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第八十六話 新しい商業の予感……?

お待たせいたしました。最新話です。




「お前、それどこで……?」


ヘルは愕然としながら俺に問いかけてきた。


「そう、あれは確か4年前、ある魔族を俺が見つけたときだったかな……」


ぶっちゃけ昔過ぎてよく覚えてないんだけど。


「それを……使ったのか?」


「いや、相手が落としたというか……まあそういうことだな。」


「そうか。お前が銃刀法に引っかかってんじゃないかと思ってひやひやしたよ」


「いや、待て。お前俺をなんだと思ってるんだ?」


俺は呆れつつヘルの俺への考えをただすと魔法障壁を生み出してそこに向かって銃を構える。

ちなみに後で調べたところによるとこの銃はリボルバーと呼ばれる物らしい。

そういうの疎いんでよくわからないが。


「何をする気ですか?」


「まあ、見てろって」


俺が引き金を引くとそこからは一筋の流星のように銃弾が発射され……ることはなかった。

ただ、普通の『ファイヤアロー』が発射されただけだった。


「え? 魔法?」


「そうだ。無理やり改造して魔法を放つ銃に作り替えた。」


「クリンゲルの頭の中と技術ってどうなってんの?」


「カーム、考えるだけ無駄じゃぞ。主の頭の中は人知を超越しておる。……いろんな意味で。」


失礼だな。


「でも、お師匠様? これで魔法を放てるようになったからといってどんな意味が……」


「ナギサ、これは革命に近いわよ。」


おっと、俺が答えようとしたところにカームが割り込んできた。

え? マジな雰囲気じゃん。こういうところ見るとこいつも王族だなって思うな。


「いい? これまでの戦争は騎士隊……まあ、つまるところ肉弾戦をする兵士たちね。と、魔法隊の二つで構成された軍を正面衝突させるものなのだけど……」


「まさか、この銃があれば騎士隊ですら魔法を扱えるようになる……と?」


「そう。さらにいうならこの銃の改良が進めば普通の魔法使いでは放てないような大魔法……それが簡単に撃てるようになるわね。」


「そんな……戦争の手助けをするんですか、クリンゲル君!?」


驚いた顔でカッツェちゃんが俺にそう問いかけてくる。


「いいや、そんなつもりはない。」


俺は静かに首を振る。


「ていうか、これにそんな力と可能性があるとか思わなかった。」


「は?」


「いや、魔法使えない人でも使えるって最強! ……とか思って作っただけなんだが」


「クリンゲル……あんたもうちょい考えなさいよ……」


これは思った以上に取扱いに気を付けないと。


「で、実際これで何をしようとしていたのじゃ?」


「ああ、向こうの世界で『サバゲー』なるものがあるらしい。」


「ああ、私やってましたよ」


「え? マジ? ……と、まあそれをこの世界でできないかな……と。」


凪沙の意外な告白に驚いたが話を続行する。


「つまりどういうことだって?」


「この銃を量産して疑似的なFPSゲームを現実に作ります。」


「すげえ!!」


だが、ここには一つの大きな問題がある。

それは――


「でも、それをするとさっきのカームちゃんのお話に巻き込まれるんじゃ……?」


「ああ。今の話を聞いて俺の考えが安直だったことに気付いた。もともとこれを広めるのも手だと思っていたし、ある意味では武器商人になるのも考えていた。」


「いいえ、クリンゲル。確かにこれは危険だわ。でも大きな可能性を秘めているの。」


「どういうことだ?」


「『安全に使えれば』魔法がより身近なものへと……魔法使いによる平民差別をなくすことができるかもしれない。」


魔法が使える人間はほんのごく一部。選ばれた人間だとも言えなくはないが、そんな人間が使えない人間を見下す……そんな差別はこの王国でも強く根付いてはいる。

それを消す手助け……


「いや、でもどうやって安全に使うんだ?」


ゲヴィッターの意見には俺も賛成だ。

さっきのカームの意見を聞く限り、悪用しかされないと思うが……


「一ついいですか?」


凪沙が手をあげる。


「まずこれ、誰にも作ることは可能なんですかね?」


「いや、きっと無理ね。クリンゲルにしか作れないわ。」


「だったら何が問題なんですかね?」


「そうね。勝手にこれを見ただけの人間が量産するという心配はもともとしていないわ。けれど……」


「盗難、または流用の心配じゃな」


そうか。サバゲーで使うということはこれが普通においてあるということだ。

それを盗まれてしまうと確かにいろんなことに使われてしまうだろう。

もしかすると研究されて量産につなげられる可能性すらある。


「そこで、国の力を借りるわ。」


「どういうことだ?」


「お父様にこれを見せに行くの。そして確実にこの王国がこの技術を盗んだり、乱用したりしないという誓いを立てさせるの。」


「それで?」


「そしてこれを国に管理させる。」


「なるほどな……」


俺はゲイルさんに大きな信頼を寄せているし、盗むということに関しては全く心配はしない。更に言うなら絶対にこのメンバーで管理するよりも国に任せた方がセキュリティ面で安心できる。


「よし。その案で行こう。それならある程度までの流通は可能だ。」


「え、どうしてですか?」


「国が信頼できると思った相手にしか売らない。その状況で悪用すればそいつはどうなると思う?」


「……国を裏切った?」


「そうだ。そんなプレッシャーの中でわざわざ買おうとするやつがいるかも不明だけどな」


カッツェちゃんの質問に答えつつ俺は銃を懐にしまった。


「さて、じゃあゲイルさんのところに行ってみるか。」


「そうね。……面倒なことにならないのを祈るわ」


そして俺は王城へと本日二度目の転移をした。




お読みくださり、ありがとうございます。

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