魔法の部屋
扉を開くとそこは、とにかくだだっ広い空間が広がっていた
「何だこれ、ひっろー!」
「ちょ、部屋の中で走るな!!」
部屋の中はかなり広く、16畳ぐらいの大きな部屋、バスルームとトイレ、物置があった
部屋の壁はくり抜かれ、いわゆるアルコーブベッドと呼ばれるオシャレなベッドがあり、その周りの壁には沢山の本が入った本棚がはめ込まれていた
部屋の壁は白と青で、扉なども青だった
正面の壁にはバルコニーに出られるガラスの扉があったため、そこから皆で外に出た
『景色凄いね!』
「うん。城の外がよく見える……」
『さっき……ごめんね。むりやり納得させて』
「まったく……お前が死んだら、皆悲しむ。お前の両親も、バスケ部の奴らも、もちろん俺達も」
「そうだぞ。お前はライバル校の奴らとも仲が良いからな」
『ごめん……でも、やりたい。たとえこうなったのが王様の責任だったとしても、私達は呼ばれたんだ。この国を救うために。それに、勇者なんてそんなにポンポン出せるもんじゃないはずだし』
「バカ。お前は魔法使ってみたいだけだろう」
『あ、ばれた?』
そこからは皆でどんな魔法を使ってみたいかを話した
「俺は火!」
「俺は……植物操りたい」
「水。遭難してもすぐには死なない様に」
「俺は光かな〜」
『私は何でもいい!とにかくいろんなことがしたい。あっちの世界じゃできないこと』
「お前らしい」
上からマキ、トキ、サク、ミカ、私だ
「遭難する予定あんの?」
「するかもしれないだろ。とくに、アカネとか」
『何だとー!どういう意味だよ‼』
「そのままの意味だよ」
また喧嘩が始まるというところで、部屋の扉がノックされた
コンコン
「どうぞ」
「失礼します。モチヅキ様、部屋の用意ができました」
『ありがとうございます!ところで、壁の色って部屋によって違うんですか?』
「はい。皆さんの部屋には魔法がかけてあって、その部屋を使う人の好きな色になるようになっているんです。それに、部屋によって造りが少しずつ違うんです」
「魔法って便利だね」
「俺、自分の部屋気になってきた」
「俺も!」
「では、明日の予定の確認の前にお部屋を見てきてはどうでしょう」
『やった!行こう!!』
「うん!」
「10分後またこの部屋に集合にしましょう」
「はぁ、行ってらっしゃい」
『行ってきまーす!あ、その前に』
「何?」
『フェルさん、私のことはアカネでいいよ!様付けと敬語も無しで』
「えぇ!駄目ですよ。できません!」
『私もフェルって呼ぶし、タメで話すからさ』
「ずるい!俺もタメで話す」
「俺も〜」
「俺も」
「そっちの方が楽だしな」
「そもそもフェルって俺らより年上だよな」
「?皆さん何歳ですか?」
「14歳」
「15」
「僕も15歳です!」
「同い年!?大人びてたから年上だと思ってた」
「じゃあ確実にタメだね」
「うぅ、わかり、わかった」
『よし!じゃあ行こっか!』
「うん!」
バタン
4人が出て行った
「はぁ、やっと静かになった」
「……アカネは凄いね。」
「だろ。一度行ったことは曲げないし、やりたいことがハッキリしてる」
「羨ましいな。アカネも、その友達の君たちも」
「別に……」
「ふふっ、アカネのこと、好きなの?」
「……別に」
「そっか」
「………」
「………」
「友達、だろ。もう」
「!……うん。ありがとう!」
サクとフェルの仲が深まった理由