(仮)誕生日モノ2026年
掲載日:2026/10/27
スマートフォンに入れている、ゲームアプリにログインする。それは私にとって、毎日欠かさず行なっている、日課、習慣——そう呼べることだった。
ただそれが、〝今日〟という日だけは、いつもと違って感じられる——それだけだ。
タイトルコールが終わり、数秒の読み込み画面を経て、ホーム画面になる。そこには、私がこのゲームでメインで育てているキャラクターがいた。
そのキャラクターの頭頂部あたりを、指でタップする。一瞬、ピクリと動いた後で、そのキャラクターの横に吹き出しが出て、話し出した。
『誕生日、おめでとうございます! すてきな一日、すてきな一年になりますように』
優しい表情で、優しい声で、優しい言葉を、私に向かってかけてくれる。それがたとえ、事前に内蔵された、このゲームをやっている万人に向けた台詞だとしても……私はそれがたまらなく嬉しかったのだ。
「……ありがとね」
頭を撫でるように、画面越しのキャラクターの頭を指でこする。それでなにか、変化があるわけでもなかったけれど。
「あなたも……誕生日、おめでとう」
私はそう、私と同じ誕生日の推しを祝福した。




