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16話 基本的に魔物は人に懐かないが


 朝が来た。


 いつものようにステータスを確認する。装備品を付けての確認だ。


 昨日はグレイキャットとモフミィを狩りまくったので、レベルが3も上がっていた。

 そしてレベルは15になった。


――――――――――――

トール 18歳

Lv 15

体力:15+6

魔力:15

筋力:15+5

敏捷:15+15

精神:15

幸運:15+5


SP:8


スキル:夜目Lv3、感知Lv3


ユニークスキル:女神のドロップLv4


【装備品】

 武器(右手):ホーンソード

 防具(頭) :もふ猫のフード

 防具(肩) :緑光のショルダーガード

 防具(腰) :ゴブリンの腰巻

 アク(首) :キャッツアイ

――――――――――――



「うん、だいぶいい感じになってきたな!」


 さて、今日はすぐに5階層に行きたいところだが、また4階層で狩りをすることになった。

 

 というのは、昨日の夕食後にリンから今まで手に入れたユニークアイテムのことをいろいろ聞かれたのだが、アイテムボックス機能のある「もふ猫のポーチ」が随分と気に入ったらしい。


 やはり、収納や保存に超便利なもふ猫のポーチは、家事全般を取り仕切っているリンにとっては、喉から手が出るほど欲しいものだったらしい。


 俺が狩りの為に使うのですぐにはあげられなかったが、明日もう一つ取って来て渡すと言ったら、飛び上がって喜んだのだった。


 あとは、グレイキャットの落とすキャッツアイも欲しいみたいだったので、そちらもついでに狙うことにする。

 やっぱりリンも女の子だし、奇麗な宝石とかアクセサリーには興味があるようだな。


 ちなみに、リンの護身用に未使用の「水の宝玉」を1つ渡しておいた。一応、使い方を庭で実演してみせたが、びっくりしてたな……。





 というわけで、4階層にやって来た。

 

 なるべく早く5階層に行きたいので、猛スピードでモフミィとグレイキャット狩りを開始する。

 レベルも上がり、装備もだいぶ充実してきたので、昨日より狩りが捗る。


 

 ――そして約3時間後。


「はぁ…はぁ…。つ、疲れた……ちょっと休憩だ」


 目的の「もふ猫のポーチ」はまだ入手出来ていないが、「キャッツアイ」は2つ入手できた。

 モフミィは昨日の狩りの影響か、今日はあまり見かけなかった。

 

 ダンジョンは魔物を狩りつくすと一時的に数は減るが、時間が経過すると共に再び魔物が湧いて出てくる。

 グレイキャットは昨日と同じくたくさんいたが、モフミィは昨日よりやや少なかった。

 おそらくモフミィは湧きが遅いのかもしれない。



「よし、そろそろ昼食にしよう」


 安全そうな場所に移動して、リンの作ってくれた弁当を広げる。

 

「おっ、今日はサンドイッチ弁当だな。これはうまそうだ」


 色とりどりの野菜や肉が入ったサンドイッチを頬張る。

 

「んん~~ん、美味い! さすがはリンの作ったサンドイッチだな!」


 リン特製の果実水も飲む。さっぱりとしていて乾いた喉に心地よく染み渡る。



「ん? あれは……」


 いつもは俺から全力で逃げていくモフミィが、なぜか遠巻きに物欲しそうな目でこちらを見ていた。


「……もしかして、お前も食べたいのか?」


(じぃーっ……)


 こっちを見てるな……。ん? よく見るとこのモフミィは色が少し違うな。普通は毛並みが真っ白なのに対してこのモフミィは少し黄色がかったというかクリーム色っぽい色をしてるな……。


「あっ! もしかして……『テイム種』かっ!」


 ――テイム種。


 以前、ギルドで冒険者登録をした際に、初心者冒険者用の講義を数日間受けたことがあった。

 その時の講義の内容に「テイム種」というものがあった。

 

 基本的に魔物は人を襲ってくるものだ。敵わないと見ると逃げる場合もあるが、基本的にはそのどちらかだ。

 そして、魔物は決して人に懐かないものだ。

 しかし、稀に人を襲ってこない魔物も存在する。なんらかの原因で人に対して敵対的でなく、友好的な性格に変化した、言わば変異種というものが稀に生み出される場合がある。

 それが、「テイム種」と呼ばれる個体だ。テイム種はその種族の魔物と比べて少し色が違うのが特徴だ。

 そして、テイム種はこちら側の取る行動次第で、懐いてテイムできる(仲間に出来る)可能性のある個体だ。


 俺は、1年前に聞いたこの話を思い出した。なんとなく印象に残っていた内容だったからだ。



「よし、やってみるか……」


 俺は残りのサンドイッチをそっと地面に置いて、その場から少し遠ざかって様子を見る。


 すると、チラチラとこちらを見ながらも、サンドイッチに近づいて来た。

 ――そして、サンドイッチをむしゃむしゃと食べ始めた。

 

 なんか美味しそうに食べてるな……。

 微笑ましい気持ちで見ていると、食べ終わったモフミィはこちらを再びじーっと見つめてくる。


≪モフミィが仲間になりたそうにしています≫ 


「えっ?」


 お馴染みのゲームでよくあるセリフが天から聞こえてきた。


≪仲間にしますか? Y/N ≫


「いぇええーーっす!!」


 俺はYesを叫んだ。


≪モフミィが仲間になりました≫


「いやったああああああ!!」


 俺は狂喜した。


≪テイムしたモフミィに名前を与えてください≫


「お、名前をつける必要があるのか……う~ん、何にしようか……」


「う~ん…もふもふしてるから、『モフモフ』……いや安直すぎるか……んん~もっと呼びやすい名前を……も…ふ…『モフ』ってのはどうなんだろうか?……」


 その瞬間、いきなりモフミィが金色に光り輝いた。


≪テイムしたモフミィの名前が『モフ』に決定されました≫


「いきなり決定かよ!」


 ――つい、突っ込んでしまった。


「にゃ~ん♪」


 なんかモフが嬉しそうに鳴いて飛び跳ねた。……まあ、いっか……。

 



 モフミィのテイム種こと、モフが仲間になった。


 モフは俺に近づいてきてまるまると太ったもふもふの体を俺の脚に擦り付けてきた。

 そして、ちょこんと座って何かを手の肉球に乗せて俺に差し出して来る。


「ん……お! これはもふ猫のポーチか! ……これを俺にくれるというのか?」


 モフはコクリコクリと頷いた。


「おお~ありがとうな、モフ」


 俺がモフをもふもふすると、モフは気持ちよさそうに目を細めた。


「あ、そうだ、モフ。これは一旦お前に返すから、後でお前の方から俺のリンに直接渡して欲しいんだ」


「にゃ~」(了解――コクリ)


 テイムで仲間になったおかげか、言葉はしゃべれないがテレパシーのように俺の意図することは正確に伝わるようだ。テイムってすごいな。


「あ、そうだ、仲間になったから、モフのステータスを見れたりするのかな?」


 俺はモフを鑑定するように見つめると、ステータス画面が現れた。



――――――――――――

モフ (モフミィ種)

Lv 10

体力: 8

魔力:12

筋力: 6

敏捷:20

精神: 8

幸運:12


スキル:夜目Lv3、感知Lv3、空間魔法Lv1、光魔法Lv1


可能装備:アクセサリー(首)

――――――――――――


 

「おお~結構スキル持ってるな。しかも空間魔法や光魔法まで使えるのか!」


 能力値はかなり偏った感じだが、スキルは充実してるな。

 特に空間魔法は、かなりレアな魔法だったはずだ。アイテムボックス機能のある「もふ猫のポーチ」をドロップするだけのことはあるな。

 これから魔物を一緒に倒していけば、レベルアップして更に強くなるのかもしれない。

 今後の成長が楽しみだ。


 ……ん? ステータス画面をよく見ると、首のアクセサリーが装備可能のようだ。


「これはちょうどいい! キャッツアイは3つあるので、そのうち1つはモフにあげよう」


 俺は キャッツアイ(ユニーク首飾り)をモフの首に掛けてみる。


「おお~モフ、似合ってるぞ」 


「にゃ~ん♪」


 モフは喜んでいるようだ。


 再びモフのステータスを見てみる。


――――――――――――

モフ (モフミィ種)

Lv 10

体力: 8

魔力:12

筋力: 6

敏捷:20+10

精神: 8

幸運:12


スキル:夜目Lv3、感知Lv3、空間魔法Lv1、光魔法Lv1


装備品:キャッツアイ(アクセサリー首)

――――――――――――



「おおー元々素早さが高かったが、更に高くなったな。これなら敵の攻撃はそうそう当たらないだろう」


 よし、目的のポーチもモフがくれたので、もう4階層探索は必要ないだろう。


 これから5階層に行ってみるとしよう。



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