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復讐アリス

作者: 真秀

僕は学校に着くとすぐに机に突っ伏した。こうしていると世界の騒音を聞かなくてすむからだ。目を閉じ自分の世界へと入っていく。騒音がなく自分しかいない自分だけの世界へと。

自分の世界を

堪能した後少し現実の世界に戻って騒音に耳を傾ける。情報収集は必要だ。

「ねぇ知ってる?この学校で殺人事件があったんだって」

「知ってる知ってる三年前の事件でしょ?」

僕も知っている三年前、僕が小学四年生の時この中学で起こった事件だ。

二年の男子生徒が部活の後輩を殺し、一年の女子生徒が双子の妹を殺したのち行方不明になった事件だ。

二年の男子生徒が犯人として捕まえられたが、一つ残った謎が行方不明になった女子生徒だ。三年たった今でも見つかっていない。

凶器に残った指紋はその女子生徒だと分かり、殺ったのがその女子生徒だと断定されたが女子生徒が行方不明になったことで殺害の動機などが分からないままになってしまっている。

まあ僕には関係ないことだけれど。

また目をつぶって自分の世界にいく。

ある少女のことが頭に浮かんでくる。

少女の名前は雪村アリス。顔がかわいく長い髪が特徴的な女の子だった。アリスは小学一年のときに出会った最初で最後のただ一人だけの友だちだった。けれどアリスはもういない。

先生の声ではっと気付いて現実の世界に戻ってきた。

朝のホームルーム、面倒くさい時間だ。

生徒は友だち同士でおしゃべりして先生の話を聞いているやつなんていない。

僕は真面目な生徒だからもちろんちゃんと聞くでもまわりの騒音で先生の話が聞き取れない。

今日もホームルームは先生の独り言で終わった。

また僕は自分の世界へ入っていく。

アリスはイジメられていた。けれども僕は彼女を助けることができなかった。六年前アリスはイジメを苦に自殺した。

僕はイジメをしていたやつらを恨んだ。


復讐


僕はやつらに、アリスをイジメたやつらに復讐することを決めた。アリスの仇を討つために。

あれから六年、僕は待っていた自分の身体が成長するのを自分が強くなるのを。

アリスをイジメていた中心メンバーは三人いた。

高村修平、ひょろりとした高身長でメガネをかけたイヤミなやつ、野菊昇太、活発なやつでいつもクラスの中心にいるようなやつ、そして夢坂クルミ、いつも高級な服を身に着け、お金を持ってないやつを下に見るようなやつらだった。

僕はまず最初に高村修平を殺すことにした。

高村は野菊や夢坂の影にかくれて自分は安全な場所からアリスをイジメていた。

帰宅途中、高村をくだものナイフで後ろから突き刺した。

やっと一人だ。

アリスが死んで六年。あと二人だ。

翌日学校に警察が来ていた。きっと先生たちに高村のことを聞きに来たんだろう。

帰りのホームルームで紙が配られた。不審者がいるかもしれないので気をつけろというような内容だった。

誰も僕がやったとは思っていない。目撃者もいない。六年間観察して高村が人気のない道を通っていると知っているからだ。

次は野菊昇太だ。

野菊は難しい。いつも周りに友だちがいてやりづらい。下校途中を狙おうとしたが友だちと一緒に帰って一向に一人きりにならなかった。

こうなったら学校でやるしかない。

野菊の給食に毒をいれた。裏山に生えたトリカブトを給食当番の時こっそり混ぜ込んでおいた。

毒入り給食を食べた野菊は喉をおさえてさんざん苦しんだあげく息絶えた。

校内はにわかに騒ぎだした。

生徒が二人も死んだんだから仕方ない。しかも今度は校内で起こったからだ。

給食は中断され、すぐに給食センターに連絡がとられた。

給食センターの落ち度とされ事件はひとまず落ち着いた。

今度は夢坂クルミだ。

夢坂が怖がる姿が見たかったので、夢坂の下駄箱に手紙をいれておいた。

「今度はお前だ」と書かれた手紙を。

下駄箱に手紙を後、明日が楽しみだと思いながら帰っていると、後ろからなにかがぶつかってきた。振り返るとそこには女寄真也が立っていた。

女寄真也はアリスの幼なじみでいつもアリスを頼っているやつだ。僕はアリスにつきまとう嫌なヤツだと思っていた。

女寄真也の手にはくだものナイフがにぎられていた。僕のお腹から赤い液体がでていた。

「お前がっ、お前のせいでアリスは」女寄真也はそう言ってナイフを捨てて逃げていった。

あと一人で、あと一人で終わりだったのに女寄真也のせいで計画がオジャンだ。もう少しでアリスの仇を討つことができたのに、「お前のせいでアリスは」?お前も一緒だろ?

翌日、女寄真也は逮捕された。捨てたくだものナイフに指紋がついていたからだ。


ザマーミロ

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― 新着の感想 ―
[一言]  そういえば、復讐系は国語表現法の最終課題でも書かれてたような。トリカブトもいいけど、アジサイ毒は未知の成分らしくて怖れられているみたいですよ。  鮎川哲也ミステリ賞に挑戦してみてはいかがで…
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