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140話 ポルポワール邸の警備体制


 昼下がりの午後。


 俺たちが、ブランダさん、エレナさんと共に、ポルポワール邸のサロンでくつろいでいたところ、1階の玄関口の方から、なにやら騒がしい声が聞こえて来た。


「だ、旦那様!! た、ターニャさんが戻ってまいりした! お喜び下さい! ターニャさんは無事です!!」


 メイドの一人が息を切らせながら、サロンに飛び込んできた。


「なっ! それはまことか! おお! ターニャ! よかった! 本当に良かった!」

「まあ! ターニャちゃん! よく無事で!」

「「おおお!! やったー!」」


 皆で駆け足で1階の大広間に行くと、煤で汚れたメイド服姿で、息を切らしている少女がいた。


「おお! ターニャ!」

「ターニャちゃん!」


「はぁ…はあ…、だ、旦那様! それに皆さまも! 今までゲルダ商会の本部に監禁されてました! や、やっと逃げてこれました!」


「なっ! なんと!」

「「おおお!!」」

「ターニャちゃん! ほんとに、無事で良かったですぅ~!」


「よく戻って来ました! ターニャちゃん。本当に良かった…。怖かったでしょう。辛かったことでしょう。もう大丈夫よ。ここに居ればもう安心ですよ!」


 ターニャさんをそっと、抱きしめるエレナさん。


「奥様ぁ…うっ、うっ、うわああ~~ん」


 安心して緊張が解けたのか、エレナさんの胸の中で、泣き出すターニャさんだった。



 こうして、半年間もの間行方不明になっていたターニャさんだったが、無事帰ってくることができ、皆は喜びあったのだった。





 その日の夜は、ターニャさんの無事を祝って、祝賀会となった。

 豪華な晩餐。主役はターニャさんだ。

 

 意外に気丈なターニャさん。今はすっかり元気になって、これまでの経緯を、食事をしながら皆に話している。


「な、なんと! あの指輪の魔法でやっつけたのか! す、すごいな!」

「ターニャちゃん、すごいのです!」

「にゃ~、ターニャちゃん、勇敢だにゃ~!」

「ゲルダ商会の悪者は成敗されたのじゃー!」

「ターニャちゃん、怪我が無くてよかったね!」


「トール君! あの指輪をオークションに出して、正解だったな! まさかこんなかたちで役に立つなんて……まったく運命の女神は粋なことをしてくれるものだなっ!」


 皆、笑顔で盛り上がっている。本当に良かった!


 

 ターニャさんの話に出て来た魔族。

 やはり魔族がゲルダ商会と繋がっているようだ。

 どれだけの強さを持った魔族なのだろうか? 俺は興味を惹かれた。


 ターニャさんは、更に情報を提供してくれる。


「あ、そう言えば、その魔族の男について、ゲルダ会長と幹部の人の会話を偶然耳にしたことがあります。確かその魔族の男の名前は『ダグラス』。レベルは820だそうです」


「「おお!」」

「なるほど! それは良い情報ですね」

「820かにゃ~、たいしたことないにゃ~」

「そうね。私たちのレベルは皆1000。しかもユニーク装備で更に強化されてるし」

「油断しなければ余裕なのじゃ~」


「えっ! 皆さま、ほ、本当ですか! すごいです! 私、すごく安心しました!」


 ブランダさんが話す。


「しかし、ゲルダ商会のやつらは、誘拐までするのか……。とんでもないことだ。一応、私の方から騎士団に報告しておくつもりだ。ただし、恐らく向こう側は白を切ることと思う。ターニャ独りの証言だけでは、証拠にならないとかなんとか言い出すだろうな……」


 更にブランダさんは続けて話す。


「まあ、しかし裁判沙汰にはしないつもりだ。裁判になるとターニャに負担がかかる。敵も必死だろう。証人であるターニャが再び狙われかねない。あんな恐ろしい目にあったのだ。これ以上ターニャを危険な目に会わせる訳にはいかない。今後、ターニャには護衛をつけることにしよう」


 俺もブランダさんの考えに同意する。


「そうですね。今後はターニャさんに強力な護衛をつけた方がいいと思います。そして、ポルポワール邸全体も警備を厳重にしたほうがいいですね。今は、俺たちパーティーがいますが、今後、俺たちが冒険の旅に出るとなると心配ですね。そろそろ、潜水船も出来上がりそうだし――……」


 ん? なんだろう……。モフが何か言いたそうだ。


 モフは言葉は喋れないが、俺とはテレパシーのような感覚で意思疎通できる。


 なになに……。後で皆と一緒に大広間に来て欲しい?


 ふむ、なんだかよく分からないがモフに何か考えがあるようだ。


「ま、まあ、とりあえず、皆さんでそれぞれスマーフォを持って、何かあればすぐに連絡を取り合うようにしましょう」


「そうだな。最近、父のおかげで、更にスマーフォの性能が上がった。今ではかなりの距離でも連絡が取れるはずだ。なにか異変が起きたら、トール君を始めパーティメンバーの方々に連絡をさせてもらおうと思う。よろしく頼みます」


 そう言ってブランダさんは頭を下げるのだった。





 晩餐会が済んだ後、ポルポワール邸にいる全員が、大広間に集まっていた。


「トール君、モフ君が何か用事があるとのことだが……」

「にゃ~。なにかあるのかにゃ?」

「モフちゃん? 何かな?」


 皆がモフを見つめながら、興味深々にしている。


「よし、モフ。皆集まったぞ。やっていいぞ!」


 モフはちょこんと頷き、踊り出した。


 すると、大広間の中央に大きな金色に輝く扉――"門" のようなものが現れた。


 ――空間魔法Lv8 転移門



「「「おおお!!」」」

「にゃ~! 大きな扉が現れたにゃー!」

「な、なんだか分からないが凄そうだぞっ!」


 そして、なんとその門から、モフにそっくりの猫型の魔物が、次々に現れて来た。


「「「おおお!!」」」

「モフの仲間だにゃー!」

「ほんと! モフがいっぱい!」



 モフ――種族:モフミィロード

 すべてのモフミィ種を従える存在。


 次々に現れてきたモフの仲間は、隊列を組んで、モフの前に整列する。


「「「にゃ~ん!!」」」


 そして俺たちに向かって、敬礼するモフの仲間たち。その数総勢30匹!


 俺の「翡翠眼」が自然に発動してくる。




―――鑑定―――

ハイモフミィ Lv300+80

(モフミィの上位種)

・光魔法Lv8

・空間魔法Lv7

・猫爪Lv6

・感知Lv5

―――――――― 

 28匹



―――鑑定―――

『エレミィ』 固有種(ネームドモンスター)

 Lv650+150

種族:エレメンタルモフミィ

・全4属性魔法Lv8

・空間魔法Lv9

・回復魔法Lv4

・猫爪Lv7

・魔力向上Lv5

・感知Lv6

――――――――   

 1匹



―――鑑定―――

『シルバー』 固有種(ネームドモンスター)

 Lv700+150

種族:ガーディアンモフミィ

・光魔法Lv9

・空間魔法Lv9

・回復魔法Lv5

・猫爪Lv8

・魔力向上Lv5

・感知Lv6

――――――――   

 1匹



 俺は皆に、モフの仲間たちのレベルや強さを伝える。


「「「おおおおーー!!」」」

「にゃー! 凄い援軍にゃー!!」

「強そうなのじゃー!」

「こ、これは頼もしい仲間たちだぞっ!」

「ぽ、ポルポワール邸を警備してくれるのか!? こ、これは助かる! ありがとう!」


「すごく頼もしいわ。モフちゃんのお仲間さんたち、よろしくね! あ、そうだわ、これから皆さんに毎日ご馳走をたくさん作ってあげないとね!」

「私、腕に寄りをかけてたくさんの料理やお菓子をつくりますっ!」


「「「にゃにゃにゃあ~~~~ん♪」」」


 モフの仲間たちは大喜びしているようだ。



 こうして、モフの頼もしい仲間たちが、今後ポルポワール邸とターニャさんを警備してくれることになったのだった。 


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