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113話 階層主④ 水


 39階層の階層主――リヴァイアサンが現れた。



―――鑑定―――

リヴァイアサン Lv1300

・海竜

・強烈な水の攻撃をしてくる

・強力な水魔法も使用してくる

・全般的に能力値が高い。

・強力な牙の攻撃にも注意

――――――――  



「よし! 皆! 先手必勝だ! 一気にいくぞ!」


「「「おう!!」」」


 皆が動き出す。


 敵は湖の中央にいるので、遠距離攻撃だ。


 ミレアが、魔杖グリフォンを掲げ、風魔法を使う。


「――風竜召喚!」


 俺もミレアに合わせて、現在の最大攻撃魔法の風魔法を使う。

 左手に持っている盾を、「女神の魔杖グリフォン」に変更する。俺の風魔法のレベルが12に上がる。

 女神装備の魔石を魔力の上がる魔石に交換する時間がなかったが、一気にけりをつけるつもりだ。


「風魔法Lv12――ウインドノヴァ!」


 広範囲高威力の風魔法だ。


 いつものようにアリシアさんは剣技で光の刃を飛ばす。

 ミーアも、予備のユニーク武器を投擲し始める。


 皆の攻撃がリヴァイアサンに向かう。


 ――しかし


 膨大な水の竜巻がリヴァイアサンの周囲を回り始める。


 更に、敵は大きな口を開け、巨大な水の玉を勢いよく噴き出した。

 

 ボウウウウウウウウウウウ――ン!


 凄まじい水撃砲だ!


 ウインドノヴァと風竜の合わせ技に対して、リヴァイアサンの水の竜巻と水撃砲が激突する。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ――!! 


 周囲が凄まじい音を立てて振動する。


 風と水が相殺して、霧散する。


 こちらの風の攻撃もかなりの威力のはずだが、敵の水の力も凄まじい。とんでもない高密度の水だ。


 皆の追撃の遠距離攻撃も失速して、ダメージはほぼ入らなかったようだ。



 GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!


 更にリヴァイアサンは巨大な水の玉を無数に浮かべ出す。湖面上は高密度の水の玉でいっぱいになる。


 まずい!


「――防御結界!」


 エミリーが結界を張る。

 

 モフもそれに合わせて結界のすぐ外側に空間の壁をつくる。


 俺とリンは、魔力を込めてそれぞれ巨大なウインドシールドとアースシールドを張る。


 無数の水の玉が襲い掛かってくる。


 更に、再び敵は大きな口を開け、凄まじい水撃砲を放ってくる。


 ドゴオオオオオオオオ――ン!


 ウインドシールドとアースシールドが砕け散り、空間の壁と結界に水の玉が無数に当たる。


 バリバリバリバリ――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ――


 モフの空間の壁が所々破壊され、エミリーの結界が揺れる。


 なんとか耐えたが、凄まじい水の攻撃だ。



 イナリが叫ぶ。


「――メテオ(隕石落下)!!」


 空から炎に包まれた小隕石が次から次へとリヴァイアサンのいる湖面に落ちる。


 GYAAAAAAAAAAAA――!


 激しい水しぶきと水蒸気が上がり、リヴァイアサンの悲鳴が聞こえる。


「よし! ナイスだ! イナリ!」



 しかし、リヴァイアサンの目は更に青く輝き、体から凄まじい水の力を感じる。


 その瞬間、湖の水が立ち上がり、一斉に津波のように襲い掛かってきた。



 ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ――



 まずい!


「――魔鉱の土壁!」 


 リンが叫び、土魔法の防御壁が展開される。


 モフが再び空間バリアを張る。


 俺は、再び魔力を込めて巨大なウインドシールドを張る。


 アリシアさんとミーアが、皆の前に立ちふさがり盾を構える。


 ゴオオオオオオオオオオオオオオオ――


 ガガガガガガガガガ―― バリバリバリ――


「うわあああ――!!」

「にゃにゃああああ!!」

「きゃああああ――!!」

「ああああああ――!」


 バリイイイイイイイイ――ン


 俺たちのすべての防御が破れ、エミリーの結界の弾ける音が聞こえた。


 ドォオオオオ――ン


 気が付いたら、俺たち全員が激しい水の波に押し流され、大部屋の後ろの壁にぶつかっていた。


「うぐっ!」

「いたたたた――!」

「ぎにゃああああ!!」

「いたいっ!」


 痛い! 凄まじい水の攻撃だ。



 ミレアが叫ぶ。


「――世界樹の癒し!」


 皆が一斉に回復する。


 すかさずエミリーが再度結界を張る。

 モフも魔力を込め、空間の壁を再度つくり、次の敵の攻撃にすばやく備える。


 俺は考える。このままでは敵の水の力に圧倒されそうだ。

 リヴァイアサンの体の周囲には、濃密な水の竜巻が今でも激しく回っている。

 あの水は、攻撃と同時に身を守る水の鎧としても機能しているようだ。破るのも難しそうだ。


 更に俺は考える。電撃攻撃で行くか!? 

 水は電気を通しやすい。俺は前世で、濡れた手でうっかりと電気製品のコンセント部分を触り感電したことを思い出す。

 試してみるか!


 皆の指にはユニーク指輪「雷電の指輪」がはめられている。

―――――――――――

雷電の指輪(ユニークアクセサリー:指輪)

・装備時、魔力+30、敏捷+10、精神+10

・付与スキル 雷魔法Lv3

―――――――――――


「よし! 皆! 一斉に雷魔法の攻撃をするぞ!」


「「「おう!!」」」


 雷魔法のレベルは3で決して高くはないが、皆の魔力値は結構高いのでそれなりに効果はあるはずだ。


「「サンダーボルト!」」

「「ライトニング!」」


 リヴァイアサンに向かう無数の雷魔法。


 GYAAAAAAAAAA!


 敵の周囲の水に電撃が走り、痺れで少し動きが止まるリヴァイアサン。


 皆は更に電撃攻撃を続ける。


「トールさん! もう一度風の攻撃を!」


 シャンテが叫ぶ。なにか策がありそうだ。


「分かった! ちょっと準備する!」


 敵が止まっている間に、急いで俺は女神装備の空間ソケットの魔石を入れ替え始める。

 魔力が上がるハイリッチの魔石だ。 


 魔力が1600を超えた。


「よし! ミレア! もう一度一緒に風魔法だ!」

「うん! 分かった!」


 ミレアと一緒に、魔杖グリフォンを掲げ風魔法を使う。


「――ウインドノヴァ!」

「――風竜召喚!」


 リヴァイアサンが、電撃に痺れながらも、水のブレスを放ってきた。水の密度がかなり高いようだ。凄まじい威力を感じる。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ――


 俺とミレアの風魔法の合わせ技と敵の水のブレスが衝突し、せめぎ合う。

 

 風より水のほうが重く密度がある分強い感じだが、俺たちは魔杖グリフォンと森林蝶のリボンなどを装備している。それらの装備には風の威力が増す効果がついている

 

 徐々に風の力が水の力を上回ってきた。


 GYAAAAAAAAAA!


 そして、リヴァイアサンの水の力を押しのけたと同時に、双方の風と水の力が霧散する。


 その瞬間、シャンテの手から鋭い糸が、勢いよく敵に放たれたのが見えた。

 その糸の先には、紫色に怪しく輝く短剣がくくり付けられていた。

―――――――――――

ヒュドラの牙(レア武器:短剣)

・攻撃力(AR)16

・装備時、全能力値+15

・攻撃時、猛毒効果

―――――――――――


 リヴァイアサンにヒュドラの牙が突き刺さる。猛毒効果だ!


 GUUUAAAAA――!?


 更に、シャンテは器用にヒュドラの牙が付いた糸を操る。短剣が踊るように宙を舞う。

 リヴァイアサンの硬そうな(うろこ)の隙間を狙って、何度もその猛毒効果のある短剣を突き刺している。まるで針の穴に糸を通すような正確さと器用さだ。


 GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!


 リヴァイアサンの体が猛毒で徐々に紫色に変色してくる。動きが鈍り、苦しそうだ。


 敵に隙ができた。今がチャンスだ!


「シャンテ! ナイスだ! 皆! 最後の一斉攻撃だ!」


「「「おう!!」」」


 皆が一斉に動き出す。


 俺とミレアは、再び、同じ風魔法の攻撃をする。

「――ウインドノヴァ!」

「――風竜召喚!」


  イナリが叫ぶ。

「――煉獄火炎!」


 リンが叫ぶ

「――魔鉱の土石流!」


 シャンテが、ヒュドラの牙を戻して、新たに操糸術を繰り出す。

「――ツインマリオネット! 紫電の糸!」


 アリシアさんが叫ぶ。

「――聖光の飛刃!」


 ミーアが、すばやく湖に近づき叫ぶ。

「――地獄の咆哮!」


 ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ――!!


 猛毒で苦しむリヴァイアサンに、更にスタンが入り動きが止まる。


 モフも無数のライトボールを浮かべ、敵に向かわせる。



 そして――俺たちの攻撃のすべてが敵に炸裂する。


 ドババババババババ――ン 

 ドババババババババ――ン


 更に、俺たちの攻撃は続く。



 GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!



 そしてついにリヴァイアサンの断末魔の悲鳴が、辺り一面に響き渡った。


 徐々に、徐々に、霧のように消えて行くリヴァイアサン。



 ――天から声が聴こえてくる。


≪階層主『リヴァイアサン』を討伐しました≫



≪パーティーメンバーのレベルが上がりました≫

≪パーティーメンバーのレベルが上がりました≫

≪パーティーメンバーのレベルが上がりました≫

≪パーティーメンバーのレベルが上がりました≫

    ・

    ・

≪パーティーメンバーのレベルが上がりました≫


 経験値が体に流れ込んでくる。



 ――繰り返す天からの声


≪パーティーメンバーのそれぞれに特別ボーナスとしてSPが与えられます≫



 ――コロン、コロン


≪リヴァイアサンの通常アイテム『リヴァイアサンの鱗』をドロップしました≫ 



 ――コロン


≪リヴァイアサンのレアアイテム『水の紋章』をドロップしました≫ 



 ――コロン、コロン


≪リヴァイアサンのユニークアイテム『魔剣リヴァイアサン』をドロップしました≫ 

≪リヴァイアサンの上位ユニークアイテム『女神の魔剣リヴァイアサン』をドロップしました≫ 



「や、やった、みんな! やったぞ!!」


「にゃにゃにゃ――! やったにゃあああ!!」

「やったのじゃあああ!!」

「「おおお――!」」

「「やった――!」」



 こうして俺たちは、階層主リヴァイアサンを倒し、勝利の雄たけびを上げるのだった。 


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