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218話 魔神戦 ~王宮にて


 ――王宮内大広間にて


 精霊神ラビィは、トールに月の宝玉を渡した後、王宮の大広間に戻った。


 大広間では、国王を始め、大勢の騎士団員や王宮の高官たちが、宙に浮かぶホログラム映像を一心に見つめている。


 その映像は王都の北門の前の映像だ。


 魔神が降り立ち、トールたちは魔神と対峙している。


「こ、これが……魔神の力……!」

「ま、まさか空からあんな激しい黒い星が降ってくるなんて!」

「ま、魔王のときよりも、凄まじかったぞ!」

「な、なんて恐ろしい力なんだ!」


「でも……勇者たちが王都を守ってくれたぞ!」

「おお! そうだ! あの結界や防御は凄かったな!」

「勇者たちのおかげで、守られたのだ!」

「「「おおお!!」」」



「ラビィ様の宝玉で……勇者殿が結界を張った……魔神を閉じ込めてるぞ!」

「結界から出られないようだぞ! すごい!」


「ん? 魔神が……体を震わせてるぞ……こ、これは……!」

「な、なにか魔神の力が……増幅してるように見えるぞ!」

「角の上に……赤い光の玉が……現れたぞ!」


「赤い玉が……どんどん大きく膨れ上がっていくぞ!」

「こ、これはとてつもなく危険な感じがする……!」


 ラビィはその映像を見て、驚愕する。


「なっ! あれは……魔王のアポカリプスの技だよ! 魔王のときとは比べ物にならないくらいの力が溜めこまれていってる……」


「「「なっ!」」」 

「「なんということだ!!」」

「あのときより、さらに凄まじい攻撃がくるのか!」

「ま、まだ膨れ上がってるぞ! なんて巨大な赤い玉なんだ!」



「皆……勇者たちが、何か話をしてるみたいだぞ……」

「た、頼む……勇者とその仲間たちよ……」


「あっ! 勇者の仲間の猫戦士が消えたぞ! 霧のように、消えていった……」

「なっ! 猫のお嬢ちゃんが……剣に変わった! な、なんということだ!」


 ラビィはその光景に驚く。そして、厳粛な顔でつぶやくように口を開く。


「みんな……ミーアは……自分の命を犠牲にして、トールの為に最高の剣を生み出し、託したんだ。あの剣は……ミーアの命そのものなんだ……」


「「「な、なんと……」」」

「……ミーアちゃん……」



「お……おい……今度は騎士の女性が……消えて行ったぞ……」

「よ、鎧に変わった……ぞ……」

「あれは……アリシアです……。フォレスタ領都の副騎士団長――聖騎士のアリシアです。私の知り合いなのです……。あなたも……その身を、皆のために捧げるのですね……」


「トール殿が……剣と鎧を身に着けた……」



『パリィイイイイイイ――ン!』


 映像から音が聞こえて来る。


「魔神を閉じ込めてた結界が壊れたぞ!」

「ま、まずいぞ!」


 ラビィは、王宮の皆と一緒に、静かに映像を見続ける。


『ズシン ズシン ズシン』


「なっ! 巨大なゴーレムが現れたぞ!」

「あれは確か……ポルポワール家のパスカル氏が作ったオリハルコンゴーレムに違いない!」


『トールさん。魔神の動きを封じるのは私の役目ですよぉー。このゴーレムを最高の状態で動かしてみせるのですぅー』


 映像からシャンテ・ポルポワールの声が聞こえて来る。


『トールさーん。私も頑張るのですー! ユニークスキル『女神の裁縫』最終奥義――神糸変化! はうぅうううううう――!!』


「――なっ! シャンテお嬢様が! 消えて行った……」

「なんと……シャンテ嬢まで……」


 シャンテの父親――ブランダ・ポルポワールが、その光景をじっと見つめている。


「……シャンテ……お前も……決めたんだな……自分自身で、自分のなすべきことを……私は……娘を……誇りに思うぞ……」


 ブランダの目から、一筋の涙がこぼれ落ちる。


「ブランダさん…………」

「シャンテお嬢様は……ご立派なお方です……」



「……お、おい……空が……真赤に染まってきたぞ……」


『ゴゴゴゴゴゴゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオ――』


「ゆ、揺れてきたぞ……」

「ま、まずいぞ…………」



『トール。魔神の魔力を抑えるのはわらわの役目なのじゃ。…………』


 イナリの声が。映像から聞こえてくる。


「……こ、今度は……狐のお嬢ちゃんまで……消えて行った……」

「大きな……狐のような炎に……変わった……」



『大丈夫だよ……戦いが終わったら、みんなミレアが生き返らせるからね!』


 ミレアの声が映像から聞こえてくる。


 ラビィは言う。


「みんな、心配しないで。ミレアは、エルフの秘儀(ユグドラシル)を継ぐ者だよ。戦いが終わったら、きっと必ず、皆を生き返らせてくれるよ。ボクはそう信じてる」


「「「おおお!」」」


 国王が口を開く。


「そう、ラビィ様の言われる通り、ミレア嬢はエルフの秘儀(ユグドラシル)を継ぐ者だ。フォレスタ領主、レオナール・フォレスタの娘にして、かつてエルフの秘儀を継承したロザリーの一人娘なのだよ……」


「「なんと……そうでありましたか!」」


「エルフの秘儀を継ぐ者……つねに勇者と共にあり……かつて、私はそう聞いたことがある……」


 更にホログラム映像から声が聞こえて来る。


『ミレアを守るのは私の役割だよ。…………私は聖女。ミレアを守るのは私なんだよ…………お兄ちゃん、ミレア。後は任せるね。…………――聖女の誓い!』


「こ、今度は、少女が消えて行った……」

「勇者トール殿の妹さんだ……。ミレア嬢を守る緑の結界を張られたようだ……」


 国王が言う。


「そうだ。彼女がトール殿の妹君だ。そして、(いにしえ)の聖女を継ぐ者だ。聖女リン殿だ」


「「な、なんと!」」

「「せ、聖女様であらせられましたか!」」



『トールさん、これから……魔神の弱点を見抜きます。魔神の心臓の位置を示しますわ……――鏡花水月!』


「あっ! 今度はルーナ様だ! 月の巫女のルーナ様だ……」

「ルーナ様……消えて行かれた……」

「魔神の体に光が……魔神の弱点……心臓を示してるぞ!」


 ラビィはその姿をじっと見つめる。


「ルーナ……君も……自分の使命を……見つけたんだね……」


 ラビィの目には涙の光があった。



『ゴゴゴゴゴゴゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオ――』


 王宮の広間が、空から来る振動で激しく揺れる。


 ホログラム映像に映る王都の空は、真っ赤に染まっていた。


『『『きゃあああーー!!』』』

『『『うわあああ――!!』』』


 王都の人々の叫び声も聞こえて来る。


「「「おおおお!!」」」

「まずいぞ! 真っ赤な空が落ちてきたぞぉおおおー!!」

「お、落ち着け! 皆!」


「みんな! 落ち着いて! 大丈夫だから!」


 ラビィは声を上げる。



『トール! ミレア! 私も行くわ! 絶対に防ぐから! ――ユニークスキル『女神の結界』最終奥義――ミルレリアヴェール! はぁああああああああああ――!!』


 映像から聞こえてくるのは、エミリーの声。


 消えていくエミリーの霧の中から、王都を包み込む巨大な光の結界が出現する。



「おお! 王都に結界が現れたぞ!」

「なんて眩しい結界なんだ!」

「王都中を包み込んでるぞ!」


「みんな! あれが、女神の加護を持つ者――エミリーの最高峰の結界だよ! 女神ミルレリアの力が込められた正真正銘の女神の結界だよ! みんな! 大丈夫だよ! 心配しないで!」


 ラビィは自身満々にそう言い切る。


「「女神の結界!!」」

「なんと……神々しい結界なんだ!」

「「エミリー嬢! ありがとう!」」

「みんな! 我らには女神様が付いているぞ! きっと大丈夫だ!!」

「「「おおおおおお!!」」」


 王宮の大広間に希望の声が湧いた。


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