1話
俺は碧。
社会人1年目。楽観主義全開で毎日適当に生きてるいわゆる陽キャだ。
持ち前のコミュ力を活かせる仕事に、と営業関係の仕事に就いた。
そしてなんと、兄ちゃんと同じ会社に内定を貰えたのだ…!よっしゃー!
部署は違えど、同じ会社の中に同じ空間で兄ちゃんと一緒に働けるってだけでめちゃくちゃやる気出る♪
ちなみに兄ちゃんはここのシステムを管理する部署に配属されているっぽい。
前に一度どんなことしているか聞いたことあるけど、俺には難しくて業務内容については理解出来ていない。
うん、難しいことは苦手だ。
就職と同時に実家を出て、悠々自適な生活を夢見ていたのだが、兄ちゃんと離れることの方が辛過ぎて断念した。
俺にとって、兄ちゃんの存在は生活に欠かせないものなのだ。
実家にはもともと親父と兄ちゃんと3人で暮らしている。親父は仕事が忙しく、家にいる時間はすごく短い。
だから、一緒に住んでいても、俺らと顔合わせるのは3日ぶりだね、なんてことはよくあって、ほとんど俺と兄ちゃんの2人で暮らしている状況に等しい。
俺らが住む家は、2階建の一軒家。兄弟の部屋は2階にある。
あと他に、使われてない空き部屋がひとつ。ここは今は物置状態だ。
親父の部屋は1階の和室にあるが、ほとんど寝るためだけに使われている気がする。
彼女は、前にいた。
俺が興味なさ過ぎて、兄ちゃんが心配し始めていたから、カモフラの為に一応作った。
やることもやった。
やったけど…!全く夢中になれず。
結局、彼女に愛想尽かされて振られる始末。
でも、このことは兄ちゃんには秘密にしている。
また心配されるのも嫌だし、何かと言い訳に使えて便利だから。
兄ちゃんに彼女? いるわけない。笑
本物のコミュ障だし、全然心開かないし(俺以外に♡)、人間不審極めまくってるから、そもそも恋愛してるところを見たことがない。
多分童○なんじゃないかと思っている。
兄ちゃんいわく、俺はいわゆる陽キャと言われる部類らしい。
『お前は喋り続けないと死ぬ病気か』
などと兄ちゃんは俺を面倒くさそうにあしらうことも多々あるが、なんだかんだ最後まで構ってくれる。好き。
そんな兄ちゃんを心底愛してやまないのは、弟であるこの俺だ!
人間的な意味で、だ。うん、多分。きっと、そうだと信じたい。笑
兄ちゃんもね、俺のこと好きなのよ。絶対。
めちゃくちゃ寂しがりやな兄貴なんだけど、たまに俺に甘えてくる素振り見せるのよ。
多分俺にだけなのよ…!!(そうであってくれ…!)
でも、照れ屋だし、素直じゃないから、俺にまで無理してツンツンしちゃって、そこもまた可愛いのなんのって。
俺は、兄ちゃんにいつか俺のことが好きだと認めさせてやろうと思っている。
そんな俺の奮闘記をここに残す
良かったら、めげないように応援してくれると嬉しいな♪
ーーーーーーーーーーーーーーー
いつもの朝が始まる。
『おい、起きろアホ。はよ朝飯食え。自分で目覚ましかけろって何回言ったらわかんだよ!』
毎朝兄ちゃんが朝飯を作って、俺を起こしてくれる。
荒々しい声も好きだぜ俺は。
「はいはい〜 ありがと〜 今から行く〜」
なんだかんだ俺を甘やかす優しい兄ちゃん。
兄ちゃんは朝起きるのが得意らしく、俺が起きてくる頃には朝食を終えて、既に仕事着だ。
と言っても、兄ちゃんの部署は私服OKの部署で、適当なTシャツにスウェット生地のズボンという、カジュアルスタイルだ。
『皿、ちゃんと水につけとけよ。弁当はそこ。俺先行くから。遅刻すんなよ。じゃ。』
就職したばかりの時は、さりげなく俺に準備のスピードを合わせて、一緒に出勤してくれていた。
俺が慣れてきたのがわかると、いつもの出勤時間に戻したようで、同時出社の機会がなくなってしまった。
(まあ、俺が早起きすればいんだけど、朝だけは苦手だから諦めた)
ひと足先に出勤する兄ちゃんは今日も可愛い。誰よりも可愛い。取り敢えずしゃぶりry
てなわけで、俺もさっさと身支度開始。
適当に髪セットして、スーツ着て、歯磨き洗顔して、OK。今日も俺かっこいい。
無事、遅刻せず出勤。
「おはようございまーす。」
「お、今日はギリじゃないやん。おはよ。」
こいつは俺の同僚であり、腐れ縁の友人、遼だ。
中学時代からの友人だ。内定先が同じだと知った時はさすがにビビったが、腐れ縁のこいつなら、と納得だった。
遼も俺と同じ営業部で、デスクも隣。
「今日どこ回んの?」
「荒○区かな〜 ポスティング地獄よ。」
「あwどんまいw俺今日常駐だから楽な日。手伝ってやれなくて悪いな。」
「手伝う気さらさらないだろ笑」
遼が同じ部署にいてくれたのは本当によかった。
残業して仕事おわんない時も、たまに手伝ってくれるし、愚痴も言いやすいし。
とりまダチ大事!!
ーーーーー勤務中ーーーーー
「あ〜〜疲れた。今日も終わり。定時まであと30分。書類でも確認すっか〜」
カタカタ カタカタ・・・
『これ、依頼されていた分の資料です。次の会議までにデータは送っておきます。では、確認よろしくお願いします。』
PCから勢いよく顔をあげ、声が聞こえた隣の総務部に目を向け姿を探す。
この声は俺の大好きな兄ちゃんの声…!!
廊下に出て行こうとする兄ちゃんの姿を発見し、目で追う。
仕事場で見るとカッコよく見えるマジックは何なのだろう。
俺の方は一目も触れずに去っていく後ろ姿。
(ちょっとくらいこっち見ろよな〜)
「ま、帰ったらうざいくらい絡んでやろ」
そしてまた作業に戻る。
カタカタ カタカタ…
ーーーキーンコーン 終業時刻になりました
「お、定時なった!帰ろ。」
ガタッ
定時ダッシュをポリシーとする俺は席を立ち上がり、速攻で帰る支度を始める。
早くかーえろっと。
今日の晩飯何かな〜♪
「碧、今日晩飯食い行かね?」
いつの間にやら帰ってきていた遼。
答えはもちろん、ノーだ。
「わり、今日用事あるから先帰るわ。」
「お前まじで家好きすぎだろ。次こそは付き合えよ〜〜笑」
「おけー!また次な!笑」
(兄ちゃんがいない日に埋め合わせすっか〜)
ーーーーー会社から家まで移動中ーーーーー
「ただいま〜〜」
シーン
(あれ?兄ちゃんいつも先帰ってんだけどな)
「兄ちゃ〜ん?部屋も真っ暗だし、何してんの?おーい」
…
ガチャ
(おっと。)
リビングに入ると仕事で疲れ果てたのか、脱ぎかけのスーツ姿でソファに横たわる兄ちゃんがいた。
寝顔が恐ろしく可愛い。舐めたry
(…ったく…こんなとこで無防備晒してんなよな)
「おい 部屋で寝ろよな〜」
…
『(スースー…)』
仕方なく、ソファに座り込む。にいちゃんの髪は金髪に近い明るい色で、猫っ毛で柔らかい髪質だ。
はだけたシャツの隙間から肌がのぞく。色が白く、華奢で、線が細い。ほんのりと存在する筋肉の隆起がたまらなく色っぽい。
いつの間にか自分の手が、兄ちゃんの体に伸びているのに気づきハッとする。
(このままじゃマジで理性持ってかれそー笑)
「おい!!起きろ」
『(ビクッ) んあ?あ〜ごめ。寝てたわ。飯そこ作って置いてるから食べて良いよ。部屋戻ってもうちょい寝てくる。あ〜ねみ。』
ガチャ タッタッ…
だるそうに体を起こしながら、速やかに部屋に戻る兄ちゃん。
理性を保てた自分を褒め称えたい。
「…飯、食うか。」
今日も兄ちゃんは俺を嫌っているつもりらしい。
だが、俺には分かる。
兄ちゃんが最も大切なのはこの俺、弟である碧であると!!
ちなみに俺は何回も言うけど、兄ちゃん大好き★舐めたry
いつか思いが届きますように…!
【続】
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