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総代の仕事は風呂掃除


 人数的には問題はない、けど人選には問題があるだろう。

俺、総代が屋敷に囲うって事はその一派、総代の取り巻きと見られるという事だ。

……取り巻きって別に自分で選ぶんじゃなく、勝手に纏わりついてるイメージがあるな。

アレ?じゃあこの状況は当たり前なのか?いやなんかそうじゃない様な気が……。


「あ、じゃあ女子の人数合わせで誰かもう一人ぐらい……」


 こらヨミ、人数合わせとは何だ、言い方悪すぎない?

ほらみんな横向いちゃった。こんなメンツに加わりたがる女子がいるもんか。

と言うか女子を加えようとするな。


「話は聞かせてもらったわ!」


 ガラッと教室のドアを開けてヤツが現れた、お前もかよ。

そう、稲城 まれな嬢だ。何でクラス違うのに話聞いてんだよ。


「そんな事もあろうかとすでに引っ越しの準備は整ってるわ、もう今日は学校サボりましょう」


 そんな事もあろうかと思ってんじゃねえよ。

何でもう引っ越し準備完了なんだよ、おかしいだろ、昨日別にそんな話は一言もしてない、この子怖い。


「あのな、サボりは論外だし俺の意見を取り入れる姿勢をせめて見せろよ。」


 このままでは数の暴力で押し流されてしまう。


「それに盛り上がってるとこ悪いが、俺が負けて総代交代という事になったら追い出されるんだぞ」


 そんなルールは聞いてないが、この学院なら普通にありそうだ。


“それはない”


 全員の声がハモった。急に息ぴったりかよ。


「……もうすぐホームルームだ、席に着こう、稲城さんはクラスに戻って」


 サボりは総代としてさせる訳にはいかない。


「来たいというなら総代邸に放課後集まってくれ、そこで話そう」


 このままここで押し問答を続けられないし、放課後に相談でもしようものなら誰かが勝負を挑んでくるかも知れないから、ゆっくりもしてられない。

総代邸が何処にあるかぐらいは知っている前提だ。

知らないならこの話はそれまでだ。


 いや、人は呼びたいんだけど……だからタツに声をかけたんだけど。

まあガミの事情は汲んでやるとしてもサジとかは何なんだ。

貴族のプライドと言うやつかも知れないけど、共同生活の際にはそんなの邪魔になる。掃除当番でもさせるか?断るなら帰らせれば良いか。

沙河楽君もついてくるのだろうか、それならば多少は手綱を取ってくれるとありがたい。


 問題は女子連中だろう。

この人数になれば、女子だからと言う理由で断るのも難しそうだ。

ちっちゃい寮みたいなもんだと言えなくも無いからな。

かと言って稲城さんだけOKというのも不味いだろう。

それこそ変な噂になるし、女子一人と言うのは問題だ。


 …… まあ、彼女らと向き合おうと決めた事だし、自分の気持ちを確かめるには良い機会だと捉えられない事もない。

 

 俺も結構前向きに考えてるな。なんだかんだと嬉しくは思ってるのかも知れない。

そうだな、俺は嬉しいんだ。

つい先週辺りまで嫌われ者だと思って不貞腐れかけたけど、そうじゃないと分かって、こうやって声をかけてもらって。


 結論から言えば色々考えた条件をみんな快諾した。ってやっぱみんな総代邸知ってたのね……俺は引っ越すまで知らなかった。

確かに豪華な屋敷だとは思う、ここに住みたいと思うのもわかる。

が、貴族やお嬢様すらそう思うもんなのかは疑問だ。

それともだからこそなのだろうか?寮よりはマシだと……。


 色々細かいルールを決め、今日は解散となった。

すでに荷物を纏めた稲城さんは今日のうちに引っ越して来ると言っていたが、ヨミがダメだと言い張って、明日引っ越して来る事で落ち着いた。


 そしてみんなが帰っていくのを見送る。

そこに一人だけ残る者がいた。ガミこと剣ヶ峰だ。

 

「藤堂、話があるんだ」


 住む事が決まった途端に君付けを止めるな。


「まあ、予想は付くけど、一応聞いておこう」


「君も見ただろう、俺の従魔達だ」


 言うが早いかガミの胸の辺りが光り、鬼狐のカエデ、剣娘のリカ、犬龍のホロが出て来る。


「以前は御挨拶もままならず御前を辞した事、伏して謝罪致します。どうか御寛恕のほどを」


 カエデが慇懃な謝罪をしてくる。別に怒ってないが?

って言うか何に対しての謝罪だ?前回いつの間にか消えてた事は別に謝る事じゃないだろ。


「カエデ、藤堂は君がそんなに下手に出るほどの人物なのか?」


 ガミよお、人ん家に転がり込んどいて、なんか無礼じゃない?

そりゃ俺がそんな上等なもんじゃ無いって事は別にいいにしても、一応は家主だ。

少しは敬意を払う努力をしろ。


「カエデと言ったか、その謝罪は受け取る。君が何を勘違いしているのか分からないけどここでそんな礼は不要だよ、楽にしてくれると嬉しい」


 何やら、魔力と言うのか霊力とでも言うのか不思議な力を感じる。

神格とでも言うべき気配すら漂うところを見ると、何か俺に感じ入るものがあるのかも知れない。


 でもそう言うのはやめて欲しい。今の言葉で察してくれると有り難いんだけどどうかな?


「……分かり申した。では今後とも我が主の御学友という事でどうぞよしなに」

 

 うーんまだ固いなあ、まあこのくらいなら別にいいか。


「で、話って何?別に紹介したかった訳じゃ無いんだろ」


「そうだな……厚かましい願いだと思うけど、どうか彼女らにこの屋敷の部屋を貸して欲しい」


「構わないよ、俺はね」


「え、い、いいのか」


「それはむしろ俺のセリフだけど?剣ヶ峰は彼女らを隠していたいんじゃなかったのか」


 前回は勝手に出て来ちゃったみたいだからバレたのは想定外だったはずだ。

ここで出て来れるって事は弱い力場でも顕在化出来るんだな。


「確かにそうだった。でもいきなりバレて……怖かったんだ、みんなが魔物として扱われるのが」


 そう言えばテイマー職は結構レアらしいな。

本人に戦闘能力がないってのが大半で、オマケに魔物が味方ってのに慣れない人も多くて不人気職なんだとか。

それ故にテイマーである事は隠して、非戦闘員として霊洞に潜る事も多いとまことしやかに囁かれているとか何とかネットで見たことある。


「だから周りには隠していたかった。けどカエデが……せっかく顕在化出来るのに何時迄も隠れているのは嫌だって、リカもそうだしホロも思いっきり走り回りたいとか吠えたいとか……」


「走るのはともかく吠えるのは駄目だろ」


 犬の常識の範囲ならともかく思いっきりとは何事だよ。普通に迷惑。


「そんな時に藤堂が寮から離れて総代邸に住むって、ルームメイトを募集しているのを聞いて……お願いしてみようって」


 随分とまあ自分本位だな、面倒見切れないなら魔物を飼うなよ。


「なるほどねえ、で、お前は何が提供出来るんだ?構わないとは言ったけどタダでってわけにはいかないなあ、剣ヶ峰だって一方的にお願いだけ聞いてもらうつもりじゃ無いんだろ?」


 いや別にタダでいいんだけど、ちょっと甘ったれてんなコイツって思ってしまった。散々絡んできて、自分が困ったら、さも従魔のためだと言わんばかりのこの言動。

まあ、舐め腐ってんなコイツ、ってなもんだ。


「そんな、クラスメイトから対価を取る気かよ!」


 ええ〜、マジか?コイツマジなのか。

一方的にお願いだけ聞いてもらうつもりだったのかよ。


「あのさーガミさー、お前交渉って単語知ってる?」


 呆れて過ぎてうっかりガミって言っちゃた……別にいいか。

なんかコイツとは友達になりたくねえな。


「申し訳ない藤堂殿、ここは一つどうか妾に免じて……」


 チラッと目配せをしてくるカエデ。

あー、そう、そうか……しょうがないな、乗っとくか。


「じゃあ剣ヶ峰、このカエデを一晩貸してもらおうか。それで対価としてやる」


「な、何を言って……そんなバカな要求呑めるわけがないだろ!カエデを何だと思ってるんだ、モノじゃ無いんだぞ……見損なったぞ藤堂!」


「お前こそ何を言ってるんだ?一晩と言うか、今晩俺の部屋に来いって言ってるだけだぞ、明日からみんな来るからな。何ならリカやホロも今晩泊まっていけばいい」


「ば、ば、馬鹿野郎!そんな仲間を売る様な真似……」


 いやほんとコイツ何言ってんの?ここに住ませたくて来たんじゃないのかよ。

泊まってけって言ってんだからお言葉に甘えとけよ、甘ったれらしく。


「剣ヶ峰、お前が何を考えてるのか分かんないけど、俺はカエデに話があるだけだぞ?その代わりここに住んでいいと言ってるんだ」


「は、話って……そんなの信じられるか!」


「ショウマよ、本当じゃなあに心配はいらん、この方は無体な事はせん」


「じゃあ俺も一緒に……」


「それは駄目じゃ、あの方は妾をご所望なのじゃから」


 ご所望とか言うな、勘違いされるだろうがって……あ、そう言うことか。

アホめ、俺が魔物にそんな事するか!ふざけんな。


一応今回から話が動き出しそうな予感がします。

気のせいだったらごめんなさい。


今回も読んで頂きありがとうございます。

今後も応援よろしくお願いします。

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