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105話 36階層 鬼門


 朝が来た。


 昨日は、35階層に突如出現した、ネームドモンスター「モルフェン」を倒した。

 俺たちは、喜びと共にどっと疲れが出たので、あれからすぐにダンジョンを出たのだった。


 そして、一応、ギルド本部職員のサーシャさんに、そのことを報告しておいた。

 俺たちのギルドカードの解析で、レベル680の魔物と戦ったことを確認したサーシャさんは、大変驚いていた。

 

 まあ、これで35階層の謎が解けて良かったと思う。これから35階層に来るであろうA級冒険者たちの不安もなくなることだろう。


 あとは36階層の謎が残っている。更にその先の階層があるかどうか、あるならば何階層が最下層なのか――。


 サーシャさんの話によると、35階層に出てくる魔物、ツインテールキャットのレベルが450なので、一流のA級冒険者のレベルでも、そのあたりで打ち止めになるらしい。そこからレベルを上げるためには更に下の階層にいかなければならないが、先日の話でもあったように、36階層に踏み込んで帰って来たものはいない。100年ほど前の一人を除いては……。


 更に強くなる為には、必然的に装備を充実するか、有効なスキルを習得し伸ばすしかないのが現状とのことだ。


 まあ、強力なユニーク装備やアイテムがある俺たちは、恵まれていると思う。


 

 さて、昨日はモルフェンを倒したことで、俺たちはいろいろな恩恵を受けた。

 なかなか上がりづらかったレベルもある程度上がり、ボーナスSPが得られた。

 そして、希少なドロップアイテムと、モフが進化したこと、俺の女神のドロップスキルのレベル9が解放されたのだ。


 先ずはレベルについてだが、35階層に入る前は415だったが、460になった。上がりにくいレベルだったが、さすがに高レベルのネームドモンスターを倒しただけあって、まずまず上がったようだ。


 そして、ボーナスSPは、100も貰えたようだ。これはなかなかおいしいポイントだ。



 次にドロップアイテムを確認してみる。


~~~鑑定~~~

モルフェンの毛皮(素材)

・もふもふの高級毛皮

‥‥‥‥‥‥‥‥

モルフェンのリボン(レアアクセサリー:頭)

・従魔専用アクセサリー

・装備時、魔力+20、精神+20

・付与スキル:闇魔法Lv5

‥‥‥‥‥‥‥‥

モルフェンの首飾り(ユニークアクセサリー:首)

・従魔専用アクセサリー

・装備時、全能力値+40

・空間魔法Lv+1

・猫爪Lv+1

‥‥‥‥‥‥‥‥

モルフェンの魔石(全能力値+25)

~~~~~~~~


 レア、ユニーク共に従魔専用のアクセサリーだ。これはモフ用の装備になる。

 特に首飾りの方の効果は素晴らしい。能力値上昇が凄い。そして、なんと空間魔法のレベルが1つ上がる効果が付いている。猫爪Lv+1も何気にいい感じだ。

 頭のアクセサリーについては、以前は装備不可だったが、進化した結果、今は装備可能となっている。



 モフの進化については、ライトモフミィから、フェイズモフミィに進化することにより、空間魔法のレベルが1つ上がり、やや魔力値も上がった。

 そして、装備可能部位も増えた。頭、耳、胸(ブローチ等)のアクセサリーが装備出来るようになったのだ。素晴らしい進化だ。

 モルフェンの首飾りを付けることにより、モフの空間魔法レベルは更に1つ上がり、レベル8となる。当初は6だったのが、一気に2つ上がったのだ。これは凄いことだ。


 モフの空間魔法について、ステータスを詳細に見ると、レベル7で「空間操作向上」、レベル8で「転移門」となっていた。


 転移門。これも凄いスキルだ。魔力をかなり消耗するみたいだが、遠く離れた場所同士、門で繋げるスキルだ。門をくぐることによって大勢の人や物を、一気に遠くの場所に移動できることになる。もはや革命的なスキルだ。使い方次第では恐ろしい力をもつことになりそうだ。

 

 そして、恐らく空間魔法のレベル9は「瞬間転移」だと思われる。モフの今後が楽しみだ。


 ちなみに首飾りを以前の「白猫の鈴」から「モルフェンの首飾り」に変えると、付与スキルの「冷気の霧」「鈴の音」が使えなくなると思ったのだが、どうやら、今までこのスキルを使用していたおかげか、すでに新規スキルとして覚えていたのだった。

 特に「鈴の音」のスキルは強敵との戦いで戦況を覆すほどの有能スキルだ。今まで随分とこのスキルに助けられたものだ。

 

 これで、モルフェンの首飾りに変更しても大丈夫だ。

 

――――――――――

白猫の鈴(ユニークアクセサリー:首飾り)

・従魔専用アクセサリー

・装備時、体力+10 筋力+10 敏捷+15

・付与スキル 冷気の霧、鈴の音

――――――――――


 

 さて、ついに女神のドロップスキルのレベル9が解放されたのだ。

 変化した結果を確認すると以下になる。


………………………………

女神のドロップLv9


効果:魔物を倒したときのアイテムドロップ率および質が向上する。


 通 常 ドロップ 200%

 レ ア ドロップ  60%

 ユニークドロップ  20%


★新規追加効果 

・階層主に対してのレアアイテムとユニークアイテム、及び女神のユニークアイテムのドロップ率が100%になる

…………………………


 ついに通常ドロップ率が200%になっている。これで確実に通常アイテムは2つ落とすことになる。

 そして、レアとユニークドロップ率もかなり上がっている。特にユニークドロップ率は今までの15%から20%へと大幅に上がり入手しやすくなった。これはとても助かる。


 そして、新たな追加効果についてだが……。" 階層主 " に対してのドロップ率が100%とある。

 ――階層主。初めて聞く言葉だ。迷宮主はダンジョンの最下層のボスモンスターのことだが、階層主とはなんだろうか。

 

 最下層以外でも、特定の階層でボスモンスターに相当する魔物がいるというのだろうか。


 まあ、これは考えてもしょうがないな。そのうち分かるときがくるだろう。


 


 さて、今日はいよいよ36階層への挑戦となる。

 

 実は昨日、モルフェン討伐の報告をした際に、サーシャさんから、36階層についての新たな情報を得ることが出来た。

 サーシャさんは、あれから気になって、古い記録を調べ直したとのことだった。

 100年ほど前、36階層に挑戦し、一人だけ生還出来た戦いは、なんと24人もの人数で戦いに挑んだとのことだった。

 4人パーティーが6組。いわゆる、レイド戦だったらしい。それだけの大人数が協力して戦ったにもかかわらず、一人だけしか生き残らなかったらしい。


 ただし、どんな魔物が何体出て来たのかは分からない。

 36階層の魔物をある程度倒せたのか、それとも全く歯が立たず、やっとのことで一人だけ逃げ帰ったのかも分からないとのこと。


 ダンジョンの魔物は迷宮主も含めて、一度倒してもしばらくすると湧いて出て来る。したがって、当時彼らが戦った魔物は、当然今でも36階層にいることになる。


 俺たちはそんな化け物と戦おうとしているのだ。


 だが、俺たちは高レベルのユニーク装備でがちがちに固めてある。実質レベルは現在の基本レベルをはるかに超えている。

 更に、皆それぞれ、スキルも充実している。今までの戦いで、経験も積んで連携した戦いも上手くなったと思う。

 後は、自分自身と自分たちのパーティーを信じて挑戦するだけだ。



 皆が集まり次第、35階層に転移する。


 ここは36階層の入り口のすぐ手前だ。


「よし! 皆! 気を引き締めていくぞ!」


「「「おお!!」」」


 皆の頼もしい返事が返って来た。


 


 36階層に入るとそこは、広い洞窟だった。


 皆で陣形を組みながら、しっかりと感知スキルを発動し警戒しながら前へ進む。


 しばらく進んだが敵は出てこない。特に感知スキルに魔物の反応はない。


 やがて、洞窟は行き止まりとなり、そこに大きな扉があった。そして、扉の横に腰くらいの高さの台座がありそこに水晶玉が置かれてあった。

 まるで、ボス部屋への扉のようだ。


「にゃ!? まるでボス部屋の扉みたいだにゃ?」

「ほんとなのじゃー。変なのじゃ……」

「えっ、トール。まさかここが最下層なのかしら!?」


「う~ん。分からないな。とりあえず、水晶玉に魔力を注いでみるか……」


 俺は台座の上にある水晶玉に軽く手を触れ、少しだけ魔力を注いでみる。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴ――


 扉がゆっくりと音を立てて開いていった。


「おお! 開いたぞ! 皆、気を付けて入るぞ!」


「「「了解!」」」


 皆で扉をくぐる。



 扉の向こうは大広間になっていた。かなりの広さだ。

 ダンジョンの最下層のボス部屋に似ている。


 部屋の周辺には、等間隔で松明(たいまつ)が設置されている。


 松明の灯が揺れ、広間全体を怪しく照らしている。



 部屋の奥の方に、巨大な魔物の姿が徐々に現れてくる。 


 次第に、魔物の姿が鮮明になって来た。



「こ、これは――!?」

「にゃっ! にゃんと――!!」

「大きいのじゃ!」

「つ、強そうだぞ!」



 俺は驚愕のあまり目を見開くことになった。皆も驚愕の表情を浮かべている。



 天から声が聴こえてくる。



≪階層主、ケルベロスが現れました≫


≪ケルベロスのレベルは950≫



 ――繰り返す天からの声



 階層主――ケルベロス! レベル950! 


 俺たちは信じられない思いで呆然となる。


 やがて、松明に照らされた広間の中で、その階層主の全貌が明らかになった。


 巨大な体。がっしりとした四つ足。犬のような狼のような巨大な魔物だ。


 そしてその首は三つあった。三つの顔を持つ不気味な魔物。


 圧倒的なオーラを放っている。



 GUAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA――!!



 凄まじい咆哮に、俺たちは震撼する。


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