よし、アイツは許さねえ
ま、まあ完治した様で何よりだ。多分このよく回っているのは呪いじゃなくて趣味だろう。
そうであるなら、俺に出来ることはないな、うん。
後は潤葱総士郎の奴をとっちめればこれ以上の被害が出る事もないだろう。
「じゃあ桃花ちゃん、元気で健やかに。お兄さんにもよろしくね……この事は秘密にして貰えると助かるかな」
医者とかにバレる前に退散しよう。
「待って下さい!離しませんよ、お兄ちゃんが多分後少しで来ると思います!一緒にお礼を言わせて下さい!」
首にしがみついて大声出さないで。声が響く、耳が痛い、吐息がかかってる!あと苦しい。
「分かったよ、って言うか俺は隣の部屋なんだから用があれば訪ねてくればいいじゃん」
「え!?お部屋に招待してくれるんですか!」
いやだから病室ね?別に俺の部屋じゃ無いからね。招待するんじゃなくて、用があるなら来てもいいよって言ってるだけだから!か、勘違いしなでよね。
なんで俺がツンデレ口調になんなきゃいけないんだよ。なんだかペースを乱されてんなあ。
ふう、何とか自分の病室に戻って来れた。なんだかすごい子だったなあ。
昼前には宮藤さんが病院に来るから、そしたら一緒にこの病室来るって言ってたな。
それまでにあらかたやっておくか。
今回まれなと一緒に探索してみて、多くの足りないものを感じた。
まずは準備からして俺は舐めてたな。
宿泊道具、食事なんかも周りに対するアリバイ的にもあった方がいいし、アイテムボックスを隠す為にもまれなの使う小型化魔法は使える様になっといた方がいいな。
装備品も店売りの物を買っておいた方がいいな。物足りなきゃ強化すれば良いし。
やたら天翼の角杖に頼るのも良くなさそうなので、回復薬的なものも用意するのも忘れちゃならない。
一通り素材になりそうなものは採ってきた。
さすが霊山と呼ばれるだけあって、殆ど霊洞と変わらない質のものが多かった。
薬草とか一括りに言ってるけど、結構細かい種類がある。
でもマジックアイテム化すると、効果は一緒になる。だから薬草って言葉でまとめてんだな。
鉱石の類は適当な石を拾ってみると、成分的に鉄や銅、錫、鉛なんかが混ざっていた。
それらをセトちゃんに吸収してもらって抽出すれば、後はMPを使って増産出来る。
やっぱチート過ぎんなこの石版。
これら集めた素材、魔物素材、MPで作った物がこちら!
【天蓋孤独】……一人用テント、内部にレベル2魔導力場が発生。対魔物迷彩。耐久度《大》内部拡張。一人が使用中は入場不可。
【行李行者】……籠自ら使用者についてくる。収納量に限度はないが、口より大きい物は入らない。収納物を背面に表示可能。錫杖付き
【傷癒水】……傷を癒す水。外傷であれば飲んでも掛けても即座に完治する。脳や内臓、血管の傷も飲めば完治。
【外道苦役】……毒だけでなく、呪いなどの外法も解除する。故意に仕掛けられた場合には相手にも同等のダメージが返る。
【転回魔鏡】……魔法を反射する懐鏡。持っていると自身を害する魔法を相手に跳ね返す。
【寒暖烈士皮】……周囲の悪環境を無視出来る外套。常に最適な温度を維持し、地形ダメージも遮断する。
……作っといてなんだけど、やり過ぎたかな。余計に目立ってしまいそうな道具の数々だ。
自動で着いてくるカゴとか目立ち過ぎるだろ、何で錫杖なんかが付いてんの?行者だからか?
いや、って言うかさ……ネーミングだよ!
なんだこのヘンテコリンな品々は!簡単レシピ?醤油水?何それ、アッちゃんのセンスなの?それともセトちゃん?
なんだよ外道苦役って、素直に解毒薬とか解毒液でいいだろ!
一番やべえのは天蓋孤独ってテントだ。天蓋は分かる、テントなんだからそう言う表現もあるだろう、でもそれに孤独を混ぜるな!天涯孤独のソロキャンパーって家無き子かよ。
俺は確かに洒落の分かる男だけど、これはいくら何でも遊びすぎだろ。
ルビはまともなのがまた何とも言えない。ポーションなんか回復薬でいいじゃん。
『む、ハルキにはこのセンスが分からんのか』
《漢字というのは良くできた言語です。その美しさが分からないとは……》
『そう言う話をしてるんじゃないよ、その美しい漢字で遊ぶなって話だよ。緊張感なくなるじゃんか』
まあ楽しんでるなら良いんだけどさ。
『まあそれは置いとこう、問題なのはあの黒い呪いの玉だよ』
あの吸収の仕方ってバクレイオンの魔導書の時と一緒だ。
イレギュラー霊洞で呪われたんならやっぱり関係はありそうだけど、どうやって呪われたのか分からないって桃花ちゃんは言ってたな。
《呪いと言うよりも、異世界の魔力とこの世界の魔力の融合体と言う方が正しい表現になります。ワタシのエラーの原因物質です》
セトちゃんのエラー……もしかして桃花ちゃんの体内で何らかの作用を起こしてエラー、病気として表出したって事なのか。
『それが実体化したって事?』
『恐らくあの娘の体内ではエネルギー体であった物が、解呪に伴い体外に排出され、排出時に外気、魔力に触れ物質化したのだろう』
《機巧人形の核と思われます。死亡後、動く石人形となって傀儡化されると推測されます》
ええ……あの野郎、そんな悪趣味な真似しようとしてんのかよ。
自分の軍団でも作ろうとしてんのかよ、いい歳こいて厨二病患ってんのか?
そういや呪文名も厨二臭かった。
ひょっとして、それに対抗してダジャレに走ったのかアッちゃん!
俺が厨二臭い名称だと恥ずか死ぬと心配して……アッちゃんやセトちゃんの優しさが沁みるぜ。
……いや違うな、普通に遊んでるだけだな。癒回な角杯とか作ってたし。
ああ、そろそろ宮藤さんが来る時間かな?
もういいや、今晩鬼面山とやらに行ってみよう。野郎が何を考えててもどうでもいい。
奴はやり過ぎた。これ以上は何もさせない、俺は今まで学生であろうとしていた。
それは今後も変わらない……が、奴は別だ。
敵だ、俺の命だけならまだしも多くの人を手に掛けた。
桃花ちゃんだって、タイミングが悪ければ命を落としてゴーレム化されていた事だろう。
それはひょっとしたら瑚琥那もそうだったのかも知れない。
……許さねえぜ、好き勝手やるのは構わねえが瑚琥那を危険な目に合わせやがって、一歩間違えば瑆玖や璟珂だって危なかった……よりにもよって傀儡、ゴーレムだとお。
“バアン”
「藤堂君!君は凄い!ありがとう、本当にありがとおお!!」
あ、宮藤さん。
「こんにちは宮藤さん、今日も元気ですね」
声が大きいですね。
「ああ元気だともおお!これが元気にならずにいられるかい?桃花が……桃花が完治したんだああ!!」
そういやさっき医者みたいな気配したな。桃花ちゃんは黙っててくれたようだ。
医者には悪い事しちゃったかな、何が何だか分からないよなあ。
これ多分何らかの奇跡とかで取材とか来る奴じゃない?桃花ちゃんその時果たして黙っていられるのだろうか。
「藤堂さああん!やりましたよ、治ってました!完全復活ですっ!」
その桃花ちゃんも登場。
二人揃うとやべえな、他に患者いなくて良かったよ。
「藤堂君、これは約束の謝礼だ!少ないと思うが精一杯の気持ちだ!受けとってくれ!」
差し出された封筒はかなり厚い。治療費がそろそろやばいって言ってたから心配だな。
でも受け取らないのは失礼か?
これは宮藤さんの気持ち、喜びの表れだ。それだけ嬉しかったと言う事なんだろう。
それに俺も貸しを作るような真似はしたくない。俺は謝礼の分かる男だ。
「ありがたく受け取っておきます。だからこれ以上感謝はいりませんよ」
ちょっと静かにして欲しいってのもある。
「藤堂さん!アタシ決めました!」
何をだい?
「アタシも藤堂さんと同じ高校に行きます!」
大きく出たな、一応ウチってエリート高だぜ……あれ?俺学校教えたっけ。
「だからどこの学校か教えて下さいっ!ついでに住んでるとことか、携帯番号も教えて下さい!maineでもいいです!」
それは何目的なの?そんなに清々しく個人情報聞き出さないで。
ちなみにmaineと言うのはメッセージアプリの事で魔INと言うのが元になってる。
『メッセージアプリに魔力がインしたお』とか言うネットミームが元になったとか。
さてハルキはあと何日学校休むのでしょう?
全ては作者の力量次第。
頑張ってハルキのメンツを守りたいと思います。
今回も読んで頂きありがとうございます。
また、ブックマークをしてくれた方、重ねて感謝します。
みなさん、応援よろしくお願いします。




