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ヒーローインヘアレント(仮)  作者: 作者ir
戦禍再現編
26/34

2章26話 京都

前回のあらすじ

新たにオペレーターと魔族を迎え、隊を成した

敵が何か企んでるっぽい

京都!



 飛鳥と桐谷は脱兎の会議室に集合している

咲夜と樋口は先に血の魔族の痕跡を追い京都に向かっている、フアソラは智慧さんに預けている

今回はボロ雑巾の件の受け継ぎの作業のために集合していた

 河井さんがいくつかの写真が貼られたホワイトボードの隅に猫?を描いていた

「愛知の津島市、岐阜の海津市が二日前、滋賀県の彦根市、同じく滋賀の近江八幡市で昨日、我々の隊員を含めた大量失踪事件が発生しています、現地に残っていた壁の微かな切り傷から犯人はおそらく刃物を所持、金品が漁られていないことから、こちらへの挑発目的の犯行、早い話、例の吸血鬼の可能性が高いとされています」

メガネくんは起きた事実と、それに基づく見解を発表した

「やっぱり、まだ生きてるんですか?」

つい口を出してしまう

「そう…なりますね」

「我々の管轄で最後まで好き勝手して…西下していますね、やはり名古屋での用事は済んだということでしょうか」

最近復帰した河井さんが苦言を呈した

「西征といった方が正しいでしょう、かなりのんびりと移動している為、恐らく目的地は近畿周辺かと」

「大量に跡形もなく住人を攫っておいて、痕跡がちょびっとなんざ、これまた奇妙だなぁ、転送魔法とやらで一気に拐っちまったのか?」

酢豚さんが行き詰まった様に吐き出す

「魔力が行使された後もありません、傷がついていたのでおそらく物理的にです」

「紫のサーチャーも行方不明になっています」

ここ数件の事件は全て公になり不安がばら撒かれている

「……」

「あの、田中さん」

「ん?どうしたんだい?」

「あの子は誰なんですか?」

夏坂さんが座っていた上座には、学生服を着た幼い黒髪の少女が座っていた

「あぁ、君は最近ここに来たばかりで、あの方が誰かまだ知らないのか」

「すいません…」

「うちの元副隊長で、現隊長、実力派のホープ六位、みなもとむつきさんだよ」


『ホープ六位 源霧月』


「いかがいたしましょうか」

「その前に…」

微かに聞こえた声の瞬きの隙に刀が目の前に突きつけられていた

「こいつは…誰?」

短刀が一本飛鳥の目の前に

 殺気により何本も突きつけられているかの様な錯覚に陥る

黒い、暗い瞳、蛍光灯を遮り覗き込む視線は冷たく冷えていた

「…あっあの…」

呼吸をも遮る威圧感は、彼女の奥から発せられていた

「お待ちください、霧月さん、その方は新人の方で、夏坂さんの弟子です」

「なんで…君なんか」

「申し訳…ございません…」

悲しみの篭った言葉に謝罪することしかできなかった

「……」

彼女はすぐ席に戻る

(危うく失禁してまうて)

未曾有の危機をギリギリ回避した

「失禁してない?」

田中さんが心配した様に聞いてくる

「はい、なんとか」

「根はええこなんやけど、夏坂さんの事もあって…」

「それで…いかがいたしましょう…」

「私を覗いた脱兎はこの件から手を引く、みんなはここに残って引き続き狂徒の対処を…」

「そんなこと言わないでください!脱兎の隊員は皆敵を取りたいと思ってます」

「…貴方達は邪魔なの、同じく後を追いたいならついてきなさいよ、夏坂の為を思うなら、生きてる貴方達が夏坂の分まで人々を守ったらどう?」

小さく冷酷で淡々と説得する

「……すいません、分かってはいたんですが」

「私が必ず討つ、必ずね」

そういうと、その場を後にした

「霧月様は夏坂さんに拾われた子でね」

田中さんが解説してくれた

「彼女は昔、身内に騙されて両親を失ってしまってね…、明るい子だったんだけど…」

「そんなことが…」

「内密にね…、夏坂さんの娘さんも同じくらいの歳だったから、実の娘のように接しててね」

「…」

「渡せる情報はあまり無かったけど、お願い、私達の代わりに魔族を討って」

河井さんは深々と頭を下げる

「分かりました、必ず」

「僕からも頼みます」

「俺からも頼む」

「お願いします」

「はい!」


―大津市の某所

咲夜と樋口は集団失踪した町に一足先に調査に来ていた

「どうだ?」

「あの気配は感じるけど、ここじゃ薄すぎてなんとも」

「そうか」

あたりを見回す

人の生活していた痕跡はある

ただ、その場で跡形もなく、人が消えている

「ん、あそこ」

指を刺したのは小高い丘に立つホテルの様な廃墟

「なんだ?」

「あそこから嫌な気配がする」

「俺も少し見てみるか」

咲夜は眼帯を外し、白い左目は小麦色に輝く

「確かに…、濃度が他より高いな」

「行ってみる?」

「まだ潜んでいる可能性がある、気をつけて行こう」


ホテルのエントランスに入る

電気の消えた建物内は晴れた昼下がりでも薄暗く不気味だった

「ひと戦闘があった様だな」

咲夜はしゃがみ込み、床の傷を撫でる

「そう…ですね」

あたりを見回す

傷だらけの室内と地面に点在する乾いた血の跡

「探索しよう」

「はい」

徐に立ち上がり廊下へ向かう咲夜を急いで追う

「止まれ」

「え?」

「手分けして探さないか」

「えっと、なんで?」

「そっちの方が効率がいいだろ」

「危なくない?」

「すまないが、まだ完全に魔族を信用し切れていない」

「…」

樋口の視線はかなり泳いでいる

「?、他に理由があるのか?」

「なんか…さっきから泣き声みたいなの聞こえるから…」

「嘘だろ」

耳を澄ませる

……グスンッ……グスン…

「………………………」

血の気が一気に引いていく

「それにたくさん視線感じるし」

「…、その情報を後出しするな、それに敵の殊科、もしくは魔力の残穢の可能性がある、そんな物、気の迷いの間違いだろ」

「敵の罠の可能性もあるから、2人いた方がいいんじゃない?」

「確かにそうだな、目的地に検討はついた、背中は任せたぞ」

「はい」

「兎に角、泣き声の元に向かう」


エレベーターは使えないので五階ほど階段を登る

「泣き声がはっきりとしてきたな」

「…」

樋口は咲夜のすぐ後ろにピタリとついて一言も喋らなかった

「大丈夫か?」

「うん、平気」

「この階だな」

「そうだよ」


声のする扉の前に立つ

咲夜は抜刀した状態で、ドアノブに手をかける

「開けるぞ」

樋口は頷く

勢いよく押し開ける

その瞬間、棒状の鋭利な何かが射出された


「―遠隔斬撃―」


それを顕現させた刃で弾き落とす

そして刀を振り上げて正面の奥にある人形を顕現させた刀で斬り壊した

「…」

「…」

「ふぅ…、簡素な仕掛けだったな…―

「キャーーー〜ーー!!!」

「!!?」

樋口の叫び声で振り返るとものすごい勢いで抱きついてきた

「あそこ!あそこになんか居る!!!」

「はぁ?…」

念の為あたり一面を凝視するが、一際魔力が集まる塊以外は特別以上は無かった

「何もいない、何もいないから!」

「居る!居るんだって!笑ってた!」

「落ち着け!おそらく根源は破壊した、大丈夫だから」

「早く出よ…早く出ようよぉ…」

「わかったから俺が全部倒したから離して」

「うぅぅ…」


なんとか引きずってホテルの入口を出る

「もう出たぞ」

「…出た?」

「あぁ、もう外だ「ありがとう…」うううわあ!」

「きゃあぁ!?どうしたんですか!?」

「いや…、なんでもない」

「早く報告に戻りませんか?」

「そうだな、ここの事も報告しておかなければ」

この場を後にする二人を見て笑う影が…全ての部屋に…

「ありがと…フフッ…」



――

「…東京ですか?」

ここは智慧さんの社長室

遊部はフアソラを引き取るついでにアーサーの所在を聞いた

「そうだ、最近東京の山々に巨大なクレーターが数カ所発生するという、紫色の事件が起きていてな、アーサー様と立花君が向かう大ごとになっていてる」

「そんなことが…」

「だがついさっき、滋賀の大津市で大人数が失踪したという報告が上がった、現状を鑑みて奴は確実に西征している」

「東京は囮?」

「その可能性は捨て切れん、桐谷はくだんの件について本部に伝えて欲しい」

「わかりました」

「聞いていると思うが、天使とむつき様には京都へ向かってもらう」

「了解です」

「ここからは伝説クラスの戦いになる、心して掛かれ!」



――

京都駅中央口

「京都!」

「きた〜!!!」

「きたぁー」

遊部と樋口、つられてフアソラも両手を広げて上に伸ばす

「あまりはしゃぐな、あくまで任務だぞ」

「いいじゃありませんか、咲夜さんもやりませんか?」

両手を広げていた桐谷が言う

「桐谷さんって意外とはしゃぐタイプなんだね」

「もちろんです、やったもの勝ちですから」

おしゃれなベージュのコートを靡かせる

「取り敢えず向かいますか」

「案内します」


京都支部、でかい料亭の様な建物に入ったところで、支部長の言葉を思い出す

「京都は、白蓮びゃくれんという部隊が管轄している、こちらからすでに連絡は通してある、少し異質だが、仲良くやってくれ」

 京都支部は武家屋敷の様な所で、最初入った時に樋口は写真を撮られたり、案内人から、すれ違う人まで女性ばかり、座敷に案内された

 目の前には大きなすだれ

その手前にはなんとも、胸が大きく存在感を放つが、厳かで、光の加減で紫に見える髪の女性が黙々と何かを書いていた

 五人は用意された座布団に正座すると、女性は書く手を止めた

「ひかる様、客人にございます」

そういうと、すだれの方がひかり始め、ひかる様と呼ばれた人の体全体の輪郭が映った、そして紫髪の女性が何かを渡した

「左端の者、姓をなんという」

「はい、遊部飛鳥です」

「名まで聞いておらぬ、ここへは何しに来た」

「イフの計画を止め…」

「そうか、大層である」

(まだ途中だろうが!)

「ありが」

「お前の礼などいらぬ…はて、主達は恋仲で有るか」

(んな!?)

シルエットはあぐらで肘をついてだらっといていた

「いえ、そのような仲で…」

「ならよかろう」

(まだ喋ってるでしょうが!)

「式部、上げよ」

そういうと、すだれが上まで上がりきった

『白蓮支部長、佐倉煌』

 そこには、アーサーと同じくらいの白めの金髪だが、淑やかで自分と同じくらいの身長、束帯を身に纏った超絶イケメソが輝き佇んでいた

(…眩しい)

 動き出し樋口の方へ向かうとかなり密着してキスしてしまうくらいの顔の近さまで行く、膝を立て、覆い被さる様な形になって質問した

「名はなんというのだ」

「えっと樋口茜です」

「ひぐちあかね?うむ、良い響きだ」

(こいつ…!)

「どうだ、よければ今夜ご一緒させて頂きたいのだが」

とともに樋口の腰に手を回す

桐谷はフアソラの耳を塞いでいる

樋口の顔が紅潮しているように見えた

居てもたってもいられず二人を引き剥がす

「近いです近いです…」

「おい早くしろ」

咲夜は半ギレで催促した

「ふふ、そう身構えずとも良い」

「要件は、なんですか?」

「…まぁ良い、我に触れた無礼は不問としよう」

(無礼ってなんだ)

元いた場所に戻り座った

「まず京都の現状だが、至って平和だ」

「そんなはずはない」

「そうだ、だが事実、京都に不穏な魔力の流動が起きている」

「気温が高いのはその為か」

「そうだ」

薄暗い灰色の空が広がっている

「平均気温より3度も高くなっている」

「3度?」

「これは私の直感の域を出ないが、計画は27日に行われる」

「なぜそう思う」

「ただの直感さ、そこの式部は占いが得意でね」

胸の大きい女性は厳かに何かを書き記していた

「厄介なものほど当たってしまう悪感さ」

「…なるほど、片隅に置いておこう」

「咲夜さん!?」

「念の為君達には27日を含めた7日間、薄くなってしまった下京を担当してもらいたい」

「ちょっと待ってください、日付がわかっているならその日は全員避難させればいいんじゃ?」

「その通りだ飛鳥、だが、ただの勘であることは拭えぬ事実、それに目的が分からぬ以上今の経済を無闇矢鱈と止めるさせるには行かない」

「下京区だな」

「…」

「満足せぬ回答の様だな、では言い換えよう、英雄とは被害ありきで成り立つ役職だ」

「そんな…」

「満足いかんのは皆同じだ、ちょうど良い時に来てくれたね、歓迎するよ」

「要はそれだけか」

「あぁ、宿は用意してある、きたるべき時、それまでそこが拠点だ…式部、案内せよ」

「畏まりました、此方へどうぞ」



――

(思ったんと違う…)

海外のホテルのような部屋に案内された

二つの部屋で、男性と女性に別れるつもりだったが、

「すまないが、樋口とフアソラとは同室は無理だ」

という咲夜の申し出

「え、」「え」

(咲也さんって意外と積極的?)

「それと飛鳥」

「え?」

「一応お前もNGだ」

というわけで否が応でも部屋割りが決まった

飛鳥、樋口、フアソラ

咲夜、桐谷

 ベッドは一つでキングサイズと思われるものだけが置いてあった

(このベッドは男2人の方がキツいぞ…)

「私達は先お風呂入ってくるね」

「おう、俺は明日の朝ごはん買ってくる」

「フアソラちゃん行こ!」

「うん!」


公園のベンチ

すっかり暗く寒くなった空を見る

(一応NGって…一緒が良いからって変な理由つけなくてもなぁ)

「あすか?」

「咲夜さん?どうしたんですか?」

「お前のがマシだったかもしれん」

「はい?」

「なんでもない、夜風に当たりたくて散歩している、お前は?」

「明日の朝パンを買いにコンビニです」

「そうか、ついていってもいいか?」

「いいですよ?」

月はまだ満ちていなかった

「なんで俺の方が良かったんですか?」

「瞑想の質に関わるからな」

「瞑想の質?」

「俺の殊科は近くした場所に顕現させるが、まだ視覚のみの領域」

「はぁ…?」

「樋口やフアソラがいれば膨大な魔力がノイズになって集中が乱される」

「なんで俺まで」

「お前は自覚しているか知らんが、微かに纏い始めている」

「纏う?」

「それは飛鳥の力ではないが確かに飛鳥の力だ」

「何を言ってるのかわからないですけど、俺は魔力保有してるんですね?」

「少し違うが、まぁそう思って差し支えない」

「だから桐谷さん?」

「あぁ、彼女は魔力を持たないし物静かだ」

「じゃあなんで俺の方が良かったんですか?」

「…」

「え、なんですか?」

「お互い大変だな」

急に生気の抜けた虚な瞳で遠くを見る

「えぇ怖い、怖いんですけど…」

「明日、俺は京都支部のミーティングがある」

「咲也さんだけですか?」

「各部隊の隊長だけだ、全員行けばあの屋敷では窮屈だろう」

「確かに」

「明日は地形の把握がてら観光してこい」

「分かりました…」

「お互いに頑張ろうな」

「だから怖いって!!」

今更!人物紹介

樋口あかね

女性16歳

好きな物・たい焼き 運動

嫌いな物・争い 銃火器

・逃げ隠れていた魔族の少女。素直で物怖じしない天真爛漫な性格は、現代に馴染みやすく、授業を受けていた際はかなりモテていた。

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