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魔法はいつ解けるの?  作者: リリアン G
7/7

復活

アランと会った次の朝、アンジーにテキストメールを送った。

返事はなかった。


その夜、DJの仕事が終わってから、アンジーにもう一度テキストしてみた。

今度はすぐ返信があった。


「カイル、これからあなたのアパートメントに行ってもいい?」

「なんか食べた?」

「いいえ、あなたが食べるなら付き合うけど。」

「じゃ、ヌードルでも買ってく。」

「わかった、じゃ後で。今日は飲まないからね。」

「オーケー。」


部屋に着くと、アンジーは先に来ていた。

二人とも何も語らず、しばらく固く抱きしめあった。


彼女は言った。

「最初に言っとくね。今日は愛し合わない。」

「わかってる。」

「私、しばらく腑抜けかも。」

「君らしくないね。」


「アランのこと、私が決断してのことだけど、、、だんだん、空虚感が広がって。カイル、ごめんね、今日はたくさん泣くけど、慰めないで。涙が枯れるまで泣きたい。」


彼女は、僕の胸の中で、肩を震わせて泣いた。そして彼女の悲しみが、僕の胸の中に身押し寄せてきた。僕は彼女の背中をさするしかすべがなかった。


アランは彼女の中でどれだけの存在感があったのかを思い知った。

「アランに会ったよ、昨晩。」

「そう、元気だった?」

「うん、彼は君から飛び立ったようだね。」


「そう、私の半分がなくなってしまって、、、ずっと一緒だったから、凄い喪失感なの。」

「アンジー、僕が君を守るから。」

「ありがとう、カイル、そうよね、これはいつか来ることだった。そしてそれを仕組んだのも私なんだから、成功したってことよね。」


彼女僕を見て力なく笑った。


「ねえ、私も食べる。一緒に食べようか。」

とはいえ、彼女は思いの中に浸り、無言でヌードルを口に運んだ。涙がとどめなく頬をつたう。

「ねえ、アンジー、話変えるけど、いい?」


「なあに?」

「僕さ、DJのスタイル変えたいと思ってるんだけど、今夜もトライしてみたんだけど、どうも既存のスタイルに帰っちゃうんだな。次のDJの時、クラブに来てくれない?僕の前で踊っててくれればいいんだけど。」

「いいわよ。いつ?」

「明日の夜、レイモンドで。9時から。」

「気晴らしに踊るのも悪くないよね。付き合うわ。」


「ありがとう。それとね、アランが独り立ちして、僕は嬉しいし、アンジーは次のミッションを作ればいいじゃない。もっと僕を愛すとか、他の男を愛すとか?」

彼女はアランと同じような、不思議な微笑みを見せた。


「えっ、カイル何言ってるの?私はあなたに夢中じゃない、これ以上何を望んでるの?」

「君にはアランを補足する愛情の対象が必要なんだろ?」

「で、他の男なんて言ったの?、、、、、もし、他の男を愛すとしても、カイルと同じ次元でではありえないから、とりあえず心配しないで。そうね、、、あなたが言ったこと、当たってるかも。」


彼女の機嫌が少し上向きになったようだ。青白い肌に少し赤みが差し、青い瞳に輝きが戻ってきた。

彼女は僕を見つめて言った。


「カイル、次のプロジェクトに取り組むしかないね。あんまり悲しくて、感情に溺れて、やりたいと思っていたことも、忘れてた。」

「愛してる、アンジー。君は魔法使いなんだよ。君の世界を創れる。」


「そうだったわよね。今ね、思いついたんだけど、私もっとカイルと一つになりたい。つまり、メンタルに。なんかできそうな予感がする。」

「わっ、それは恐ろしいね。でも僕は付き合う。君の世界の中に生きる約束だから。」

彼女は笑った。そして顔の涙のあとを服の袖でぬぐった。


そう、今までアランが占めていた、彼女の世界の中に入っていく。これが僕が求めていたものだろうか?まあ、どちらでもいい。後でわかることだ。このまえのセッションで、彼女の世界の中で創作するのが、至上の喜びに感じられた。アランが言ってたっけ。僕がどこまで進化するかが楽しみだって。


アンジーは僕のベッドに横になっていたが、いつしかまどろみ始めた。きっと昨日は寝ていないのだろう。僕はベッドの上に転がって、彼女の背中を抱いて、彼女の背面に体をそわせた。


そして、どんなに彼女が必要かをかみしめていた。


美しい、運命の恋人よ、

未来はどうなるのかわからないけど、

君とすべてを経験したい。

この愛が真実であることを証明したい。


愛する人よ、

僕は一度死んで、蘇ったんだ。

君と生きるために、アンジー。

この魔法が解けるまで。

いつまでも。


END



ファンタジーだけど、現実。現実だけど、ファンタジーの世界。

現実を超えるには、ファンタジーを大きく描いて、努力、挑戦するしかない。

そういう、あいまいな世界に、真剣に生きる恋人たち。

キャラクターは、いつも私と一緒に生きています。

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