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34話 迷宮主戦 ②


 ――キングラビットLv70


 松明に照らされた広間の中で、その迷宮主(ボスモンスター)、キングラビットの全貌が明らかになった。


 巨大な体格。巨大な鋭い頭の角。そして異様に発達した体全体の筋肉。


 凄まじいオーラを感じる。


「くっ!! またしても(うさぎ)の魔物が俺の前に立ちふさがるのか!!」


 俺は、レベル3でホーンラビットに挑んだことを思い出す。あの時のホーンラビットのレベルは5。装備も貧弱な中、無謀にも戦いを挑んだのだった。結果的には倒せたものの、ほとんどまぐれみたいなもので、本来は十中八九俺は死んでてもおかしくない状況だったのだ。

 

 あの時の状況と今の状況が重なって見える。



「キュウウウウウウウウウウウウウ!!」


 キングラビットは咆哮を上げて、こちらに突っ込んでくる。凄まじい闘気を感じる。


 モフの方を見ると、全身の毛を逆立てて目を見開いている。


「モフ! 気を付けろ!」


 モフと一緒に横に飛んで、その突進をかわす。ギリギリだ。キングラビットが通り過ぎた瞬間に、風圧で吹き飛ばされる。


 俺はすぐに体勢を立て直し、ウインドシールドを敵の前面に張る。


 パリイイイイイイン!!


 ウインドシールドが敵の角のたった一振りで砕け散る。


 すかさず、俺は操糸術の一線突きを3本連続で、敵の顔面に放つ。


 モフもそれに合わせて、ライトボールを連続で同じように敵の顔面に放つ。


「ギャギャギャアアアアア!!」


 一瞬、敵は視界を失い混乱するが、すぐに体勢を整えて素早く突進して来る。


 俺とモフは二手に分かれて敵の周囲を回り、突進をかわしながら、再び同様の攻撃をする。距離を取ってのジャブ攻撃だ。


 敵はかなり素早く、一瞬の硬直が命取りになる。普通に攻撃していては返り討ちに合いそうだ。敵の隙を見つける必要がある。


 今度は、俺も魔法攻撃をする。


「ファイヤーボール!!」

「ウインドボール!!」


 数発連続で放つ。敵の体や肩に当るが、あまり効いていないようだ。


「モフ、隙を作ってくれ!!」


 俺が言い終る前に、すでにモフは俺の意図を察したのだろう、小さめのライトボールを無数に敵の顔面めがけて放出する。まるで打ち上げ花火のように、敵の頭部付近に光が炸裂する。


 俺は敵の横から素早く近づき、下半身をフロストムーンで斬りつける。冷気が走りキングラビットの動きが一瞬鈍くなる。俺は夢中で何度も斬りつける。


「グハッ!!」


 キングラビットの脚が宙を舞ったのを感じた瞬間に、俺はすでに後方に吹き飛んでいた。蹴られたのだ。

 息が詰まり地面に衝突する。意識を刈り取られそうだ。


 ――強い。


 俺は震える手でポーションを取り出し、素早く飲む。


 その瞬間すでに目の前に敵は迫って来ていた。


 ――まずい!!


 モフが俺に突進してきて俺を斜め後方に飛ばす。その瞬間、モフと俺はギリギリ敵の攻撃を避けることが出来た。


「モフ! 助かった!」


 しかし、すぐにキングラビットは振り向いて飛び跳ねてこちらに向かってくる。


 ――速い、速すぎる!


 隙を作る機会さえ与えずに、次々に攻撃をしてくる。


「ブラックアウト!」


 俺は闇魔法で敵の視界を奪い、素早く逃げて距離を取る。


 キングラビットは咆哮を上げ、角を振り回し闇の霧を吹きはらう。


 瞬間、モフのライトボールが敵の目の辺りに炸裂する。


 闇から急に閃光が走ったせいか、一瞬視界が奪えたようだ。


「モフ! ナイスだ!」


 俺はこの瞬間を見逃さず再びフロストムーンで斬りかかる。


 ガキイイイイイーン!!


 硬い。ダメージが通った気がしない。今度は敵の蹴りに注意し素早く移動しながら何度も斬りつけるが、やはりかなり硬い。


 キングラビットの体が前より赤く変色している気がした。これはもしかして硬化スキルなのか!?

 

 短剣での攻撃がほとんど効いてない!? これはまずい!!


 気が付くとまた俺は吹き飛ばされていた。今度は前足でパンチを喰らったようだ。一瞬気絶しそうになるがなんとか踏ん張って耐え、ポーションを飲む。


 ――強い、強すぎる


 今度はモフが狙われた。


 前足を大きく横に振り地面の石をモフに飛ばす。風圧も凄まじい。モフは石の礫と風圧を体に浴び、空中に飛ばされる。

 その瞬間に、キングラビットは大きくジャンプして、空中で身動きの取れないモフに目がけて、角を突き出して来る。


「モフ!!」


 俺は操糸術を使い、素早くモフの体に糸を飛ばし絡めとり、引き寄せる。

 その瞬間、敵の角はギリギリモフを避けて空を切る。

 危なかった!!


 敵が着地した瞬間を狙って俺は、思い切り魔法攻撃を連発する。


「ファイヤーボール!!」

「ダークボール!!」

「ウインドボール!!」


 魔法の玉の弾幕が一斉に敵に当る。


「ギャアアアアア!!」


 少しは怯んだようだが、ヘイトを買ったようだ。またこちらに向かって突進して来る。


 バトルブーツの効果を利用する。俺はマナポーションを飲みながら、モフを抱えて斜め後方に思いっきりジャンプして距離を取る。すかさずモフにもマナポーションを飲ませる。


 再びこちらに突進して来る。


 俺とモフは二手に分かれて逃げる。


 敵はどちらに向かうか戸惑ったのだろうか、一瞬だけ動きが止まる。


 その瞬間に合わせ、俺は斜め右方向から、敵の目を狙い再び、糸を飛ばす。

 更に、魔法の玉を連続で飛ばすが、敵は姿勢を低くしてかわしながら、モフの方に攻撃を定めた。


「モフ!!!」


 気づいたらモフが敵の前足のパンチを喰らい吹き飛んでいた。


 俺はすかさずモフに回復魔法を飛ばし、駆けだす。


 キングラビットは、モフが地面に落下する瞬間を狙って、すでに角の突進を開始していた。


 まずい!!


「マリオネット!!」


 俺は操糸術の大技を使う。


 キングラビットの四股と角に糸が絡まり、上空に舞う。


 突進は止まり、キングラビットは宙に浮く。


 モフは地面に着地すると、急いで敵から距離を取り、ライトボールを連発する。


 俺はこの機を逃さず再び武器攻撃をしようとする。


 キングラビットは宙づりになったまま、猛烈に暴れる。


 パキイイイイイイイン!!


 すべての糸が切れ、キングラビットは着地する。


「キュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!」


 怒り狂った敵の咆哮が響き渡り、空気が震える。


 綱渡りのような戦闘だ。状況はかなり厳しい。


 

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