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41話 4階層~植物階層


 朝が来た。


 昨日は、遅くまでガイたちと狩りをして疲れて帰ってきたが、リンが収穫物のベア(熊)肉を使って、美味しい料理を作ってくれた。 

 そのおかげか、なんだか逆にいつもより力が漲っている気がする。

  

 決して「エロリィナイト」を使った訳では無い……。あれはあれで少し興味を惹かれるのだが……まあ良い子は使用しちゃダメだと女神様が鑑定でおっしゃっているのだ。危険だ。

 まあ、一応貴重品だろうし、いつか何かの役に立てばいいが……。


 おっとその件はあまり考えないようにしよう。


 ともかく、俺は、収穫物はユニークアイテム以外は基本的にほとんどギルドに売却しているが、珍しい物や食材などの一部は自分たちで使うため、少しだけ取っておくこともある。うさぎ肉はもちろんのこと、ボア肉、ウルフ肉などもリンに預けて保管してある。


 そのおかげで最近は、リンがバリエーションのある料理を作ってくれて、食卓の楽しみが増えて来たのだ。昨日ゲットしたオーク肉なども、今晩辺り食卓に出て来そうだ。楽しみだ。


 そういえば、極上のうさぎ肉(特大)の1つがまだモフのアイテムボックスに入っているので、当分は食べ放題なのだ。非常に贅沢である。


 それはともかく、今日は4階層からいけるところまで行ってみようと思う。


「お兄ちゃーん! 朝食出来たよー! 今日はボア肉入りのスープだよ~」


 いつものリンの元気な声が聞こえて来る。





 B級ダンジョン、4階層に来た。


 途中でオークや蠍などに絡まれたが、慣れたせいか余裕を持って倒せた。昨日入手したスコープルテイル(ユニーク短剣)のおかげかもしれない。


 いつものようにモフに感知をしてもらい、魔物を探す。


「おっと、何か現れたようだ。――鑑定!」


―――鑑定―――

トゲナスビー Lv35

茄子(なす)の魔物

・弱点:火系

・棘の付いた蔓葉で攻撃して来る

―――――――― 


「うあ……。見た目通り茄子(なすび)だな」 

 

 大きな茄子(なす)の魔物だ。体長は俺の胸くらいで紫色の丸々とした体だ。つる草の葉っぱに棘が付いているのが見える。

 

 しばらく様子を見ていると、つる草を揺らし、いくつもの棘付きの葉っぱが飛んで来た。


「おっと、危ない!」


 さほど速くはないが数が多い。大きく動いてかわす。かわしきれなかった葉は短剣で弾く。


 すかさず俺は炎魔法を放つ。


「ファイヤーボール!」


「ムオオオオオオオーン!!」


 命中して、トゲナスビーは奇妙な叫び声を上げて消えて行った。


 やはりこちらのレベルや魔力が高いので一撃で倒せる。


 棘の葉っぱが少し厄介なので、水魔法の水膜を張り、見つけ次第早めに火魔法で処理することにする。


 いつものようにユニークアイテムが出るまで狩りながら、ドロップアイテムを回収する。


 10体ほど狩ると、ユニークアイテムを落としたので、まとめて鑑定する。



~~~鑑定~~~

なすび(食材)

・美味しい

・揚げても炒めても浸しても良い。

‥‥‥‥‥‥‥‥

トゲナスビーのつる草(レア素材)

・丈夫で魔力の籠ったつる草

・主に弓の弦などに扱われる

‥‥‥‥‥‥‥‥

ブリンジャル(茄子蔕の棘鞭)(ユニーク武器:(ムチ)

・攻撃力(AR)10

・装備時、筋力+10、敏捷+15

・攻撃時、激痛効果(中)

・中距離攻撃が出来る

~~~~~~~~


「おお! (ムチ)の武器は初めてだな」


 ARも10と高い。装備時の能力アップも申し分ない。中距離攻撃が出来るので便利そうだ。

激痛効果か……。確かにこれで打たれると痛そうだな……。

 とりあえず、アイテムボックスに収納する。使い道は後でゆっくり考えるとしょう。


「さて、次は5階層だ。どんどん先に行こう!」


 5階層に来ると、また植物のような魔物が現れた。足と体全体が根っこで出来ている。根っこには丸い土色の玉のような物がたくさんついている。

頭部は大きな葉っぱが茂っている。


 鑑定してみる。


―――鑑定―――

イモーン Lv37

(いも)の魔物

・弱点:火系

・根っこに生えた石芋を飛ばして来る

―――――――― 


「……うん、見た目通り(いも)の魔物だな」 


 ちょっと面白そうなのでわざと様子見してみる。


 ビュウウウーン

 ビュウウウーン

 ビュウウウーン


 硬い芋のような玉がいくつか飛んでくる。


 ドガッ!


 鎧とマントで覆われた体で受け止めてみる。


「うっ! 硬い石芋だな」


 でもこちらは、レベルも防御力も高い。あまりダメージは無い感じだ。


「ファイヤ-ボール!」


「イモオオオオオオーン!!」


 命中する。イモーンは奇妙な叫び声を上げて消えて行った。やはり一撃だ。


「このレベル帯の植物系の魔物はファイヤーボールで一撃だな」


 さて、ユニークアイテムが出るまで狩りまくるか。


 モフの猫爪などのスキルレベルを上げたいので、今度はなるべくモフに戦闘を任せた。モフは持ち前の速さで素早く敵の攻撃をかわしながら、爪で攻撃する。筋力もかなり上がっているので、物理攻撃でも難なく倒せていた。


 数体ほど狩ると、ユニークアイテムを落としたので、まとめて鑑定する。


~~~鑑定~~~

(いも)(食材)

・普通に美味しい

・主食になる

‥‥‥‥‥‥‥‥

イモーンの葉っぱ(レア素材)

・薬草効果が高い

・上級ポーションなどの素材となる

‥‥‥‥‥‥‥‥

黄金芋(おうごんいも)(ユニーク食材)

・食べると、体力+15、筋力+15

・効果時間は6時間

・ちなみに非常に旨味がある

~~~~~~~~


「こ、これは……。ドーピング剤じゃねえか!!」


 つい声を上げて突っ込んでしまった。


 食材で消耗品ではあるが、ボス戦などの強敵と戦う時にはかなり有効だろう。数に余裕があれば普段の狩りでも使えるかもしれない。

 これはいいものだ。ある程度集めておいて損はないと思う。



「よーし! 次は6階層だ!」


 調子が出て来た。食材もたくさん手に入ったし、レアのアイテムも何かに使えそうだ。


 野菜と来て、主食の芋と来たら、次は果物あたりが欲しいものだな。俺は勝手に期待する。



 6階層に入る。 


「おおー。予想通り、果物っぽい魔物だな」


 ちょっと都合のよい展開にびっくりする。


 今、俺の前に見えるのは、明らかにりんごの木だ。木の根がうねうねと動いてこちらに向かってくる。太い幹の上部には三日月型の目が怪しく光っている。頭部は葉っぱが茂った枝で覆われ、所々に赤い果実が実っている。


 鑑定してみる。 


―――鑑定―――

リンゴール Lv39

林檎(りんご)の木の魔物

・弱点:火系

・枝に生えた硬い果実を飛ばして来る

―――――――― 


「やはり、りんごの魔物だったか。よし、収穫の時間だ!」


 こうして俺たちはリンゴールを狩りまくるのだった。


 つい勢いあまって20体程狩ってしまった。ユニークアイテムは2つ出た。


 まとめて鑑定してみる。


~~~鑑定~~~

林檎(りんご)(食材)

・美味である

・ビタミンなど栄養素が豊富

‥‥‥‥‥‥‥‥

リンゴールの枝(レア素材)

・魔力が込められている上質な枝

・高級な弓の素材として用いられる

‥‥‥‥‥‥‥‥

黄金林檎(おうごんりんご)(ユニーク食材)

・食べると最大保有魔力量の半分が瞬時に回復する

・ただし1日1回まで(クールタイム24時間)

・食べると、魔力+15(効果時間は6時間)

・ちなみに非常に美味

~~~~~~~~


「おおお!! これは凄い!」


 黄金りんご。魔力量が瞬時に回復するのは素晴らしい! マナポーションでは魔力回復を高める効果はあるが、瞬時に魔力量を回復することは出来ない。

 これは、最大魔力の半分ではあるが、一瞬で回復させることが出来る。魔法での戦いの時に非常に助かる効果だ。

1日1回までの制限があるが、強敵と戦う時などいざという時にいつも1つは常備しておきたいものだ。しかも食べた後、6時間は魔力が+15されるのも有難い効果だ。


 それにしても、茄子にしろ芋にしろ林檎にしろ、鑑定の感想が「美味しい」とかこれは絶対、女神様の主観だな。俺はつい苦笑いしてしまうのだった。


「さて、今日は6階層まで攻略したのでこれでおしまいにするか」


 4~6階層は植物の魔物だったな。よし、この階層帯は植物階層と名付けよう。

 この辺りだと敵はあまり強くない割には、まずまずのレベルだ。こちらのレベルも少しは上がったかもしれないな。それに、食糧の調達にもいい。美味しい階層帯だ。


 ガイたちも、この階層帯なら、そう苦戦することもなくレベル上げが出来るだろう。


 俺とモフは6階層の入り口付近まで戻り、転移陣に乗り1階層へ戻っていった。


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