プロローグ
初投稿になります。まだまだ学ぶべきことは多いのでところどころおかしい部分があるかもしれません。温かい目で読んでいただけると幸いです。
よろしくお願いします。
夢を、見た。
見渡す限り背の高い綺麗なライトに照らされる建造物やネオンに照らされる夜の街。
人々の様子は様々だった。
ギターを手に持ち、歌を歌うもの。同僚たちと酒を飲み、酔ったまま歩く人。やっと仕事が終わって疲れた顔の人。
そんな何でもないような街のありのままの姿に僕は心を打たれた。
道路を走る鉄の箱。人が映る大きな画面。
全てが未知に包まれていた。
そして、僕は思った。
「ここに来てみたい!」
と。
☆
すさまじい爆発音とともに衝撃波や石、砂など付近のものが一斉に飛び散る。
「これは…凄いな…」
「そうね…」
呆れてものが言えないといった感じの物言いで僕をほめているこの二人は僕の父親であるシュテルン・ヴァールハイトと母親のモーント・ヴァールハイトである。
父は昔、名のある冒険者グループのパーティーリーダーを務めていたという輝かしい功績を持っているらしい。ちなみに母によると、
「おとうさんはねー、昔は世界のうちでも五つの指に入るくらいの実力者だったのよぉ。」
とのことである。
しかし父が父なら母も母である。
有名な王都のエリート魔法専門学校を首席で卒業してそのあとは世界を旅しながら、ふらっと立ち寄った国の面倒ごとを魔法でさくっと解決してしまい、世界中の人々から「正義の魔女」だとか、「面倒ごとブレイカー」とか呼ばれていたらしい。
そして今回とある荒野の一部を見事にクレーターに変えてしまったのが僕、クリンゲル・ヴァールハイトである。
僕は物心つく前から魔力に興味を持ち、その辺のものを魔力で操ったり、庭の木を一瞬で灰に変えたり、気に入らないことがあると家の中で大洪水をおこしたりと魔法では天才的才能を持ち合わせていた。
そして今日、僕がどれだけ魔法を扱えるのかということを両親が知りたがっていたので近くの荒野で実力を見せたというわけだ。
この世界での魔法について大まかに説明すると、魔力は空気中にあふれていて、これらを人が呪文の詠唱や魔法陣などを利用し集めることでおこしたい現象を明確にイメージしながらその魔法の名前を唱えるとイメージ通りの魔法が出てくるというわけだ。
しかしこれは誰でも簡単にできるわけでなく全世界の10人に二人は魔法が全く使えないか水を少し出す程度のことしかできない。魔法をつかうことのできる8人の中でも意のままに魔力を操れるのは2人程度だといわれている。
放心状態から戻ってきた両親はそれぞれの顔を見た後、口をそろえて
「「お前をエリート養成学校に入学させよう(させましょう)!!」」
といった。
「へ?」
僕は一瞬意味が分からなかったがすぐに意味を理解すると
「はぁ!?無理無理、絶対無理だって!!」
僕がこんなに猛反対しているのはそのエリート養成学校は全世界でもトップクラスの実力者になるであろう将来優秀な金の卵ともいえる人が行く学校なのだ。
確かに他人よりは魔法がよく使えると自負しているがあくまで他人より少し上程度にしか思っていない。そんな僕が金の卵たちと対等にやっていけるわけがない。
「お前に拒否権はない(わ)」
ひどい親である。
だが、この時の僕はこの両親の判断が大きく僕の人生を変えることにまだ気づいていない。
いつの間にか、今朝見たばかりのあの景色のことは頭から消え去っていた。
いかがでしたでしょうか。
これから週一で投稿していきたいと思っています。