表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/37

小春日和

 僕、須藤藤也は家の庭にある納屋でじいちゃんのお仕事を眺めていた。


「なにしてるの?」

「はさみ砥いでるんだよ。お前の親父に『いい加減、自分のはさみは自分で砥げ!』って怒られちまって」

「とぐとどうなるの?」

「よく切れるようになる」

「ぼくの、ようちえんのはさみも?」

「藤也のはステンレスだから、わかんねえなあ」


 じいちゃんは笑いながら、はさみや、他の尖ったものたちを砥いでた。


「じいちゃん、あれなに?」


 僕は納屋の隅の棚を指差した。

 一番上に赤と緑の袋が置いてある。


「あれは桐子さん……藤也のばあちゃんへのクリスマスプレゼント」

「ふうん。なにがはいってるの?」

「ハンドクリームとボディクリーム。いい匂いがするやつ」

「ばあちゃんも、だいどころのたなに、じいちゃんへのプレゼントおいてた」

「桐子さんは昔からそこに隠してるな」


 じいちゃんは嬉しそうに、研いだピカピカをひっくり返した。


「なかみみて、おこられたりしない?」

「しない。桐子さんが渡してくれるから嬉しいんじゃねえか」

「ふうん」

「この歳になると、お互い中身なんて分かってるけどな。それでも桐子さんが俺のために用意してくれたことが嬉しいんだよ」

「そうなの」


 よくわからないけど、じいちゃんがニコニコだから、まあいいか。


 今日は暖かくて日差しがポカポカしていた。

 上着もいらないし、納屋の中は日が差してキラキラしていた。


「あったかいねえ。はるになった?」

「まだだなあ。こういう冬にふいに暖かくなることを小春日和って言うんだよ」

「じいちゃんとおなじだ」

「おう。俺は冬生まれだからな」

「ばあちゃんが、じいちゃんのなまえすきっていってた」

「そりゃ嬉しいねえ」

「うれしい?」

「嬉しいさ。桐子さんが名前を呼んでくれるだけで、俺は嬉しいよ」


 砥ぐのが終わって、じいちゃんは納屋を片付け始めた。


「刃物は危ないから触るなよ」

「ぼくにも、はさみちょうだいよ」

「藤也がうちを継ぐ気になったらな」


 うちを継ぐってなんだろう。

 じいちゃんやばあちゃん、父さんと母さんと一緒にお花屋さんや木の世話をすることだろうか。


「ぼくもするから、はさみちょうだい」

「お、そうか? じゃあ藤也の母さんにはさみをもらっていいか聞いておいで。いいって言われたら、じいちゃんが選んでやるから」

「わかった!」


 僕は納屋を飛び出した。

 ちょっと走ったら汗が出るくらい、外は暖かい。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

この作品が面白かったら、☆を★に変えていただいたり

ブックマークやお気に入り登録してくださると、

作者がとても喜びますので、よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ