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異世界帰りなんて碌でも無いに決まってる


 早速まれなと連れ立って霊洞に入りギルド員を先導する。

今回はちゃんと先行して様子を見るとか言って先に入って、装備を呼び出した。

アイテムボックスだ!って騒がれちゃ敵わないからな。


 付いてくる人数は六人だ。どうやらチームメンバーは六人で統一している様で、複数チームでアタックを続けていたらしい。


 詳しく聞くと、どうも今まで軍と探索ギルド、討伐ギルドで主導権争いをしていて中々調査が進まなかったらしい。

何やってんだとは思うけど、まあ産業になってるし、経済だって関わるし、何なら政治的な思惑だって絡むだろうから、ここまでの一大産業ともなると仕方ない側面もあるだろう。

みんな生活かかってるんだろうし。


 それに討伐ギルドがこう言った調査に名乗りを挙げるのは珍しいらしく、その思惑が分からずにさらに混沌とした政治的な駆け引きが行われて、ここまで時間がかかったそうだ。


探索ギルドが何とか主導権を握ったものの、遅々として進展しない調査に業を煮やした軍が出張って来て、さっきの騒ぎらしい。

やなタイミングで来ちゃったもんだ。GWなんだから休んでろよ。


「でも遺体回収の時は広間までは行けたんですよね?」


 あそこがボス部屋だとしたら、結構奥という事になる。

前回はじっくりマップを見るって出来なかったけど、そう言えば結構進んだ気もするし、帰りもまあまあ時間がかかった。


「そうみたい、僕はその時はいなかったんだけど……どうもその時は追跡のスキルで君の足跡を辿って行ったみたいなんだ」


 彼女はこの第10調査班の班長“陸堂りくどう 麻衣まい”さん。ボクっ娘である、聞けば昨年霊奧学園高校を卒業したばかりだそうだ。10とか同じ堂の字とか親近感が湧く、あんなのに会ったばかりだから尚更だ。

いやそうじゃなく、去年卒業だとすると今年で20歳か?それはつまりくだんの殺人犯“潤葱うるるぎ 総士郎そうしろう”と同学年という事になる。

これは話を聞いてみないとな……まあ後回しだけど。


 何にせよ、もう流石に足跡は残ってないそうだ。

スキルを使った追跡には足跡が残らないらしい……何故かは不明だが、この世界でそれに疑問を覚えるのは俺だけだ。

最初の遺体回収時に目印でも付けられれば良かったのだろうが、魔物の数が尋常じゃなく、また強力であったため、そんな余裕は無かったそうだ。


 では、その戦闘の痕跡は?と問うと、粒子と一緒にキレイサッパリ無くなるんだと、何じゃそれ。


『アッちゃん、何か分かるかい?』


 自分の通ったルートは覚えているけど、どうもコレそんなんじゃ進めない感じだぞ。

魔力の流れが歪んでると言うか澱んでると言うか……本当に罠か?バグってんじゃねえか。


『ふむ、確かに魔力の流れが異常だな、渦を巻く様に停滞しておる』


《解析完了:魔導製品プロダクトの一部に異常を感知》


《転移エリアが発動中、注意されたし》


 転移エリア?それで戻されてるのか?

でもコレだけやって気付かないなんて事あるのか。


「陸堂さん、転移っていう可能性は考えました?」


「うん、それは割と最初の時に出た意見だったけど……」


 複数チームで動いているので、転移であればうしろにいるチームが消えた事に気づくはずなのだ。

しかしそうはならず、後ろのチームから視認されながらそのままエントリーエリアに戻って来ているという事だった。


 なるほどね、つまり転移ポイントになっている訳ではなく転移ルート、つまりは無限ループ化しているという事か。

しかもこの感じから、およそ全てのルートがそうなっていそうだ。


 これじゃ前回と同じルートを辿ったところで無限ループに捕らわれてしまう。

やっぱりこれは罠ではなく不具合の可能性が高いな。


 およそこの世界のダンジョンは誰かが何かを守るとか隠すとか、そう言った思想で造られていない。

製作者はヒメ様を始め複数の神様なんだろうから、個々の性格で罠のえげつなさは変わってくるのだろうが、基本的にクリアが前提となっている。

  

 だから、クリアのためのヒントなりが必ずあるはずだ。探索ギルドはその道のプロだ、そのプロがこれだけ調査しても手掛かり一つ見つけられない難易度ではクリアなど不可能だ。


 でも、もう一つ考えられるとしたら……異世界帰還者。

コイツが何かした可能性はある。

ヒメをさらって霊洞を作らせ、自分でカスタマイズしてマスター気取りか?……やりそう。

異世界から帰ってきてチート能力持って……なーんて奴は大抵碌でもない事をやり出すもんだ。

ラノベでやってた。


『玻琉綺よ……お前、あまり思い詰めるな』

 

 ん?どしたのアッちゃん?


《データ照合します:自虐風自己紹介・・・自身を悪く言いながらも自慢を交えて謙虚さをアピールしつつもマウントを取りにかかる悪質な技術。これを言われた方は対処に困りつつも非常に苛つく場合が多々ある。》


 いやセトちゃん……何それ?

俺の自己紹介じゃないよ?断じて違うから!何も自慢してないし、マウント取ったりもしてないだろ!


「玻琉綺、何か分かるの?」


 コホン。


「ああ、多分これはルート自体が歪んでエントリーエリアに繋がってしまっている。だから正しいルートと言うものが存在しないみたいだ」


「何でそこまで分かるのよ」


 不思議そうに、呆れた様に言葉をこぼすまれな。

普通は魔力って見えないみたいだからしょうがない、まあ俺だって見えてる訳じゃなく見える様に感じるってだけなんだけど。


「魔力の流れが一定になってない、おそらくその歪みが空間を曲げている。戻ってくるという事はどこかでUターンしている事だと思う」


 セトちゃんのマップを見ればどこでそうなってるかなんて分かりそうだけど、まれな以外の目があるしな。

多少力業だけど、自力でやってみるか。


「うえええ、魔力の流れって分かるもんなんですか?……じゃあ何か手段もあるんですか?」


 陸堂さんが期待に目を輝かせる。


「……そんなの分かる人いないわよ」


 どうやらそうみたいだ、でも俺も分かるものを分からないふりしたく無いしな。


「まあ、ちょっと強引ですけど考えがあります」


「玻琉綺……よくこんな一瞬で解決方が思い付くわね、前から思ってたけど、貴方本当に同い年?」


 あ、今おじさんって言った!直接その言葉を使ってなくてもそれはもうそういう意味だよな!

一番言われたくない言葉ナンバーワンだ、俺はちゃんと高校生だぞ。


「俺がオッサンくさいって事?泣くよ?」


「もう、そういう意味じゃないわよ!」


 じゃあいいや。


「ならいい、まあ簡単な理屈だ。俺の予想ではこの道は真っ直ぐに見えてUターンしていると言ったな」


 虎牙斬りをバックハンドで身体に巻き付ける様に構える。


「どこでそうなるのかが分からないのなら見える様にすればいい」


 この世界ではまだこのスキルは覚えてないけど、やり方は分かってる。


「貴方まさか……」


「危ないから下がってろ!」


 Uターン場所次第ではここまで届くかも知れないからな


虎牙断こがだち!」


 そんなスキルは無い。けど、この技はちゃんとある。魔力に剣の属性である斬撃を付与し、それを壁に這わす様に振るう。

向こうの世界では基本の、剣による遠距離攻撃だ。


 適当に名前を付けたけど、なんかそんなスキル生えないかな。

スキルにした方がもっと速く安定的に使えるし。

今度擬似訓練でやってみよう。


 剣から生まれた衝撃波が魔力を乗せて飛んで行く。狙い通り通路の壁を削りながら。

そしてあるポイントでこちらに引き返してくる。やはり反対側の壁を削りながらだ。

そして俺の数メートル前で霧散する。


「な、何ですか今の斬撃……こんなに曲がりくねった壁を這う様にして進んでいくなんて」


 陸堂さんが腰を抜かしそうになってる。こう言うスキルって無いのかな?


「って言うか、霊洞の壁を削るなんて一体どんな威力なんですか!」


 霊洞は壁に限らず床も天井も全てかなりの強度を持つ。

もちろんそれを上回れば破壊も出来るが、相当な威力が必要になる。

それだけ虎牙断ちが凄い威力なのだ!と言うと、それは違う。


 すでにセトちゃんによって解析済みだったここの霊質と反発する様に、魔力の質を整える事によって、あたかも氷の上を滑らせるかの如く斬撃を放った。

そして反発する魔力は霊洞壁の内部に浸透し、その反発力によって内側から破壊したのだ。


 つまり破壊力ではなく、俺の魔力コントロールによる結果だと言える。


「さあ、行こう。壁が壊れてない所が歪曲ポイントだ」


「確かに力業ね、ま、もう驚かないけど」


「あわわわわ、な、なんて解決方法なんですか……」


 陸堂さんイイね、いいリアクションと解説だ。

こう言うキャラ、チームに一人は欲しいな。


駅前霊洞編、長くなりそうな予感がして来ました。

まだ入り口近辺です。

あまり長引くと他のキャラの出番がなくなるので忘れられそうです。

何より私が忘れそうですので、上手い事まとめたいと思います。


今回も読んで頂きありがとうございます。

頑張って書きますので応援よろしくお願いします。

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