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兄妹って微笑ましいな


 何だかまれなに似ず結構なうっかり屋だな。

でも流石にこの調子で聞き出す事は難しいだろうけど……。


「じゃあ友達は売らないでもいいですので、雑談でもしましょう」


「………」


 だんまりを決め込む気か、余計な事を言わない為にはそれが正解だろうな。


「まれなって可愛いですよね」


「ぶっ!何だテメエ、まれなを狙ってやがんのか……殺すぞ」


 やはりコレは無視できないか。


「いや一般論ですよ、ヒナツヒメとどっちが可愛いんですかね」


「あ?まれなに決まってんだろ、あんな穴ぐらに閉じ籠ってコソコソやってる奴なんて……オイ!何言わそうとしてやがる」


 あ、バレたか。そりゃそこまで馬鹿じゃないよな。


「けっ、油断も隙もありゃしねえな。だがな、どうやったってアイツらの居場所なんか分かんねえぞ、転移も使えないお前じゃあアイツの岩屋洞には入れねえよ」


「岩屋洞……ですか?」


 言っちゃったよ。


「ふん、まあ見つける事すら出来ねえだろうがな」


「潤葱さんってそんなに凄いんですか?」


 SNSとかやってんのに?


「チッ、まあな。悔しいがよアイツなら本当にあのクソ女神を殺せるだろうな」


「女神って……そんなのいる訳ないじゃないですか」


「ふん、お前もそう言うんだな……いいか、俺たちはその女神に異世界転移させられたんだよ!信じられねえだろうけどよ……へっ、笑いたきゃ笑え」


 おお、重要な事をサラッと喋っちゃうんだ。

いや、コレは誰かに聞いてもらいたかったんだろう……きっと大変な目に遭って来たんだろうな。


「異世界ですか……え!?異世界転移してたんですか!」


 今流しそうになったけど、え?お兄さんも異世界帰りなんですか!?


「けっ、ただの与太話だ……どうせ……」


「それは、その……すいません、大変だったんですね」


 本当にごめんなさい。大体俺のせいです。


「信じるってのか?こんな……話を」


 信じるも信じないも、こんな世界だし、俺自身そうな訳だし、そもそもそれ前提で……何で大人しく捕まってんだ?


「ええ、信じますよ。だってまれなのお兄さんの言う事ですから。それに今ギャグ言うタイミングじゃ無いですし」


 まさか異世界帰り二人いたとはね、神様何やってんの?

いくら改変世界だっつっても、あんまそう言う事しちゃダメでしょ。

マジでみんなが異世界行きたいとか思ってんじゃ無いからね?


「うっ、うう、まさか……信じてくれる奴がいるなんて」


 お兄さんは語り出す、聞くも涙語るも涙の異世界話。


………いや、“異世界チートハーレム俺つええ物語”自慢じゃねええか!!


 まあ正確には俺つええハーレムは潤葱の方であって、お兄さんはオマケみたいな感じで巻き込まれ召喚で、追放されて戦い以外で真価を発揮してハーレムでは無くても可愛い同居人がいて、でも戦闘はクソザコで……なんだかんだで潤葱と一緒に送還されて……。


 どっちにしろなんか楽しそうにやってたみたいじゃん。

一体何で神様殺そうとしてんの?上手い事やって、普通に帰って来れて何が不満なの?


「話を聞いてると女神を殺すって言う結論になるのがよく分かんないんですけど……」


「……みんな殺された。女神に……。」


 え!それはまた一体何が……。


「俺や潤葱がぐずったせいもあるが、俺たちの心残りを……仲間たちを全員消そうとしやがった」


 それはやり過ぎだ、何考えてんだその女神!一体何て名前なんだ。


「その女神、アルセティオは言った。全てはそこの世界のためだと……冗談じゃねえ、何が“私を楽しませるのが世界の役割”だ!“私の愉悦が世界の活力”だ!面白半分に全てをしっちゃかめっちゃかにしやがって!」

 

『ねえアッちゃん、アルセティオって?』


『わ、我は知らんぞそんなイカれた女神。ただ、可能性としては多次元同位体の様なモノが生まれたやもしれぬ……他ならぬ玻琉綺の深層意識が我と同一のモノまで創り出した事になる』


『ウッソだろまた俺かよ。でもそれ他所の世界の女神だよな』


 こっちの神様拐ったのって、もしかして異世界に行きたいとかの理由か?

確かに霊洞って言い方的に、何処か別の世界に繋がっているって感じも受ける。


「魔王の話はしたな。その魔王バクレイオンもまた女神に連れて来られた異世界の人間だ」


 うわー、もう!何だよその女神ホントにイカれてんじゃねえか。

じゃああのバクレイオンの魔導書に封印されてるのって人間なの?人間を呪文化して本に封印って……。

いや待てよ、魔導書だけじゃ無いな。


 シャスティフォルは?アレって意識を上書きされたって話だったよな。

その意識って魔王バクレイオンって事なのか。


 そう言えばあれはまれなからもらった奴だ。

霊洞からの出土品って事だったけど名前的には海外の剣だよな。

宝箱の中って国は関係ないのか?それとも海外の霊洞にでも入ったのだろうか。


「俺達はその魔王をこの世界で引き取ろうと色々画策したんだ」


「もう兄様!またその話なの、あんまり玻琉綺に変な事言わないでよ恥ずかしい」


 お、話し合いはもう終わったのかな。


「ふん、お前と違って彼は俺の話を信じてくれたぞ」


「ちょっと玻琉綺、兄様に付き合う必要なんてないのよ、二年も家出したと思ったら、いきなり帰って来てコレだもの」


 いや、やっぱりお兄さん無実だろ、まれなのこの態度は明らかに人殺しに対するものじゃないし、この人が人を殺すとは思えない。


 異世界でそんな目にあった人がこっちで、いくら目的があったってよっぽど自衛の必要でも無い限りそんな事する訳ない。

あれ……って事は潤葱もそうなのか?

あの場面は何かの間違いなのか……奴もたまたま殺人現場に居合わせた?


 いや、でも悲鳴聞こえたしな。

でも話を聞く限りじゃ神薙の連中が相手だったみたいだし、俺も小太り皆連寺に狙われたし、一方的な加害者ではないのかもしれない。


 今更ながら何で俺狙われたの?勧誘もされたし……どうでもいいか。

奴らは俺の敵って事でいいな。でも鬼とかそんな悪い奴らじゃないっぽいのも何だかなあ。


「まれな、お兄さんの処遇は決まったのか」


「ええ、兄様には悪いけど当局に引き渡して拷問される事になったわ」


「おおい!まれな、何だそれは!お前実の兄を見殺しにする気かこの人でなし!」


「何言ってんのよ!完全に自業自得じゃない、生穂太刀返してよ!」


 ひょっとしてまれなが剣を使わないのって……。


「だからアレは俺に必要なんだ!現存する数少ない神殺しの剣、八十神やそのかみを斬ったその荒御魂あらみたまの宿る剣がな!」


「まあだそんなこと言ってんの!なあにが神殺しよ、雷おこしでも食べてなさいよ!」


 かみごろし、かみなりおこし……まれな、苦しいよ。


「大体兄様は昔から……」


「そんな事言ったらお前だって……」


 なんか兄妹喧嘩が始まった。お兄さん縛られたままよくやるなあ。

でも懐かしいなあ、俺も妹達と昔はよくやったなあ。そんな事実は無いはずなのに、そんな記憶はちゃんとあるんだよなあ。


「陸堂さん、で、どうなったんです?」


 まれなが壊れてるので陸堂さんに聞いてみる。


「はい、稲城華樹臣の身柄は稲城家に預ける事にします。ただし彼の持つ杯をこちら、探索ギルドに譲渡してもらう事が条件です」


「いいんですか、お兄さんは自分の家とは言え強盗殺人の容疑が掛かってるんですよね?」


「まあそうなんですけどね、でも稲城華樹臣の容疑って冤罪の可能性が高いんですよ。警察の捜査では犯人とは断定出来なくて……でも何故か探索ギルドが指名手配してるんですよね」


 どう言う事なんだ、探索ギルドってそんな権力あるの?


「当局ってのは、要は全探連、全国探索者連盟評議会ってとこでして、探索ギルドはそこの下部組織になります。その全探連が稲城華樹臣を指名手配したんですけど……実は被疑者死亡で手配は取り消されてたりして」


 てへ、じゃないよ。じゃあ今までのは杯手に入れる為のブラフか?意外とやり手なんだな陸堂さん。

小隊の隊長任されてるだけはあるって事か。


「まあ、生きてたんですけどね。なので彼にはこのまま死んでてもらった方が面倒がないって言うか……」


 それで身柄を稲城家にってわけか。

でも多分お兄さんは俺から離れたら転移しちゃうと思うんだよなあ。


「ちょっと待ってて下さい」


 俺は陸堂さんの前から離れ兄妹喧嘩の仲裁に入る。


「兄様のバーカバーカ」


「やーいまれなのペチャパーイ」


 頭痛くなってくんな。


「お二人ともその辺で……」


「何よ玻琉綺!兄様の肩を持つ気!」 「何だよ玻琉綺君、君は貧乳好きなのか!」


「ハイハイ、どうどう、結論を伝えます」


 こう言うのは無視して話を進めるに限る。まれなも知ってて嘘つくなよな。


「まずお兄さん、さっきの鬼毒の杯を渡して下さい、あ、大丈夫です直ぐに返しますから」


 アイテムボックスから取り出し素直に渡してくる。どうやらお兄さんからは結構信用された様だ。

 

『アッちゃん、コレって呪いを除いて複製できる?』


『出来るが、MPが足りないな、今あるのだと光の槍(ライトジャベリン)の魔法書と引き換えなら何とかなるな』


 アレを売らないでおいてよかった。セトちゃんに登録してあるからもう使えるしな。


『それでお願い』


 出来上がった鬼毒の杯を取り出す


「鬼毒の杯!」


 大声出さないと取り出せないのホント不便


「な、玻琉綺君もアイテムボックス持ちなのか!」


 静かにして下さい、陸堂さんに聞こえちゃうでしょ


「まあ似たようなもんです」


 さらに石板に吸収した呪われた方も出す


「呪いの鬼毒杯!」


「何だあ!鬼毒の杯が……二つ?」


 手にした二つの杯を見てお兄さんが驚く。

まれなには全て吐かされたからな、もう今更だ。


「これが呪われた方の杯です、しまっといて下さい。あと、こっちは陸堂さんに渡して来ます」


 呆気に取られるお兄さんを尻目に陸堂さんのところまで戻る。


「どうぞ、呪いはもう解けちゃってるみたいですけど大丈夫ですかね」


「えっと……なんか叫んでました?呪いがどうとかアイテムボックスがどうのとか……」


「気のせいじゃないですか?多分呪いが解けてるとか言ったのが聞こえただけじゃないですかね」


 まあ、これで一旦解決って事でいいだろ。

あとは探索ギルドに存分に調査してもらおう、金太郎には気をつけて下さいね。


取り敢えず駅前霊洞はこれで一旦区切りです。

これまだGW四日目なんですよ、一応GWは七日間のつもりで書いてます。

物語をどう転がすか、また話を練らないといけないんですよね。

と言うのもお兄さん喋りすぎです。

まだ隠しておきたい事まで話しちゃいました。

本当は潤葱が助けに入るはずだったのに玻琉綺が転移阻害なんかするから来れませんでした。


色々やり過ぎちゃいましたが頑張って書いていきますので応援よろしくお願いします。

今回も読んで頂きありがとうございます。

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