118話 呪いのアイテム
朝が来た。
昨日はタイタンを倒し、ついにA級ダンジョンの最下層に到達した。
後は、いよいよ迷宮主戦だが、どんな強敵が現れるか分からない。今まで以上に大変な戦いになるかもしれない。
数日かけてしっかりと準備をして挑戦しようと思う。
今日は、戦いに備えて各々いろいろな準備をすることとした。
ミーアたち3人組とミレアは連れだって、必要な上級ポーションやマナポーションなどの消耗品を買いこみに街に出て行った。
まあ、あのメンバーのことだから、用事が済んだら露店などで買い食いとかしそうだな……。
俺は、階層主から得た4つの女神のユニーク武器を見ながら、あれこれと組み合わせを考えながら今後の戦術を練る。
魔剣ニ刀流もいいし、魔杖のニ杖流もいいかもな。それとも、剣と杖を持つのもおもしろそうだ。
魔剣リヴァイアサンと魔杖グリフォン装備で水と風の合わせ技もいいかな? それとも、魔剣タイタンと魔杖イフリートで土と火の合わせ技もおもしろそうだ。
う~ん、しかし盾も捨てがたいな……。頭のアクセサリーはどうするか?
いろいろな考えが浮かんでは消える。こういう装備の組み合わせや戦術を考えるのも、案外楽しいものだな。
それはそうと、シャンテのアイテム整理はどうなったかな?
シャンテは、以前A級ダンジョンの上層や中層階で入手したアイテムを、鑑定メガネをかけて、整理しているようだ。
レベル上げを優先し一気に攻略したので、ドロップアイテムの整理がまだ完全に出来ていなかったのだ。
また、32階層のモンスターハウスで倒した、アンデッドの魔物の集団から落ちたアイテムの整理が、まだほとんど手付かずのままだった。
あの時は、アンデッドの魔物がいきなり大勢出て来たのだ。無我夢中で倒しまくったので、なんの魔物がいたのか詳しくは覚えていない。いろいろな種類の魔物がいたのは確かだ。
そのドロップアイテムの中には、まだ未鑑定のものがあり、シャンテに鑑定させリスト作りなどを任せていたのだった。
もしかすると、何か掘り出し物が残っているのかもしれないな。俺もちょっと見に行こうかな~。
などと思っていると、シャンテがやってきた。
「トールさ~ん。いろいろと使えそうなアイテムを発見しましたよ~」
なにやら楽しそうにしているシャンテ。
俺とシャンテは作業場の部屋へ戻り、アイテムの確認をする。
シャンテは、もふ猫のポーチからいろいろとアイテムを取り出して、作業台の上に並べる。
「まずは、怪しいアイテムですよぅ~。なんと、呪い系ですねぇ~」
「ん、呪い? おお~いろいろあるな~」
~~~鑑定~~~
【スケルトンキングのレアアイテム】
呪いの骨剣(武器:剣)
・攻撃力(AR)15
・装備時、全能力+10(幸運値除く)
・攻撃時、敵に呪い付与(中)
‥‥‥‥‥‥‥‥
【グールジェネラルのユニークアイテム】
腐食の槍(武器:槍)
・攻撃力(AR)19
・装備時、体力+50、筋力+50
・攻撃時、敵に呪い付与(大)
‥‥‥‥‥‥‥‥
【ウルフゾンビのユニークアイテム】
呪縛の牙(武器:短剣)
・攻撃力(AR)14
・装備時、体力+20、筋力+20、敏捷+40
・攻撃時、敵に呪縛付与(大)
‥‥‥‥‥‥‥‥
【カオススライムのユニークアイテム】
呪いの勾玉(消耗品)
・投げつけると強力な呪いがかかる
・能力値減少、各種耐性低下、視界不良、呪毒、呪縛、回復阻止効果等
~~~~~~~~
「おおお! なんか怖い効果だな……!」
敵に呪いを与える効果がある武器やアイテムだ。ちょっと怖いが、これは凄い……。
呪いの効果は、いまいちわからないが、カオススライムの呪いの勾玉の効果を見ればなんとなく凄そうだ。これはボス戦に有効かもしれないな!
消耗品なのでいくつか欲しいものだ。
「シャンテ、ちなみに『呪いの勾玉』はいくつあるの?」
「そうですねぇ~。一応探してみたのですが、残念ながら1個しか見つかりませんでしたねぇ~」
ふむ、1個か……ちょっと物足りない気がするな。せめてもう1個か2個は欲しいものだ。それに呪いの武器も複数あってもいいかもしれない。
腐食の槍とかも凄そうだ。そうだな、ミーアにたくさん持たせて、投擲しまくるとか、良さそうだ。
それに、スケルトンキングのユニークアイテムが無いのも惜しいところだ。無いとやはり気になるのだ。
俺は考える。せっかくなので、もう一回モンスターハウスに突撃してアイテムを大量に得るのもいいかもしれないな。
あれから階層主戦でかなりレベルも上がり、スキルも高レベルになり、圧倒的に強くなった。モンスターハウスの魔物の軍団も今や一気に殲滅できそうだな。
などと、我ながら鬼畜なことを考えていると、意外に早くエミリーたち4人が帰ってきた。
お、ちょうどいいところに帰ってきた。皆でモンスターハウスに行ってみるか。
「トール、上級のポーションやマナポーションをたくさん買い込んできたわ」
「にゃ~。ついでに露店で買い食いしてきたにゃ~」
「お肉がおいしかったのじゃー」
「ミレア、甘辛串焼きがおいしかったよ!」
やはり買い食いしてきたか……。まあ食欲があることはいいことだ。
「おう、みんな! 買い物お疲れさんー。ところで、帰ってきて早々申し訳ないが、これからモンスターハウスに突撃しないか? アイテムの追加補充だ!」
「「「えっ!?」」」
皆の表情が固まった。
こうして俺たちは、32階層のモンスターハウスに突撃し、あっさりとアンデッド集団を瞬殺して大量のドロップアイテムを手に入れた。
一旦ダンジョンオアシスへの扉がある38階層に飛んで、目当てのドロップアイテムがあるかどうかを確認する。
「おっ! あったぞ! 『呪いの勾玉』2つも入手できたぞ!」
「トールさん、よかったですねぇ~」
シャンテが目を輝かせている。
そして、運よくもう一つのお目当てのユニークアイテムも入手出来ていた。
~~~鑑定~~~
【スケルトンキングのユニークアイテム】
呪いの骨大剣(武器:大剣)
・攻撃力(AR)19
・装備時、全能力値+30(幸運値除く)
・攻撃時、敵に呪い付与(大)
~~~~~~~~
今度は、レアアイテムと違い、呪い効果(大)の大剣だ。よし! これですっきりした。
やはり、高レベルの魔物のユニークアイテムがどういうものかは気になるのだ。
ちなみに今回は、ドラゴンゾンビは出なかった。きっと高レベルの魔物だから湧きが遅いのだろう。
「皆、付き合わせて悪かったな。よし! 温泉に入るぞー」
「「「やったー!」」」
ダンジョンオアシスの扉を開き、皆で中に入る。
「にゃ~、やっぱり温泉は気持ちいいにゃ~」
「埃まみれになった身体と尻尾もきれいになったのじゃー」
「この冷たい果実おいしいね!」
「はぁ~いい湯だ。蕩けそうになるなー」
モンスターハウス突撃で埃まみれになった俺たちだったが、温泉に浸かりサッパリするのであった。