表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
102/141

102話 34階層 希少金属


 朝が来た。


 昨日は、コカトリスのいる33階層で狩りをした。

 その後、邸宅に戻って、入手したコカトリスの羽毛と尻尾をブランダさんに買い取ってもらった。かなり希少な物のようで、ブランダさんは喜んでいた。

 また、コカトリスの羽毛については、シャンテの母親のエレナさんが管理するらしい。高級な布団や服などで人気の素材だそうだ。もふもふくで、裁縫職人に加工して貰って商品にするとのことだった。


 そして、ブランダさんのオークションも、じわじわと人気が出てきているようだ。

 特に、先日渡した「ご飯の製造魔具」(ユニーク魔道具)がかなり好評で、高値がついたとのことだった。 

 それならばと、俺たちも「パンの製造魔具」をブランダさんに頼んで、いくつかオークションに出品してみることにしたのだった。 

 そしてついでに、以前キングラビットから入手したレアアイテムもオークションに出してみることにした。


――――――――――  

ビッグホーン(レア武器:槍)

・攻撃力(AR)14

・装備時、筋力+10、敏捷+10

・突き攻撃の際にクリティカルダメージが発生しやすい

――――――――――  


 レア武器のなかでは、かなり高性能だ。俺たちのメンバーの中で槍を使うものはいないので、出品してみることにしたのだった。

 ブランダさんが言うには、この槍は希少で、オークションに出せば、かなりの高値がつくだろうとのことだった。高ARと同時に装備時の能力値上昇、追加効果と3拍子そろった武器は、そうそう無いとのことだ。

 騎士団員や冒険者の中でも、槍を得意とするものは意外と多い。確かに需要はありそうだ。


 まあ、今の俺たちにしてみれば、もっと高性能のユニーク武器があるので、見劣りするのだが……。

 そう言えば、まだ槍のユニークアイテムは出てないな。もし出たら、ミーアにでも使わせるのがいいのかもしれない。ミーアは基本的に、大剣や剣を好むが、いろいろな種類の武器の扱いに長けているらしい。 


 ちなみにブランダさんは「物品鑑定」のスキル持ちだ。商人として成功するのに非常に便利なスキルだ。

 どうやら娘であるシャンテには、そのスキルは受け継がれなかったようだ。

 まあ、シャンテには、「黒の鑑定眼鏡」を渡しているので、特に問題ない。

――――――――――

黒の鑑定眼鏡(ユニークアクセサリー:顔)

・付与スキル 物品鑑定Lv3

――――――――――


 しかし、改めて考えてみれば、この眼鏡も希少な物だと思う。そもそも物品鑑定スキルを持つ者はかなり少ないらしい。この眼鏡があれば、簡単に物品鑑定が出来るのだ。これは、商人にとって喉から手が出るほど欲しいものだろう。

 これをオークションに出せば、きっと物凄い高値がつくだろうが、さすがにこれは出せないな……。ブランダさんの優位性が落ちることになりかねない。


 おっと、オークションについてつい考え込んでしまったな。


 さて、今日のダンジョン攻略は、34階層からになる。


 


 皆が集まり次第、ダンジョン内に転移し、34階層に入った。

 34階層はかなり広い洞窟だった。


 しばらく歩くとゴーレムらしき巨体がゆっくりと歩いていた。

 ミスリルゴーレムに似ているが、色が違っていた。



―――鑑定―――

アダマンタイトゴーレム Lv440

・ゴーレムの高位種

・強力な腕力と体力を誇る

・体が非常に硬く防御力が高い

・物理攻撃、魔法攻撃共に効きづらい

・スキル:硬化Lv5

・弱点:特になし

―――――――― 

    

「おお! アダマンタイトゴーレム!」


 俺は驚愕すると共に、期待の感情が湧いてきた。


 アダマンタイト。これはミスリルの更に上位の鉱物として知られ、その硬度はかなりのものと聞く。希少な鉱物であるアダマンタイトをドロップする可能性があるのではないか!?


 ミーアとアリシアさんが、飛び出し剣で斬り付ける。


 キィイイイイイーーン!


 剣が弾かれる音がする。

 体がかなり硬いようだ。それに加え、硬化スキルも使っているようだ。全身が青黒く染まっている。


 俺は考える。こういう硬い鉱石で出来た物体は、急激な温度差で少しは(もろ)くなるのかもしれない。


「皆! 火魔法で一斉攻撃だ!」


「「「おお!!」」」


 皆の指には「暗黒の指輪」がはめられている。

――――――――

暗黒の指輪(ユニークアクセサリー:指輪)

・装備時、魔力+50

・付与スキル 火魔法Lv4、闇魔法Lv4

・魔力回復(大)

――――――――


 火魔法レベル4が付与されている指輪の力で、一斉に炎の攻撃をする。

 ファイアーボールやファイヤーストームが敵に炸裂する。

 イナリは、複数の大狐火を敵に当てる。


 敵の体が真っ赤に染まる。

  

「よし! 今度は冷気魔法だ!」


 皆の指には「フロストリング」がはめられている。

――――――――

フロストリング(ユニークアクセサリー:指輪)

・装備時、全能力値+10

・付与スキル:冷気魔法Lv4

・寒熱耐性(中)

・魔力回復(中)

――――――――


 冷気魔法レベル4が付与されている指輪の力で、一斉に冷気の攻撃をする。

 アイスボールやフリーズストームが敵に炸裂する。

 モフが、冷気のブレスの攻撃をする。


 敵の体が今度は青色に染まる。


「よし! 3人で転移だ! ――転移!」


 俺は、ミーア、アリシアさんと一緒にアダマンタイトゴーレムの頭上に転移する。

 そして、頭上から敵に向かって、それぞれ剣を勢いよく振り下ろす。


 剣術派生スキル――鉱破斬(鉱物系統の硬い敵に特効)


「おりゃああああ!」

「にゃにゃにゃにゃー!!」

「ハァアアアアアー!」


 ガッ! ズサッ! ズン! 


 ピキッ――ピキピキッ


「ウォオオオオオオオオオオオーン!」


 硬い上半身がひび割れ、砕け、アダマンタイトゴーレムは叫び声を上げて霧となって消えて行った。

 そして、ドロップアイテムが落ちた。


~~~鑑定~~~

アダマンタイト鉱石(素材)

・非常に硬い希少な鉱石

・アダマンタイトの純度は低め

‥‥‥‥‥‥‥‥

アダマンタイトのインゴット(レア素材)

・高純度のアダマンタイト

・武器防具等、いろいろな素材に使われる希少な素材

~~~~~~~~ 


「おお! アダマンタイトが手に入ったぞ!」


「あっ、確かに、アダマンタイトのインゴットって鑑定に出てますぅー!」

「トール殿! アダマンタイトと言えば、かなり希少な金属だな!」

「にゃ~! すごいにゃ~!」



 こうして、俺たちは希少な金属――アダマンタイトを入手するのだった。特にレア素材のインゴットは貴重だ。

 これは鍛冶師にとって、ミスリル以上に最高の素材と言えるだろう。また、オークションにも出せそうだ。



 更にアダマンタイトゴーレムを探し、先ほどのやり方で狩り続ける。


 階層が広く、敵を探すのに時間がかかる。また倒すのも、結構時間がかかり大変だ。ただ敵の動きは、俺たちにとってはさほど速くはなく単調だ。ただし、強烈なパンチなどには、十分気を付ける必要はあるが。




 そして、なんとかユニークアイテムを2種類入手した。

 

~~~鑑定~~~

アダマントシールド(ユニーク防具:盾)

・非常に硬い盾

・防御力(DR)23

・装備時、体力+40、魔力+20、筋力+40

・土魔法Lv+1

・体術Lv+1

・付与スキル:シールドタックル

(強力な盾攻撃、ノックバックやスタン効果あり)

‥‥‥‥‥‥‥‥

女神のアダマントシールド(ユニーク防具:盾)

(同上)

・空間ソケット《2》

~~~~~~~~ 


 おお! これは素晴らしい! 盾のユニークは初めて出た。

 それにしても、防御力性能が格段にいい。装備時の能力値上昇もなかなかのものだ。そしてなにより土魔法と体術レベルがそれぞれ1づつ上がるのだ。

 この盾は、リンにぴったりの装備だと思う。リンはすでに土魔法にSP(スキルポイント)をかなり振っている。そして元々体術スキルも持っているので、更にスキルレベルを上乗せ出来るのは非常に効率がいい。そしてシールドタックルというスキルも強力そうだ。

 俺はよく朝寝坊した時に、リンにボディープレスをかまされて起こされるときがよくあったものだ。この盾はリンと相性がいいだろう。

 リンは二刀流よりも、剣と盾を持ったほうがいいように思う。防御力も重視してバランス型にした方が安心感がある。


 俺はリンに盾を渡す。


「お兄ちゃん、この盾すごくいいね! 力が湧いてくるよ! それに土魔法のレベルが上がったよ! やったー!」


 喜ぶリン。

 

 ふむ、シールドタックルのスキルが気になるな。ちょうど近くに大きな岩があるな。


「リン、試しにそこにある岩に、シールドタックルを使ってみてくれないか?」


「うん、了解。――シールドタックル!!」


 盾を左手に構え、すごい勢いで岩に突進するリン。


 ドゴオオオオオーーン


 大きな岩が崩れ去った。


「にゃ! すごい技なのにゃ! ミーアもその盾、欲しいにゃー!」

「と、トール殿、わ、私もその盾が欲しくなってきたぞっ!」


 

 こうして、ミーアとアリシアさんの分も入手するために、再びアダマンタイトゴーレムを狩り続け、無事にもう2つ入手できた。


「にゃぁ……つ、疲れたにゃ……」

「わ、わらわも魔力が尽きそうなのじゃ……」

「つ、疲れた……」


 うん……。今日のダンジョン攻略はこの辺にしておこう。


 まあ、おかげで、大量のアダマンタイトのインゴットが手に入った。俺たちのパーティーの資産がまた増えたな。今度、皆で豪遊でもするかな~。


「みんな、お疲れー。邸宅に戻るぞー。お風呂と美味しい食事が待ってるぞー。――転移!」


 こうして俺たちは、疲れながらも充実した一日を過ごしたのだった。 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ