
「ギャアアアアアアアアアアアアアアア!!」
一撃で消えて行った。
やられる前にやる。これが戦いの鉄則だ。
まあ、こちらの魔力の能力は100近くあるので相手がLv42の魔物だと楽勝だな。まだまだこの階層では敵のレベルが低い。こちらが油断しなければ圧勝できるな。
引き続き、ユニークアイテムを求めてひたすら狩る。
ユニークアイテムが出たところでまとめて鑑定する。
~~~鑑定~~~
蜘蛛の糸(素材)
・強い糸
・服などの素材として用いられる
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黄蜘蛛の糸(レア素材)
・魔力が込められている強力な糸
・防護服などの素材として用いられる
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パラライズファング(ユニーク武器:短剣)
・攻撃力(AR)12
・装備時、筋力+10、敏捷+10、精神+15
・攻撃時、麻痺効果(中)
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「おお!! これはまた良質の短剣が出たな!」
パラライズファング。薄い黄色に輝く刀身が怪しげで美しい。
ARは12だ。先日パープルスコーピオンから手に入れたユニーク短剣「スコープルテイル」と同じ数値だ。装備時の能力値の上昇もなかなか良い。そして、今度は攻撃時に麻痺させる効果が付いているのは素晴らしい。
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スコープルテイル(ユニーク武器:短剣)
・攻撃力(AR)12
・装備時、体力+7、筋力+15、敏捷+15
・攻撃時、毒付与(中)
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こうして比べてみると、双方ともかなり優秀な短剣だ。この二刀で二刀流にすると毒と麻痺が入り、相性も抜群だ。
現在左手に装備しているフロストムーンのARは9、攻撃時の凍結効果は(小)なので、こちらのパラライズファングの方が性能が良い。
そろそろ、交換時期だろう。俺はフロストムーンに感謝し、予備として、空間魔法のアイテムボックスに収めた。
それと、レア素材の黄蜘蛛の糸も気になるな。これもかなり良質な糸のようだ。シャンテに持って行って聞いてみるか。
レアアイテムなのでたくさん入手出来る。これはギルドには売らないで、保管しておこう。シャンテが気に入るようなら全て渡すとしよう。
「よし! 次は9階層だ! どんどん進むぞ!」
9階層に入ってしばらく奥へ進むと、赤い毛並みをした虎のような魔物が現れた。牙が大きく発達しており、体全体から炎のようなオーラが出ているのを感じる。
素早く鑑定する。
―――鑑定―――
フレイムタイガー Lv44
・全般的に能力値が高い
・大きな牙の攻撃に注意
・火炎を飛ばしてくるので注意
・弱点:水、冷気
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「なかなか強そうだな。よし、一気に行くぞ!」
弱点の水魔法を使う。
「ウォーターボール!」
強力な水魔法の玉が敵を目がけて飛ぶ。しかし、フレイムタイガーは魔法を避ける。
「ならば、これでどうだ! ウォータースプラッシュ!!」
やや広範囲に水撃が広がる。
「ガァルルルルルルゥゥ!!」
敵は避けきれず、水撃が命中する。敵はダメージを受けたのだろう。瀕死の状態だ。
「ウォーターボール!!」
弱っているところを再度、水の玉で攻撃する。
「ガアアアアアアアアアアアアア!!」
命中し、フレイムタイガーは叫び声を上げて消えて行った。
「よし、ここも楽勝だな!」
こうして、このままフレイムタイガーを狩り続ける。
たまに敵は全身から炎を飛ばしてきたが、念のため水魔法の「水膜」を張っていた為、こちらに被害はなかった。
7~8体ほど倒したところで、ユニークアイテムを無事入手した。
ドロップアイテムをまとめて鑑定する。
~~~鑑定~~~
火炎の瓶(消耗品)
・投げつけると炎の攻撃が出来る
・威力(中)
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爆破魔石(レア消耗品)
・投げつけると広範囲の炎攻撃が出来る
・威力(大)
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フレイムソード(ユニーク武器:剣)
・攻撃力(AR)13
・装備時、体力+10、筋力+10、敏捷+10、魔力+10
・攻撃時、追加火炎攻撃(中)
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「おおお! ついに初めてのユニーク剣が出たな!」
今まではユニークの剣はすべて短剣だったが、今度は剣が出た。片手剣のロングソードだ。刀身が朱色に輝いており炎のオーラが出ている美しい直剣だ。
ARも装備時の能力上昇も申し分ない。追加火炎攻撃(中)も良い効果だ。特に火を苦手とする敵に有効だろう。
俺は短剣二刀流が体に馴染んでいるが、剣もリーチがあって戦いやすそうだ。今後は敵に応じてこの剣も使ってみようと思う。
俺はふと考える。そういえば、アスカは剣を使ってたな。せっかくなのでもう一本フレイムソードを入手して、アスカにプレゼントするか。今後、4~6階層の植物地帯を攻略するのにかなり有効な剣だ。
そして、ガイは元々大剣好きだった。今後、ユニーク大剣が出たら、ガイにもプレゼントしようと思う。
メイは魔法使いだから良さそうなユニーク杖が出たら、メイにもあげたいものだ。そうだ、メイには「土の腕輪」でもいいかもしれない。
あの3人にならユニークアイテムを託しても大丈夫だろう。俺はそう思った。
それにしても、通常とレアの、火炎の瓶と爆破魔石……。これも使い方次第では便利そうだ。たくさん集めて投げつければすごいことになりそうだな……。