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バレなきゃ犯罪じゃないのさ


 今日のところは一旦帰ると俺を睨みつけながらガミは去っていった。

そんな捨て台詞吐いといて明日からここに住む気なんだろ?神経太い奴だな。


 さて、じゃあ早速色々調べてみるか。

カエデの話は結構興味深かった。あの話で対価には十分だったな。


『アッちゃん、バクレイオンの魔導書だけど俺の魔力を反転させた様なとか言ってたよね』


『うむ、要はこの世界のものではない力と言えるだろう』


 となると異世界の力という事になるのかな。


『セトちゃんでそのバクレイオンの魔導書が何なのかは分からないんだっけ。』


《解析は終了しています。結果を開示しますか》


 え、解析できてるんだ。

この世界の物じゃ無いのに優秀過ぎる。


『是非とも頼むよ、少しでも何か分かれば助かる』


《バクレイオンの魔導書:強大な力を持つ何者かが封印された書。その力を文字一つ一つに分割封印しており、それを読み上げる事によって封印の解除になる》


《霊剣シャスティフォル:この世界の由来の剣に別の魔力が加工されている。その加工とは意思の上書きだと推察される。》


《推論:この二つを掛け合わせる事によって魔神とも呼べる存在を顕現させる事ができる》


 うわ、マジもんのヤバいヤツだ。

カエデの言っていた何者かはその魔神で神を殺そうとしているのか?

それとも神は自分で殺し、この魔神にこの世界をめちゃくちゃにさせる事によって腹いせとか嫌がらせとかそんな感じのを狙ってるとか?


 もちろん完全な推測でしか無いけど、どうせ碌な事考えて無いのだから似た様なもんだろう。


『そうだなあ……アッちゃん例えばさあ、今持ってるのであの百目倒した時の白石が一番魔力高そうなんでけど、それってシャスティフォルに混ぜられる。」


 一応はこの世界由来の剣だし、意思を上書きしただけならコッチの強い魔力で少しは中和できないもんだろうか?

せめて意思と言うか意識とかが混濁すればその魔神とやらの邪魔が出来るんじゃ無いだろうかと愚考する。


『面白い考えだ。少し強引な手段だがまあ、嫌がらせ程度にはなるであろう』


 強引か、まあそうだろうな。当然正規の手段じゃ無いだろうし。

それに根本的な解決には結びつかないだろう。

一番はヒメの奪還になる訳だし、居処を掴む方法を考えなきゃな。


 手っ取り早いのはイレギュラー霊洞を調べる事なんだろうけど、イレギュラーだけに出現ポイントを予測出来ないし、現在あるモノはすでに調査も入っている事だろう。


 カエデの話は霊洞探索ギルドなんかと共有しているとも思えない。

ガミがそんな事をするとも思えないし、そんな考えすら浮かばなそう。


『それとも逆探みたいなこと出来るかな?別世界の魔法がそんなに沢山ある事もないだろうし、魔導書の魔力波と同質の魔力を感知するとか』


『それはハルキ自身が魔法の技術を磨かないと出来んな、我やセティネストはあくまでこの石板内かハルキが見聞きした事しか外界の事は分からぬ、ネットに書き込みでもあれば、それぐらいは調べられるが』


『それも良いいな、何か気になる情報が有ればピックアップしておける?』


『ふむ、精査するのに時間はかかるだろうがやってみよう』


『さすが、頼りになるね。ありがとうアッちゃん』


 さてじゃあ今日はこのぐらいにしてもう寝るかな。

最近セトちゃんの睡眠学習にも慣れた。ちゃんと身についているのか疑問だけど……一応自分でも勉強はしている。

何となく頭に入りやすい気もするから効果がない訳じゃ無いと思う。


 それに期待して早く魔法も色々覚えなきゃな。

簡単な魔法なら挑発の初級魔法プロボの他に暗視タペタムアイとか気配察知プレゼンスを覚えた。詠唱も短いし。まあ気配察知はほぼデフォルトで持ってるみたいなもんだ。

この世界の全てに魔力は宿っていて、俺は魔力を見る事ができる。コレは俺の特性になっている。

なのにわざわざこの魔法を覚えたのは、周りに対する説得力みたいなものだ。


 それはともかく、何よりもまずはナルの体質改善が優先だ。

元々はそれが名目で個人探索の許可を取った。

明日から順次みんなが来るんだけど、俺は基本屋敷にはいない。

何か上手い言い訳を探さないとな。単純に総代の仕事が忙しい、内容は秘密だとでも言っておけばいけるかな?

……なんて事を考えながら目を瞑ると、次に目を開けた時はもう朝だった。


 その後の一週間は割と平凡だった。

平日の放課後は学院内の霊洞探索、土曜は総代としてのPvP。

霊洞実習に魔導呪言語、擬似訓練、ふつうに国数理社英の授業と、実にありきたりで平穏な学院生活だ。


 心配していた屋敷での共同生活も、意外と言うか何と言うかみんな何も問題なく過ごしていた。

俺の方も帰りは夜19時迄には帰る様にしているので、晩御飯はみんなと一緒に摂れている。

風呂掃除は早朝にこなし、湯の張り替えは21時ごろだ。

それから風呂に入って、部屋に戻って勉強だ!

日曜にはガミやタツ、稲城さんに連れられて剣術や槍術の練習にヨミやナルと勉強会。

来月GW明けには中間テストに体育祭だ。

総代の仕事もあるらしく、テスト明けから実行委員会に混ざって打ち合わせがある。

それが終われば期末テストまではもうすぐだ。

なんて健全で充実した、ふざけんな!


 俺を殺す気か、何だこの過密スケジュールは。

中学ん時はもっと遊んでばっかと言うかなんかこう余裕があっただろ。

忙しすぎて二人を意識するどころではない。

勉強会だってセトちゃんが逐一解説をつけてくるし、アッちゃんはなんか拗ねるしで、息をつく暇もない。


 向こうの世界で色々やった時はもっと忙しい時もあったけど、今の俺は一応ただの高校生設定だぞ、高校生ってこんなに忙しい?そんな事ないよね。

町でバイトとかしてる奴もいれば、ゲーセンやカラオケで遊んでる奴もいる。


 俺なんか素材売りに行く暇もなく、そろそろ最初に換金したビースも尽きる。

総代特権としてビース不要で買い物が出来るが、総代の交代や学年終了時に一括払いで返さなければならない。

一度でもそんなので買い物をしたら、歯止めが効かない可能性もあって怖くてしたくない。


 さらに言うと土曜のPvPだってもはや完全に俺に稽古つけてもらいに来てる奴が殆どだ。

負けてもノーリスクだからと段々とみんな図々しくなっている。

模擬戦闘は脳が疲れるんだよ。頭の中の奥の方がズキスキするんだよいい加減にしろ!


 ……ふう、ちょっとスッキリした。

誰に言う事もできないのでアッちゃんには悪いが延々と愚痴を聞いてもらっていたのだ。


『気は済んだかハルキよ、途中なんだか我のことも愚痴っていた様だが』


『それは気の所為だよ、拗ねるアッちゃんってカワイイなって思っただけだよ』


『ぬお、おう。そうか、カワイイなどハルキの口から初めて聞いたぞ』


 いや、俺以外の口を入れても初めてだろ


『……今何か思ったか?』


『いや何も?』


 よし、大分普通になってきた。サンキューアッちゃん。


 さて、明日からGW(ゴールデンウイーク)だ。

かねてから計画していた実家に帰るフリして学外霊洞に入ると言うのを実行に移す時だ。

ナルのことに関しては一応の目処はついた。

夏休み中には何とかなると思う、ならば次はヒメの事も何かしておくべきだろう。

ガミは足手纏いになりそうなので今回は置いていく。


 基本的に霊洞に入るには免許が必要だ。

そして免許は各種ギルドや軍に所属した者に取得する権利がある。

そして高校生から仮ではあるがギルドに所属する事ができる。


 ギルド所属許可証と言うものが学院側から発行され、それを持ってギルドに行けば仮免許を取得する為の試験が受けられる。

ただあくまで仮免許なので霊洞に入るには免許取得三年以上の現役探索者の同行が必要になる。


 だからその正攻法で行こうと思った。でも無理だった。

唯一の知り合いである加納崎さんに“今俺を所属させると戦争になる”などと物騒な事言われて断られた。どう言う事なのか?


 けれども、断られたのならしょうがない。

そこで俺は考えた。許可が取れないなら無許可でいいじゃんと。

もう普通に勝手に入ってしまおうと。

各霊洞には監視員がいる。これは各ギルドからの出向で賄われているので、人数には限界があり、無人になる霊洞もある。


 ただそう言う霊洞は監視員のチェックをもらえない為実績にならないし、手に入れた素材も販売しにくい。

手に入れた素材は監視員のチェック無しには偽物扱いされる。

これは密輸や脱税、無免許販売等を防止する目的で行われている。

学院内とは違うのだ。


 命懸けで霊洞に潜るには割りに合わなさすぎるので、監視員のいない霊洞は普通は敬遠される。

そこに行くのは俺みたいなモグリぐらいだ。

基本的に穴堕ちなどの事故でもなけりゃ探索は自己責任だし、なんかあってもバカが死んだ扱いだ。


 ひょっとしたら誘拐犯もそう言う事してるかもしれない。

神を殺すとか言ってる奴が普通にアパートに住んでバイトでもしてとかちょっとイメージに合わない。

むしろ人気にんきの無い霊洞に住んでるまであるんじゃ無いだろうか?

霊洞の神様はそれに必要だったから、とか考えてみたりして。


 そもそも神を殺すってなに?神様一杯居そうだけど、それ全部がターゲットなのか?よくわかんねえな。

異世界に転生させられて何かがあって恨んでるとかなんだろうけど、今考えてもわかる事じゃ無いんだからそれは置いておこう。


 まずは目の前のこと、まあ本当に闇雲に虱潰しにする訳にもいかないので、それなりに基準というかアタリを付ける事はしなきゃならない。


『アッちゃん、例の霊洞には監視員はいないんだね』


 その霊洞は“比良坂霊洞”。

そう、この世界で黄泉洞道と言われるものの元ネタは黄泉比良坂なのは明白だ。

ならばその名を冠した霊洞を調べるのは初手としては相応しいのではないだろうか。

アッちゃんが調べてくれた中にこの霊洞の名があった時にそう思った。


『ああ、三日後には配置される様だが、それまでは無人で監視カメラがあるのみだ』


 アッちゃんにネット経由で監視員のローテーションを調べてもらい、さらに監視カメラもオンラインを使っているので誤魔化しもきく。

普通に犯罪を犯してる気分だ。


『気分では無く犯罪だぞ』


 俺がそこまでしなきゃならないとは思えないけど、頼られちゃったからには出来るだけはやってみよう。

俺は実家に帰る旨の書き置きを残して総代邸を後にした。





 

能書きばかりの回でしたが、次回からちゃんと霊洞探索します。

スムーズに進むか、またもやモタモタするのか分かりませんが、じんわり進めていきますので

今後も応援よろしくお願いします。


今回も読んで頂きありがとうございます。

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