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魔王より愛を込めて(仮)  作者: ヤシの木 登
第一章 第一次転生期
3/10

ファンタジー世界はここですか?2

翌朝、まだ日が登りきる前に起床した俺は二階にある部屋から降りて行き、テーブルの席に着く。


「おはよう、母さん。何故かとてもお腹が空いているので朝食を用意して頂けないでしょうか?」


この世界の基準がそうなのか、それともこの種族が貧しいからなのかは分からないが食事は朝と夜の二食だけのようだ。

それなのに昨日は晩御飯を抜いてしまった、否、抜かれてしまったので空腹値が絶望的な数値を叩き出してしまうのは必然と言えるだろう。


「はいはい、全く自業自得でしょう?用意してあげるからその間に顔を洗ってきなさい」


は~い、と生気の無い返事をしてから川まで向かうために家の外に出る。


因みにこの集落に井戸は無い。

些か不便なように思えるが、そこはファンタジー世界。ジュエル種は大人になると魔法で水を出せてしまうらしい。

そうなると井戸を作る必要性は無くなってしまうので作っていないということだ。


「うぉぉー!流石異世界!魔法とか、俺のソウルが熱く燃えてるのを感じるぜ!カッコいい呪文とかあるのかなぁ?『我が敵を殲滅せよ!』とか?ぐふふ、やべっ、変な笑い声出しちゃった」

「....朝から何大声出してんだよ、魔法なんて日頃から見慣れてるだろうが」


俺の魂の叫びはしかし、知らない内に声に出ていたらしい。大変恥ずかしいです...。


「お、おうっ!おはようフェル!お前も顔洗いに行くのか?」

「そうだよ、まだ眠たくて頭が重いんだからあんまり大声出さないでくれるか?」


俺の親友?であるところのフェルも丁度川に向かうらしい。

なんとタイミングの良いことか。そのせいで恥ずかしいところを見られたので運命を呪うべきか、それとも再開を喜ぶべきか。


「それにしても早く魔法使いたいよなぁ、何で大人に成らないと使えないんだろう?」

「....お前そんなことも分からないでよくジュエル種やってられるな」


何気に俺の種属性を全否定されてしまった。

なんだ?こいつは。もしかしなくても喧嘩売ってるのか?


「そんなの、聞いたことも無いんだから知るわけないだろうが!それにお前よりもジュエル種歴は長いわ、ばーか!」


因みにフェルよりも俺のほうが3日だけお兄さんである。早生まれなだけだが。


「3日だけだろーが!....まぁ?俺より大人なエルお兄さんは?ジュエル種歴の短い俺なんかに教わることは何も無いって意味だと捉えられるけど?」


くっ!なんという意趣返しか!

以前この疑問を母さんに聞いた記憶があるが「大人に成れば分かるから気にしなくていいの!」とテンプレ通りの返答を貰ったことがある。

このままでは本当に大人に成るまでこの疑問を解消出来なくなってしまう....! 仕方がない、か。


「すいませんでしたー!調子に乗ってましたー!どうかこの愚図な私にフェル様の博識なる頭脳の深渕に触れる機会を与えて頂きたく存じますー!」

「は、博識?深渕?よく分からないけどなんかカッコいいな、それ!よし!教えてあげよう♪」


ふっ、情報を得るためならこの安い頭、幾らでも下げようじゃないか。

そしてこいつは馬鹿だ!正に犬もおだてりゃというやつである。


話していたら川に到着したので顔を洗いながら説明を聞くことに。


「だからな?俺達子どもは魔力が少ないっていうのもあるけど額の宝石がまだちゃんと出来てないんだよ」バシャバシャ

「ふむふむ」バシャバシャ


こいつのたどたどしい説明を聞く限りこうだ。

曰く、魔力保有数は確かに少ないが、それでも魔力が売りの種族なので子どもと言えども下級魔法程度なら使えるくらいあるらしい。

曰く、魔法を使う際、額の宝石に魔力を一旦集めなければいけないので、子どもは宝石が成熟していない=魔法を使えない。

ということらしい。


しかし、ジュエル種以外の種族は額に宝石がないので魔力を宝石に通さず魔法を使う方法を知っているんじゃないか?

と、聞こうとしてやっぱりやめた。

きっと聞いても教えてくれないのだろう。

下手をすれば話し掛けただけで攻撃されてしまうかもしれない。

それ程までに種族差別は深刻なのだ。


ーー

ーーー


顔も洗い終わり、説明もある程度終わったので二人で家路に着く。

行きよりも帰りのほうが短く感じるのは何故だろうな、と考えながら歩いていると気付けば家の前だった。


「じゃあまた夕方頃に森でな!今日こそちゃんと薪を集めるぞ?」

「だから仕切るな!それにお前が言うな!」


家に入るとシチューのいい臭いが俺をお出迎えだ。

空腹で倒れる手前の俺は物凄い勢いでシチューとパンを喰らってゆく。


「そんなに慌てて食べないの!もっとゆっくりたべなさい」

「ふぁっへ、んぐ、おなふぁはへってふんふぁふぉん」

「食べながら喋らない!ホントにもう....そういえば今日はもう特に仕事は無いから自由に遊んでて良いわよ。勿論、薪拾いは別だけど」

「ふぁ~い」


ということは夕方までフリーか。

魔法を使うのは絶対に無理ということでは無さそうなので森に行って色々試してみるのもいいかもしれない。

そうと決まれば


「ご馳走様でしたー!ちょっと森で遊んでくる!」

「はいはい、騒がしい子だね、ホントに」


家を飛び出し森にむかう。

その途中でまだ若干お腹が空いていたのでリンゴ(の様な)果物を採っていく。


さて、森に着いたは良いものの何をしようか。

まずは魔力を感じてみよう。魔力がどんなものか分からなければ使い様もないからな。

まず集中、集中。


ーー集中すること約1分。なんとなく体の内側にエネルギーの様な、暖かいものが流れている感じはするんだが、これが魔力だろうか。

いや、そうに違いない!

前世では感じることの無かったこの感じ、間違いない!


「しかし、これをどうしろと?」


いやいや、それを今から考えるんじゃないか。

まず魔力を手に集めるようにイメージ。よし、集まってきた!

ーーそこから魔力が水に変わるようにイメージ。行けそうな気がするぞ!

よし今だ!

バッ!と腕を前に突き出して、それっぽいポーズを決めてみる。






ーー出来ない......。


この時の俺の恥ずかしさがお分かりだろうか。

「集まってきた!」とか「行けそうな気がするぞ!」等とほざいて、あまつさえポーズまで決めたのにも関わらず何も起こらないこの恥ずかしさが.....。

これではか○は○波が出ると信じきって本気でポーズをとる餓鬼と同じである。

これを誰かに見られたら毎晩ベッドの上で枕を顔に当ててのたうち回る事態は避けられないだろう。

周りに誰も居なくてよかった....!本当に!


「キャッハハハッ!アンタ何やってんの~?」


突然響いた声に俺の体温がサーっと下がる音が聞こえた、ような気がする。

まさか、誰か居たのか?!さっきの恥態を見られたのか!?

しかし、ここで恥ずかしがっていては相手に付け入る隙を与えるようなものだ。冷静に、俺は今の動作について別段気にして無いように返答をするんだ!



「だ、だだだ誰かそこにい、いるのかか?」




何故だっ!俺の馬鹿っ!

こんなにもプレッシャーに弱いなんて初めて知ったよ俺の馬鹿っ!

声の主が木の影から現れる迄の数秒が俺に死刑宣告を告げられる時のような重圧を与えてくる。

まぁ死刑宣告なんてされたこと無いけども。

しかし同じ集落の人だったならば俺は今日から集落を歩き回れない。主に昼間などの人の目の多い時間帯は。

そんな葛藤をしている俺を余所に、例の人物は木の影から姿を現した。現してしまった。


「ん?なんか小さいぞ?」

「失礼な言い方ね!妖精なんだからとうぜんでしょ!?」


やはりファンタジー世界はここでしたか!




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