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ただのお土産ですよ


 一旦部屋に戻って買ってきたお土産を取り出す。

……何故だろう、急に緊張してきた。

もっとちゃんとした包装をした方が良かったか?イヤでもただの土産だし他意はないし、あまり大袈裟にするのもかえって恥ずかしいし……。


 今更ながら何故これを選んだのだろうかという気持ちが押し寄せてきたぞ。

何か変な風に勘繰られるだろうか……いや、そりゃ好意はあるけど、そんな変な意図はなくて……変な意図って何だよ、別におかしな事は考えてない……俺は誰に言い訳してんだよ。


 もういい普通に渡す。


「これお土産、みんなで食べてくれ」


 朝ご飯を美味しく頂いた後、そう言って明日香良茶あすからちゃ饅頭をテーブルに置く。

まれなも普通に食べてたし、女子高生に渡しても悪くないチョイスのはず。

さあ、次が本番だ。


「あと……これを二人に」


 そう言ってて渡す。別にもったい振る様な物でもない。


「え、アタシ達にくれるの!」


「ハル……キ君からのプレゼント……」


 やめて恥ずかしい。プレゼントじゃなくてお土産だから。

同じ事なんだけど、なんていうかその……ニュアンス的に恥ずかしい。


「わあ、カワイイ」


 渡したのはネモフィラという花をモチーフにしたヘアクリップだ。

趣味じゃなかったら申し訳ないが、これを見た瞬間に二人の顔がよぎったので買ってしまった。

藤の花とかも良いと思ったけど、俺の名前に使われてる字なのでさすがにそれは勇気が出ない。


 確か成功とかの花言葉だったと思うので、ダンジョン高の生徒であれば悪くないと思ったし、これから暑くなってくれば髪をまとめる事もあるだろうし、今が見頃だし……言い訳がましいな。


「へえ、玻琉綺ってば女の子にこんな贈り物してくれるんだ、意外だけど嬉しい」


 深優璃は喜んでくれた様だ。


「玻琉綺君お花好きなんだ、可愛い髪留めありがとう」


 良かった、才華の反応も上々だ。

はあああ……、よし、ちゃんと渡せたぞ。一応地元の花広場でも売りになってる花だしな。

あとはまれなか、なかなか骨が折れるな……何でお土産渡すだけで神経すり減らしてんのかね。


「……そう言えばさあ、玻琉綺昨日どうして帰っちゃったの?」


 むむ、鋭い質問だ。さっき深優璃には徹夜で霊洞行ってたって言っちゃったしな、具合悪くなったって言い訳は通用しないよな。


「顔を見せに来ただけって言ってたのに、教室にも入って来なかったね」


 才華も切れ味が鋭いな。

ただの興味本位の箔付けで、恋愛対象外の何とも思ってないただの友達って言われてショックで逃げたとは言えない、そんなホントの事は……。


 それにショックを受ける事自体がおかしいわけだし、それじゃあまるでフラれて泣いて帰ったみたいじゃないか。まるでじゃなく実際そうだけど。

聞かなかった事にするとか思っときながら言い訳を全く考えてなかった……この藤堂玻琉綺、一生の不覚。


 二人とも、そんな食い入る様にこっちを見ないで。何だかすごい目力ですよ?


「あー……うん、まあ何というかそのー、お、お土産!クラスのみんなに買ってきたお土産忘れちゃってさ、その、まあ、そういうわけでまた次の日にでもちゃんと心配かけた事謝りながらみんなで饅頭でも食おうかとね……」


 何だその言い訳。次の日って今日土曜じゃん。

何もみんなで饅頭食わなくても良いじゃん、大体クラス用に買ったのって饅頭じゃなくて金太郎キーホルダーだし。


「……ひょっとして私たちの話聞こえてた?」


「何の事かな、教室の中の声なんか聞こえるわけないじゃん」


 すいません、バッチリ聞こえてました。その上で興味があって聞き耳立ててました。


「じゃ、じゃあ俺テスト勉強しなきゃいけないし、徹夜明けで眠いからもう部屋に行くよ。タツにもお土産渡したいし」


 言い訳全部乗せで部屋に逃げ帰る。ふう……何とか凌ぎ切ったぜ。


「ちょっと玻琉綺!帰ってきたなら声ぐらい掛けなさいよ。一応はほんの少しだけど心配してたんだからね」


 バアン!と今閉めたばかりのドアを開けてまれなが顔を出す。

ノックも無しに勝手にドアを開けるなよ!俺が着替えてたらどうするんだ、そんな逆ラッキースケベ何処にも需要ねえよ。


「まれな、それについては謝るけどノックぐらいしようぜ、俺の私生活に興味があるわけでもねえだろ」


 なんか、まれなの顔を見たら逆にホッとしてしまった。


「何をいやらしい事を言ってるのよ、あれから一人でなんかしたりしてないでしょうね?私と貴方は一応チームなんだからね!」


 あ、そうだった。結局締めは俺一人でやっちゃった。まあ別に何の盛り上がりも無かったけど。


「そうだった、ゴメン解決しちゃった」


 あ、まれな下向いてため息ついちゃってるよ。だからゴメンって。


「アンタって人は……もういいわ、じゃあ剣ヶ峰の恋人は無事助け出せたのね」


 げふっ。


「こ、ここ恋人ぉ??え、何あいつヒナのこと恋人とか言ってんの?」


 ダメだろ、アウトだよ。実年齢はともかく見た目がアウトだよ、神様相手もアウトだろ、ツーアウトってとこか……いや、見た目がゲッツーでスリーアウトだな、通報しました。


「何、違うの?あいつ私に嘘ついたって事?」


「嘘って言うかさ……アイツの思い込み?勘違い?先走り?犯罪?なんかそんなやつだよ」


 アイツ……本物だったか。


「?ちょっと訳わんないわ」


 うーん、まれななら言ってもいいか、順調に行けばまれなもあの場に来てた訳だからな。


「そうだな、ざっと説明するとだな……」



「……それホントの話なのよね?」


「この期に及んで嘘なんかつかないよ。緋奈津比売神子って言う歴とした霊洞の神様だよ」


 嘘はついてないけど、ご主人様がどうのこうのは言わないでおく。


「はあ、剣ヶ峰ってばバチ当たりにも程があるわね。緋奈津比売って言ったら三洞神の一柱じゃない、薄々は思っていたけどアイツってホントアレね」


 そうだよな、アイツってばホントアレだよな。“アレ”には思いつく限りの罵倒が入ります。

って言うか、まれなも知ってるぐらい有名な神様だったのか……霊洞の神様なんだから探索者なら知ってて当然か。


「あ、そうだ。まれなにお土産あるんだった」


 まれなはウチの地元には来たから、哀太刀ヶ原で買ってきた。


「え?私に……」


 まれなには花桃柄のハンカチと赤べこぬいぐるみに鬼婆クッキーを買ってきた。

俺一人であっちまで行っちゃったから、せめて向こうの空気感に触れてもらおうと思って……。

アレ?普通に渡せたな。もっと緊張するかと思ったのに。



学校ものってちゃんと書こうとするとやたらと間延びしちゃうんですよね。

何でだろ?自分の力不足です。


学校行事なんかも普通にやったら終わんなくなりそうです……ちょっと考えないといけないなあ

どうなるか未知数ですがどうぞお付き合いください。

今回も読んで頂きありがとうございます。

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