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私はヒーラーとして勇者様を支えます!

私はヒーラーとして勇者様を支えます!2

作者: 雨兎

これだけでも楽しめますと思います。……が、出来れば1も見てほしいですm(_ _)m




私は1人、アバレンの森を歩いていた。


ーーそう、1人なのだ。


私はヒーラーで巫女のミラ。私は勇者様であるヒヅキ様、頼りになるヒューズ、お姉ちゃんのようなニコアとともにこの森に訪れた……はずだったのに。



(な、なんでこんなことになってるのー!)



そう、私は3人の仲間たちと離れ離れになったのだ……。全ての原因はヒヅキにあった。





『おぉーっ!ここがアバランの森か〜?すごいところだな。木が高ぇ』


『主、声が大きすぎる。少しさげよ。まずここはアバレンの森だ。』



アバレンの森かぁ……確かここには……



『なかなか強い魔獣がいる。戦い経験の少ない主では、倒せぬまい』


『まぁ、ヒヅキは無理でもヒューズや僕にゃら楽勝にいけるにゃ〜?気にせず行こ〜っ!』


『いくらニコアでも、ここのボス魔獣には楽勝は無理ですよ?確か魔法耐久すごいんですから』



ミラはニコアに注意する。

確かにニコアは強いし、勝てると思う。ヒューズは言わなくても、本当に楽勝するだろう。ヒヅキにはまだ無理だということにも賛成する。が、それは経験の問題。ここの敵くらい、楽勝になるだろう。


私は言い争っている3人を見る。……まぁ正しくはニコアとヒヅキ様だけだが……。

ヒューズは我関せずと言わんばかりの顔で、森近くの川辺の石に腰を下ろし、森を眺めていた。


私は2人を見る。

きっとニコアがヒヅキをからかっているのだろう。馬鹿で単純なヒヅキが大きな声を出している。顔を赤くし、ニコアを睨みつけている。


私はそろそろ止めるべきなんだろうなぁ……と考えながら、2人のほうへと足を進める。……その時だった。


森から大きな音がした。

2人はすぐに戦闘態勢に入る。私は森と2人の間にいた。つまり、2人は同時に私のほうを見る。私は急いで振り返り、森を見た。


……目の前に30mを超えそうな大きさのゴリラがいた。


ヒヅキが嬉しそうな声を出す。



「ニコア、手を出すなよっ!俺がやるーーファイヤ!」



ヒヅキは覚えたばかりの火属性初級魔法を、遠慮なく使う。間に私がいるというのに……。



「キャーーっ!ヒヅキ様の馬鹿〜っ!」


「ウォッホ〜っ!」



私とゴリラは同時に森のほうへと、ふきとばされた。そして今に至るのだ。


私はヒーラーだから、傷くらいは治せる。問題なのは、これからだ。私はヒーラーだから、攻撃系魔法が全くと言ってもいいほどに、使えない。


だからこのように敵に見つかったら、逃げるしかない。



「グゥ〜ルルルっ!」


「やだ〜っ!」



トラみたいなのが追いかけてくる。怖い怖い怖い怖い。

普段、走らないのが体に響く。も、しんどい…ダメ。

それでも必死に走る。まだ、死にたくはないからだ。それにどうせ死ぬならせめて……



(ヒヅキ様に告白してからが……!違うっ!)



この状況作った元凶とはいえ、勇者様であるヒヅキ様のパテメンとして、ヒヅキ様を支えたい……!


かなりの距離を走ったせいか、足がもつれて、そのままこける。私がこけたのをみて、追いかけてきたトラもどきは満足気な顔をして、近づいてきた。そして私に向けて、前足を伸ばしてきた。


私は思わず、目をつむった。しかし、襲ってくるはずの痛みはこない。ゆっくりと目を開けると、目の前には……ヒヅキがいた。



「ミラ!怪我はないか?」


「ありがとうございます。大きな怪我はしていませんので。」



ヒヅキは魔法ではなく、剣を使っていた。トラもどきの首をはね落とす。そしてミラのほうへと駆け寄る。



「立てるか?とりあえず、ヒューズ、ニコアと合流しよう!……!足、ひねったか?」



ヒヅキはミラ見るだけで、すぐに気づく。そして、ヒヅキは、ミラを優しくお姫様だっこをする。



「ヒヅキ様はもう、十分お強いですね……。私は、回復しか出来ないので羨ましいです…」



私はヒヅキの顔を見ることが出来ず、視線をそらせて言う。



「そんなことないさ」



ヒヅキの声がして、ミラはヒヅキの顔を見る。お姫様だっこをされているため、ヒヅキの顔を見上げる形になる。

ヒヅキがミラを見下ろす。



「ミラは強いよ。だって、この世界に来たばかりで、不安で仕方なかった俺を支えてくれたから」



ヒヅキは微笑む。ミラはその顔をみて、顔を火照らせてしまった。



「ありがとう、ミラ。俺はあの時、ミラの心の強さを知ったんだ。でも、それだけじゃあなかった」



ヒヅキは続けて言う。



「ミラは他の2人とは違い、国を出たことがなかった。それでも、俺のパテメンとして1番先に、ついてくるって決めてくれた」



『わ、私、行きます!私が勇者様の傷を全て、癒してみせますっ!』



「ミラが強いのは、俺が知ってる。だけどこれからは、俺に頼ってよ?俺はこの世界の勇者だからな」


「……っ!はいっ!」



ありがとうございます、ヒヅキ様…。

あの日の約束通り、これから先も、あなたの隣で体の傷を癒し続けましょう。でも、いつかきっと……。

心の傷も含めた全てを……。










「………そろそろ会えたかにゃ?」


「だろうな。ニコア殿の“ラッキータイムズ”を使ったんだ。会えてるはずだ。」


「上手くいってるといいにゃ?しかし、あんなにヒヅキが慌てるなんて……」













『ミ、ミラがっ!俺……俺、ど、どうしよう……っ!……っ!探しにいってくる!』


『ヒヅキ、待つにゃ!』


『……ニコア?』


『魔法かけてやるにゃ?これを僕が使えば、すごい力を発揮する……。“ラッキータイムズ”!』



ヒヅキの体から、ピンク色のオーラがでる。それはほのかに温かく、やがて体に吸い込まれるようにして、消えた。



『30分だけ、ヒヅキの幸運が上がった。きっと今なら迷うことなく、ミラの元へと行けるにゃ!』


『ニコア、ありがとう!行ってくる』


『しかしにゃ、ヒヅキがそこまで慌てるなんて、驚いたにゃ〜?』



ヒヅキは行こうとしていたのに立ち止まった。



『俺さ、来たばかりの頃……不安で不安で仕方なかったんだ。でも、ミラは俺がこの世界に来てからずっと、俺のそばにいてくれた』



ニコアとヒューズは、はじめてヒヅキの心の声を聞いた気がした。



『どんなときでも、俺の味方になってくれた……それがうれしかった』



馬鹿で単純なヒヅキがこんな顔を見せるなんて……



『その時、決めたんだ。俺はミラの笑顔を守りたい。ずっと隣にいてほしいって……!』












「ミラはもう、僕の妹にゃ?でも、ヒヅキになら任せてもいいと思った。何よりミラはヒヅキ大好きだし」


「お似合いだな」



2人は顔を見合わせて笑った。






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