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魔王より愛を込めて(仮)  作者: ヤシの木 登
第一章 第一次転生期
2/10

ファンタジー世界はここですか?1

ーーー気がつけばそこは不思議な森でした。




って、なんだこれは!

ほんの数秒前まで俺は学校から帰宅するために自転車に乗って疾走していたはずだ。

しかし、今はなんの舗装もしていない道なき道が続いている周りを木に囲まれた森の中いる。

何故だ!

俺は別にトンネルを抜けた訳でもないし、子ども一人がようやく通れるような草木の間を通り抜けてもいない。ましてや白い太った猫を追いかけて路地裏を走り回った訳でもない。

なのに何故、こんな不思議な現象に陥っているのか!

訳が分からず頭を抱えながら天を仰ぎ見る。


「ーーーん?なんだ?あれは」


すると視界の隅になにか大きな建造物が見えた。

よく見ると城のような形をしている....というか城だ。あれは。

RPGなんかでよく見るようなバルコニーのある大きな城。

しかし、日本にあんな中世ヨーロッパ風の城があるだろうか?少なくとも俺は見たことも聞いたこともないな。

ということは、俺は今日本にいないのか?

んー。

今いる場所を考えていても答えが出るわけでもないし、ここに来る前のことをもっとよく思い出してみるか。


まず俺の名前は荒木 (あきら)

高校2年生の17歳で部活には入っていないし、趣味も特に無し。

このふざけた名前のせいでたまに馬鹿にされる。

彼女なんていないし、友達と呼べる人物も少ない。

家族内では成績優秀な兄がいるので、俺はあまり感心を持たれていない。


うん。分かってはいたけど、箇条書きにしてみると俺って本当に.....。

いや、今はそのことについては何も言うまい!問題は今に至る直前のことだ!

確かに俺は帰宅路を自転車で走っていた。しかし、それ以降がよく思い出せないな....。

はて?なにか重大なことがあったような?

んんー。






あっ!俺死んだわ!

十字路を曲がった時に前から車が来て正面衝突してたな、確か。


「そして気付いたらここに立っていたと。ん?」


ここまで思い出すと不意に色々な情報が頭の中に入ってくる。


名前はルシエル。

魔族の中でも強い魔力を持つジュエル種の10歳。

額にある宝石に魔力を溜め込んでいて、宝石が砕けると死んでしまう。


ーーーなんだこれは?

と思ったがどうやら産まれてから10年間の記憶らしい。

ということは転生でもして異世界に来てしまったのか?


「なんという超展開!いや、むしろお約束展開なのか?」


生前の俺はファンタジー小説を割と読んでいた、というか大好物だったので、こんな展開はうぇるかむだ!


「しかし魔族かぁ」


どうせなら勇者とか、賢者の弟子とかになりたかったものである。

しかもこのジュエル種という種族は強い魔力を持ってはいるが、弱点が目立つ所にあるので戦闘向きではない。

それ故『強いものが偉い』という風潮の魔族内では立場も低いし数も少ない。


「まぁ愚痴を言ってもしょうがない。転生出来ただけ儲けものってことで。とりあえず家に帰るかー」


今いる場所はこの体の家の近くのようなので記憶を頼りに家に帰るとしよう。

ちなみに先程見えた城は魔王城らしい。いかにもファンタジーだね!

魔王とかいったいどんな生活してんだろうなー、等と考えながら、知らないようで知っている道をテクテクと歩いていく。




ーーーということで着きました我が家!

見るからにボロッちい俺の家、というか小屋といったほうが正しいか?

ここは森の中にある集落でジュエル種の皆さんが寄せ集まって生活しついる。

俺の家と同じ小屋のような家が20程あるこの光景を見てもらえればジュエル種が魔族間でどのような立ち位置にあるか想像に難しくないだろう。

しかし、生前は家族に蔑ろにされ、転生後は他種族に虐げられる。なんという世知辛い世の中だろうか....。

ただ、共通して言えることは自分の努力次第で状況を変えられるということだ。

幸いにも今の俺には以前の知識という強みがある。

それに魔族は強ければ良いと思っている者が多いので単純な、言ってしまえば馬鹿な奴ばかりだ。

これを使ってどうにか下剋上を果たせないだろうか?


「おーい!エル!途中で居なくなったと思ったらなんで勝手に帰ってんだよ!」


考え込んでいたら遠くから声が聞こえてきた。

「エル」というのが誰のことか一瞬分からなかったが俺のことだ。なんともややこしい。


「帰るなら帰るってちゃんと言ってけよ!てか薪は集め終わったのか?」


こいつはフェルリオという名前のこの少数種族で唯一の同年代の男の子だ。

そういえば俺の意識が戻る前は森で薪拾いをしていたんだったな、いきなりの展開に忘れてた。


「ゴメン、ゴメン。ぼーっとしてた!そして薪も拾ってない!」

「なんでちょっと偉そうなんだよ....。まぁ今日はもう遅いし薪拾いは明日でもいいか」

「じゃあ明日、家の手伝いが終わったら森で集合な!」

「お前のせいなのになんでお前が仕切るんだよ!....まぁいいや、じょあ明日な」


うん。こいつもツッコミ担当が板についてきたな。

いい友達を持ったもんだと、感心しながら家の中に入っていく俺だった。



「おかえりなさい、エル。あら?薪を拾って来てって言ったのに薪を持ってないじゃない。どういうことかしら?」


家に入ってから俺を出迎えてくれた美女は整った顔に流れるようなロングの金髪と透き通るようなエメラルド色の瞳が特徴的な俺の母親だ。

因みに俺の髪と瞳はこの人譲りらしく同じ色合いである。


「ただいま、母さん。それがフェルの奴がさ~、森に着いた途端に「お腹が空いた~」って言って帰りたがったんだよ。それでしょうがないから俺も一緒に帰ってきた、全く困った奴だよハッハッハー」


この人は怒らせると怖いからな、フェルのせいにして逃げ切ろう。


「あらそうなの?でも変ね。あの子森へ行く前にパンをかじっていたのを見たのだけど、その話本当?」

「ほ、本当だよ!俺は悪くない、アイツ食いしん坊だから、俺は悪くない!」

「なんで同じ事を二度も言うのかしら?怪しいわね。本当の事を言いなさい!」

「すいませんでしたー!全部嘘です!私がぼーっとしてたからです!」


くそう!まさかそんな所を見られているとは!

さすがファンタジー世界だ。少しの油断が敗北に繋がるということか!


「薪集めに関しては素直に謝れば許してあげたけれど、嘘を吐いたことは許せないわね。アナタは今晩のご飯抜き!わかったらもう寝なさい!」

「えぇ~、それは「何か文句ある?」い、イエッサー!了解であります軍曹!」


ギロリ、と擬音が聞こえそうな眼力に俺はyes以外の返答を出来なくなってしまった。






「はぁ、折角異世界に来たのに今日何もしてないな」


ベッドに潜り込み後悔の念と愚痴を漏らす。

とりあえず明日からは自分の能力と現状を再確認しながら今後の目的を決めて行こう。



ぐぅ~~


「腹減ったから寝よう.....」


こうして俺の異世界での一日目は終わった。

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