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霊洞に行こうや、久しぶりにキレちまったぜ


 翌朝六時、今俺とまれなは駅前霊洞、正式名称バクレイオン霊洞の目前に着いた。

出現から約半年、未だに調査が終わってないのか加納崎さんと同じバッヂを付けた人達、探索ギルドの人達だろう。

それに軍隊組織の……霊撃軍だったな、みたいなのもいる。

意外と物々しいな。


 そんなに難しい霊洞では無い様に感じたけどな、学院の課題霊洞の方が難しかった気がする。

一角虎でもリポップしたか?でもアレ確かに強かったけど、斑鳩さんクラスの人が装備を整えていけば十分勝負になると思うんだよな。


「玻琉綺はここから生還したのね、未装備で初霊洞って話だったけど……その時からあのおかしなアイテム持ってたって事?」


 おかしなってこたないだろ。人間は理解の範疇外の事は全ておかしな事と一括りにする癖があるな、俺もその人間だからよく分かるんだけど一応友達だからねそれ。

いや俺が言って無いだけなんだけど。


「ああ、そうだよ。でなきゃ絶対無理だろ」


「そうね、たとえそうだとしても普通は絶対無理だと思うけど、一応納得は出来たわ」


 そりゃ良かった。


「で、どうする?なんか入れそうに無い雰囲気だけど」


 色んな人達がひっきりなしに出たり入ったりしてる。何やってんだろ。


「やはりダメです、とてもじゃ無いですがレベル3とは思えません!」


「いつまでかかってんだ!さっさとコッチに指揮権を渡せ!」


「うるせえ!テメエらは俺たちが全滅した後だ!大人しく待っとけ」


 何やらただ事じゃ無い怒号が飛んできた。

全滅とは穏やかじゃ無い、一体何が起こってるんだ?もう半年も経つんだぞ。


「そうね、これだけ殺気立ってると私達じゃ入れそうに無いわね、残念だけど」


 そうだよな、これじゃあな。

まれなよっぽど入りたかったのかもな、凄く残念そうだ。


 かく言う俺も入ってみたかった。

あの殺人犯がここの学園を出てるってのが引っかかる。

確信はないけど、鑑定の隠蔽、頻発するイレギュラー霊洞、魔導書のこの世界のと違う魔力、攫われたヒメ、魔物になる人間。

それぞれが別の出来事だとは思えない。


「あ!オイお前、そこの小僧!お前だ!」


 え、俺に言ってんの?キョロキョロ見回しても小僧と呼ばれそうなのは俺しかいない。

それにあのオッサン見た事ある気がする。


「オイ小僧、お前ここを攻略した学生だな!」


 あ、このオッサン捜索隊の隊長やってた……啓太って呼ばれてた人だ。

醜態晒した割にはあんまり叩かれてなかったな。


「小僧、ちょっとこっち来い!聞きたい事がある」


 うわ、何だか切羽詰まってる感じだなあ……凄い嫌な予感。


「ちょっと貴方、そんな言い方はないでしょう!聞きたい事があるなら礼儀を弁えなさい!」


 まれなさんつよい。

こんなブチ切れおじさんに怒鳴られても引くどころか押していってるわ。


「ああ?何だこのメスガキは!おめえはお呼びじゃねえ、そこのガキに用があんだよ!」


「メスガ……!」


 うわあ、メスガキなんてエロ漫画以外で初めて聞いた。

そんな事言う痛いおっさん実在するんだ……引くわ〜、ってかなんかムカつくな、何だこのジジイ。


「オイオッサン、その辺にしとけよ。彼女にそれ以上の侮辱は許さねえぞ」


 まれなを背に隠してそう言う俺には、すでに許すつもりはない。

まれなを背に隠したのもこんなヤツを視界に入れさせたくないし、コイツにまれなを見せたくない。


「うるせえ!生意気なガキだな、いいから黙って言う事を〜」


「わああああ!待った待った待ったああああ!」


 アレは……前回もこのクソジジイを止めに入った奴か。

名前は……聞いてなかったな、まあどうでもいい、コイツを庇おうってんなら等しく敵だ。


「何だあんたは、またコイツを止めに来たんだったらもう手遅れだぞ」


「い、いやちょっと落ち着いて、話を聞いてくれ」


「落ち着くのはそこのクソジジイだ、聞きたい事があるだあ?聞かせてやるよテメエの悲鳴をなあ!」


「玻琉綺ヤメテ!」


 あ、ハイ。

思いっきりぶん殴ってやろうかと振り上げた拳だが、まれながヤメテと言うならやめておこう……命拾いしたなジジイ、まれなに足向けて寝るんじゃねえぞ。


「落ち着いて玻琉綺、そこの無礼な男はともかく、何か異常事態が起こってるのは間違いないようよ、話があるなら聞いてみましょう」


「……俺は落ち着いている。冷静にそこの無礼なスケベ親父に地獄を見せてやろうと思っただけだ」


「もう、それの何処が落ち着いてるって?貴方はそんな人じゃないでしょう、そんな男に合わせる必要はないわ」


 あの、ちょっと近いです。分かった分かりました、確かに少しだけ頭に血が上ったかも。


「分かったよ、悪かったな…‥怖がらせちまったか?」


 ちょっとキレ過ぎたかもしれなかったかもしれないかな?俺の穏やかなイメージが崩れてしまった……あのクソジジイめ、っといかんいかん。


「いいえ?私の事で怒ってくれた事は嬉しかったわよ」


「このガキども!何を盛ってやが……」


「ちょっと啓太さんと黙ってて、話が進まない……君達もいいかな?」


 必死にクソジジイを羽交締めにしながら口を塞ぐストッパーさん。器用だな。


「はあ、で?何が聞きたいって?それとも聞かせたいのか?」


「あ、ああ助かるよ、此処じゃちょっと……こっちまで来てくれ」


 確かに人目を集めちゃったな、俺のせいじゃないけど。


 通された兵舎みたいな簡易テントの中でテーブルに着く俺とまれな。

向かいにはムスッとした顔でそっぽを向くクソジジイとストッパー兄さん。


「は、はは……啓太さんも悪い人じゃないんで……」


「言い訳けはいい、要件を話してくれ」


 おっといかんな、まだムカついているようだ。一応は話し合いなんだから、最低限の礼儀はいるか。


「すいません、口が過ぎました。ご用件をお聞きしても?」


「ああ、そうだね……実は今調査隊が霊洞の奥を目指しているんだけど……進めないんだ」


 進めない?


「何と言うか、迷路になっているってほどじゃないのは分かるんだけど、何らかのトラップの様なものが発動しているみたいで……何度アタックを掛けてもエントリーエリアに戻ってしまう」


 そんなのあったっけ?俺はセトちゃんの案内で進んだから正解ルートを通れたってだけなのか?

でもアッちゃんも何にも言ってなかったよな。


「おまけに力場濃度以上の魔物が出没している……こんなの初めてなんだ」


「それで俺に攻略情報を聞きたいと」


「……恥ずかしながら」


「オイ!何か知ってんなら答えろ!情報の共有は探索者の常識だぞ!」


 ああもうこのクソジジイ、せっかく穏やかに進めてんのにさあ。


「もういい加減にしてくださいよ!今は少しでも情報が欲しいのは啓太さんも分かってるでしょ!犯罪者の取り調べやってんじゃ無いんですよ!」


「チッ!」


 このストッパーさんも大変だな。


「貴方達いい加減になさい!ただでさえ人の情報を聞き出そうなどと不埒な事をしていると言うのに、何ですか仲間内で!」


 俺もまれなに根掘り葉掘り情報聞き出されたなあ。


「ましてや彼は学生です、何が探索者の常識ですか!チームでも無い者がそれを言うのは盗人と同じです!」


 いや、まれなも学生だよね。チームでも無いのに学院で出回ってるって言う俺の情報知ってたよね?共有してるよね上級生徒とやらで。


「まれな、もういいよ」


 これ以上墓穴掘らないで、こっちが苦しくなる。


「一体今まで何をやってたか知りませんが、いいですよ案内します。道は覚えてますから」


「お、覚えてるって…‥君、嘘だろ?」


 失礼な、此処で嘘ついてどうするんだ、案内して迷子になるだけだろ。


「覚えてますよ、それと俺は高校生でただのポーターです。彼女も連れていく事が条件になりますけどいいですね?」


「彼女は、探索者なのか?」


「ええそうよ、私は華四魔神流稲城派時期当主、討伐ギルド威薙会所属の稲城まれなよ!」


 自己紹介長えな。


「分かった、お願いするよ」


 これで霊洞に入れる、良かったなまれな。キレなくて良かった、ありがとうまれな。

文字数合わせにとって付けた感じの文がありますけど、読みにくくはなかったでしょうか?

あんまりひどいと感じた時は、諦めてるんですけどね。

3000〜4000文字あたりが一番読みやすい気がするので、その辺を意識してます。

ちなみに新作連載も始めてしまいました。

そっちは週一くらいで更新出来たらなあと思ってますが、こっちにあまり影響出ない様にしたいです。

今後も頑張っていきますので応援よろしくお願いします。


今回も読んで頂きありがとうございます。

評価してくれた方、本当に嬉しいです、意欲が湧いてきます。ありがとうございました。

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