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噂って本当だったりするんだな


 一先ずは霊洞まで戻って来たけど、どうしようか。

協会の人間に鉢合わせちゃったとしても大丈夫なのだろうか。

それにしても聞きそびれたけど、協会って何だろう。探索ギルドとかとは違うのか?


 協会ってぐらいだから複数のギルドによる互助組織的なものだったとしても、普通殺人とかは警察や消防に連絡するものでは?

魔物とか出るから普通の人たちじゃ無理だろうし、そう言う部署が警察とかにはないのかもな。


 そう言った霊洞内での問題事を協会とやらが引き受けていて、調査報告みたいな形で然るべきところに通報するとかなのかもな。

まあ、それだと隠蔽、改竄やりたい放題になるから余程の信頼がおける組織でもないと無理か。

官民共同運営とかしてるんだろうな。


 俺は一応はまれなのポーター扱いって事にはなってるから、別に官憲の類が来たとしても必要以上に警戒する事もないか。


 霊洞に入ればアッちゃんやセトちゃんとも連絡取れるし、結局は霊洞に入るしかないのだから開き直って行くしかないな。


『アッちゃん、何かおかしくないか?』


『うむ、何やら特殊な魔力を感じるな』


 やっぱり。何かいつもと違う質感と言うか肌触りというか……実際に触れるものでも無いけど、ちょっと不快になる感じがある。

 

《先程の装置の内容物と同じ成分を確認しました》


 セトちゃん、成分って……。

まあ便宜上他に適当な言葉が無かったのかな。


『セトちゃん、そう言えばさっきの人工魔物って何だか分かる?』


《未確認の物質を多用している為正確な事はまだ判明していません》


《しかし、内容物単体では生命体を発生させる事は困難と思われ、他の生命体に投与する必要性があります》


 ええ、それってもしかしてあの小太りオジサン自分が魔物になろうとしたって事?

魔導力場も無いのに、存在できるかも分からない魔物に変身しようとするなんて……仕事熱心なのかやけっぱちだったのか……。


 仕組みとか気になるとこだけど知った所でどうという事もない。

ただそういう物があって、それを使うのに躊躇がない者がいるって事だけ知っておけば良いだろう。

実際に狙われた身としてもそれで十分だ。


 それにしても鑑定結果には参ったな。

まさかセトちゃんに対して鑑定の隠蔽が出来るなんて想定外だ。

実際に向こうの世界にもそういう物はあったし俺も良く使ってた。

こっちの世界にあっても不思議じゃないけど、セトちゃんの鑑定って事は俺の鑑定と同義だからな。

鑑定レベルには自信あったのに。


 でも名前だけは分かった。

潤葱うるるぎ 総士郎そうしろう20歳”意外と若かった。

まあ、この情報で何が分かるかという話だが、普通に名前検索とかで出てきた。

SNSとかやってんなよ、フォロワーもなんかちょっと多いし。


 頭が悪いのか隠す気が無いのか、バレない自信があるのか……。

霊奧学園のOBの様だ。

セナやカナタは元気かなあ……ちょっとぐらい帰れる時間作れたりしないかな。


 まさか地元の高校のOBだったとは……もちろんウチと同じく全寮制だから越境入学とかかもしれないから、出身は違うのかもしれないけど。


 いやしかしなんか混沌としてきたぞ、地元高校OBの殺人犯とその犠牲者、襲ってきた神薙とかいう組織に今の霊洞内の不快な魔力。

これらって何らかの繋がりあるのか無いのか。


 階層を下る坂辺りまできた所で異変を感じる。

異変と言うか……血の匂いだ。

殺人犯の犠牲者のものでは無い、こんなに濃密でむせかえる様な臭いは発してなかった。

まさか……まれなの身に何かあったのか?


 現場に着くとそこには茫然と座り込むまれなの姿と、その傍で血溜まりに倒れる斑鳩さん達。

うおお、大惨事じゃねえか何があった?


「まれな!どうした大丈夫か、何があった!」


「あ……、玻琉、綺……。三奈桐が……鬼に、斑鳩達が……」


 要領を得ないな。この惨状に精神こころが追いついてないのか。

ただどうやら大きな怪我などは無い様で安心した。

斑鳩さん達も死んではいない様だけど、あの出血量を見ると危ない。


「まれなに怪我は無いな、取り敢えずは斑鳩さん達の治療をする。話はその後だ」


 斑鳩さん達は三人いる、あれ?一人足りないんじゃないか。

確か四人でまれなと一緒に霊洞に入って行ったはず……何があったかは治療の後で聞けるだろうけど、多分いない人が三奈桐って人で、小太りオジサンの仲間的な人だろう、神薙とか言う組織の人間だな。

『アッちゃん、暁天の角杯エンピリオンギャラルホルンを強化出来る?』


 ゴブコボ素材は特に興味ないので全てMPに変換、魔石は一応持っとかないと不味いかな?協会の人とやらにも討伐証明として提出を求められるかも知れないし。

斑鳩さん達の怪我は45%ぐらいじゃ心配だし、出来れば全快近くにまではしたいけどMPマテリアルポイントでの全回復には流石に三人分もない。


『それならば“白角はっかく”と“麟角りんかく”“緋焔翼ひえんよく”を使うと良いだろう、それとMP30ほどを使えば……』


『それで良いよ、急いでくれ』


《暁天の角杯に白角・麟角・MP30を使って強化》


天翼の角杖(セラフィックロッド):範囲回復75%・状態異常回復・恒常性復帰……任意の20㎡内に適用 レア度☆☆☆☆☆》


 何だか恐ろしい物に進化した……ゲームとかでも最終盤辺りで手に入るぐらいの性能だろ、星五だし。

いや、まあその辺はまず使ってみてだな。性能高くて困る事もないし。


「セラフィックロッド!」


 何だか有り難みのありそうな光……寂光とでも言うのか?

そんな感じの光が俺の手から広がり、まれなを含む全員を包み込む。


「こ、この光……」


 茫然としていたまれなの目に光が戻り、斑鳩さん達も意識を取り戻し上半身を起こす。

他の人達も同じ様に身を起こし辺りをキョロキョロと見廻してる。


「玻琉綺、貴方一体……」


 まれなもせっかく普通に戻ったのにまた別の意味で呆然としちゃった様だ。

ただの回復魔法だって言うのは無理があるかな。

授業で習った治癒術にもこんなの無かったし、複数人に同時に発動するなんて特級治癒師でもそうはいないって言うし、ましてや恒常性復帰って言うのは要は病気とかでも治しちゃうって事なのかな?

治癒術は病原体すらも回復させちゃうから、普通は傷口や骨折なんかの部位のみに効果を出させる様にするもんだからな。


「藤堂君……助けてくれた事は感謝する」


 斑鳩さんが俺の元まで来て感謝を述べるが……助けてくれた事は”……ね。

まあ怪しまれるわな、でもこうでもしないと命の危険があった。

そんな程度のリスクでみんなを助けられたんなら安いもんだろう。


 恩を売る事であまりコッチの不利になる事はしないで貰えるかもという打算も無い事はない。

見た目はおっかないけど、良い人だというのは端々から感じるしな。


「色々言いたい事や聞きたい事はありそうですけど、まあこういう事が出来るんだって事でお願いします。それより何があったんです?一人足りないみたいですけど」


 俺達はお互いの事情を擦り合わせ始める。

三奈桐という人がやっぱり神薙のメンバーで、自分から鬼に変貌して犠牲者達を食べ、居合わせた協会の人達も皆殺しにあいその上食べられちゃった様だ。

 

 三奈桐って人は記憶とかが残ってるらしくて、まれな達には手を出さなかったみたいだけど、凶行を止めようとした斑鳩さん達を巻き込んでカマイタチみたいな風系の攻撃で協会の人達をバラバラにしたそうだ。

斑鳩さん達が致命傷っぽかったけど、五体が無事だったのは三奈桐さんの記憶による配慮かもしれない。


皆連寺かいれんじ)が玻琉綺を襲ったの!」


 あの小太りオジサン皆連寺って言うんだ。

あのオジサンも鬼になるつもりだったのか、それとも別の魔物なのか自分で選べないのか分からないけど……敵ながらすごい覚悟だな。


「そんな……でも殺してないのね?」


 物騒な事言うな、俺は普通の高校生のつもりだ。そう簡単に人殺しなんかするもんか!


「まれなは俺を何だと思ってんだよ、襲われはしたけどだ、だからって殺したりするもんか!それに霊洞の外で相手は拳銃持ちだぞ、俺に何が出来るってっんだ」


「だからその皆連寺を無力化して拘束したんでしょうが!貴方一体何なん?アイ……私を子供扱いするぐらい強いだけならまだしも、回復魔法は使うし人死にも慣れてそうだし!」


 今アイテムボックスって言おうとしたの堪えてくれたな、激昂してても律儀なもんだ。

しかしまあ、ちょっとあけすけにやり過ぎたかもな、不必要な事はしてないつもりだけどもうちょっと上手いやり方あったかもしれないけど思いつかなかったんだからしょうがない。


「今はそんなのどうでもいいだろ、その、阿久羅童子って言うツノのない鬼は奥に向かったんだな」


 奥って事は下の階層に向かったのか?三階層には隠し階段がある。

でも解除キーが必要だとセトちゃんが言ってた。


「……ええそうよ、領域拡大が目的って言ってたけど行動が読めないわ」


 領域か、普通に考えると自分の居場所って事なら魔導力場の発生場所の拡大って事かもな。

そんな事が可能かはともかく、そんなに単純な話じゃないんだろうな……。

何せ神薙とか言う人間の組織が関わってるんだから、自分たちの領域を狭める計画を立てるとは思えない。

それとも組織と鬼とで目的が違うのか?意思の疎通が出来てるとも思えない、でも記憶の引き継ぎは出来てるとなると……他にもそんな鬼とか魔物がいるのなら話は別かも。


「なあ、まれな言ってたよな、この比良坂霊洞の噂」


「玻琉綺も気付いた?やっぱりそう言うことよね」


 今回の探索はここまでだな。

ここまでの事が起こればもう協会とか言ってる場合じゃなくて警察とかの国家機関レベルのものが出てくる規模だろう。

実りがあったのかどうか微妙だけど……初回の探索にしてはなかなか波乱の展開、派手な幕開けだな。

昨日は所用で毎日投稿が途切れてしまい残念です。

まあ一カ月以上他の事せずに書いていたので仕方ないです。

今後も毎日投稿が出来るかはわかりませんが頑張って書いていこうと思いますので応援よろしくお願いします。


今回も読んで頂きありがとうございます。

またブックマークしてくれた方にも重ねて感謝を。


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