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何で君らはさあ


 キィン……と金属音が響く。

日曜の昼下がり、春のうららかな青空の下で隣のクラスの美少女と剣の打ち合い。

まさに青春……そうなのだろうか?文字通りとしてはそうなのだろう。


 こうじゃないんだよなあ……なーんか違うんだよなあ。

出来ればナルとか、ヨミとかと映画でも見に行ったり喫茶店で話したり、公園なんかをぶらつくとかでもいい。そう言うデートっぽい何かがしたかった。


「せっかくだ、このまま昼でも食おう」


 武器を選んだ後、斑鳩さんはそう提案してくる。それに返事をする間もなく、クルーの方々が椅子やテーブル、日差しよけのパラソルを設置。

輸送ヘリから暖かい食事やお茶などを運んでくる。


「さ、お嬢。冷めないうちに……藤堂君も遠慮するな」


 などと学院の敷地内でピクニックが始まる。

えー、このメンツで昼を食べても話す内容が思いつかない。

と言うのは杞憂だった。

斑鳩さんと稲城さんのトークが炸裂し、むしろ俺は相槌を打つぐらいしか出来ない。


 

 何でもまれな嬢は小さな頃から稲城派の後継者として育てられ、大きな大会で何度も優勝し、テレビ出演も何度もしたらしく、本人は不本意だった様だが周囲が宣伝の為にもと願うので仕方なく、と言った側面があった模様。


 稲城家は探索者界隈では一流の家系ではあるし事業も成功しているそうだが、華四魔神流の門派としてはあまり人気が無いらしく、衰退の一途だと言う。

そこに生まれた麒麟児のまれな嬢、一派総出で可愛がりつつも厳しく鍛えられたのだそうだ。


 などと稲城さんの武勇伝などの話や雑談を交わすが、その話の中で最近イレギュラーな霊洞が増えていると言う、見逃せない話があった。

何でも犠牲者の数がここ数十年でも最大という話だ。

うちの近所は最近起きたばかりだから確率的には大丈夫だと思うけど。

……原因は俺とかじゃないよな、違うよね?


「じゃあね玻琉綺、今日はありがとう」


「もし今度があるなら事前に説明をしてくれよ」


 あれから食後の運動だと言って手合わせをした…… 真剣で。

もちろん寸止めだし、あくまで運動、技の確認動作みたいなものだけど真剣を使うこたないだろ。


 まあ、お父さんからの贈り物の剣を多少は気に入った様で何よりだけど。

それに手合わせで使わせてもらったバスタードソードを今日の手間賃だと斑鳩さんから頂いた。

結構年季の入った古びた物だけど、なんか気になった剣だった。


 “一応霊洞産でな、宝箱から出たモンだが大した値は付かなかった”と言っていたんだけど……確かにそんな大それた物じゃないだろうけど、何か変な感じを受ける。

まあもう夕方だしとりあえず部屋に戻るか。


 総代になってから部屋を引っ越した。

部屋と言うか、邸宅……屋敷だ。デカい、100坪くらいありそうだ。

二階建て庭付き風呂広い。

ここから見える範囲に上級生の総代邸も見える。

学院からは少し遠くなってしまうが、それでも15分も歩けば着くのだから中学時代とさほど変わらない。


 コレが総代特権か……ここに一人で住むって逆にイジメかな?とか思うけど、一応手伝い要員というか、学友を呼んで住まわせても良いらしい。

当然公序良俗に反しない様、節度を持った生活が求められる。

週明けにでも誰か声を掛けてみよう。


 さて、


『セトちゃん、何かわかった?』


 この剣、ちょっと気になったのでセトちゃんに吸い取ってもらった。

霊洞の宝箱から発見された物なのに大した値が付かないと言うのもおかしな話だ。

どんな物であれ好事家達が目を付けないはずはないし、思いも掛けない性能や効果を発揮するかも知れない。それが霊洞産と言う物だ。


《霊剣シャステイフォル:意思を持つ剣・意識を誘導する能力がある》


 ヤバい剣じゃん。


《攻撃力+22 装備効果:ステータス各種強化10% 精神汚染 レア度☆☆☆☆》


 星四……って風槍並みのレア度かよ、コレでろくな値が付かないって……もしかしてこの剣の意識誘導ってやつか?そっち方向に思いも掛けない効果があんのかよ。


『ふむ、我が解説するとだな』


『アッちゃんも何か分かったのかい』


『この剣の持ち主は遥か昔に英雄王として名を馳せた者らしい。何でも持ち主の意識に働きかけ、この剣自身を見つけさせて使わせていた様だが、それがバレたかどうかは分からんが、その持ち主は他の剣を愛用する様になり、このシャステイフォルは捨てられた様だ』


 いわく付きってヤツか、通りで変な感じがしたはずだ。

コイツ俺に何か精神干渉しやがったな。何が目的か知らないけど俺にそんなもんは通用せん。

……何でだ?


『いくらハルキが人間になったとは言え中身がアレなのでな、そう言った類のものは寄せ付けんよ』


『そうかい、中身がアレかい』


 アレとやらには深く考える事はやめよう。


《この剣から感じる魔力はバクレイオン霊洞のものと酷似しています》

 

 あそこと?どう言う事だろう、確か何者かが仕組んだ可能性があるとか言ってたよな。

この剣が見つかった霊洞もそうなんだろうか。

バクレイオンの魔導書とかの同類か?アレも何か呪いとか何とか……。

よし、コレはセトちゃんに仕舞っておこう。


 でもバクレイオンの魔導書にシャステイフォルか、何者かとやらが居たとして、ソイツが関係していそうなものが二つも俺の手に……。

なーんかこう、変な事に巻き込まれるって言うか首を突っ込んだと言うか、ヤーな感じがする。


 翌日の俺はちょっと憂鬱な気分で朝を迎えた。

呪いに精神汚染、セトちゃんに入れてあるから大丈夫だけど、朝起きるのが不安になる。


 さらにこの広い屋敷で一人というのも心細い。食堂もないから朝ごはんも抜きだ。

今日タツとかに話してみるかな。

ナルとかヨミは流石にないよな、女子と一つ屋根の下と言うのはなあ。

別に公序良俗に反する事なんかしないけど、周りに噂れちゃう。

何より、彼女らに恋してる疑惑のある俺が壊れそう。


「マジか!そんなとこ住んでんのかよ、オレもそこ行って良いって?ぜってえー行くわ!そこに住む」


 凄い食いついてくる。別に寮だって悪くないと思うけどな。


「でも食堂も無いし自分で作らないとだぞ?俺は料理など出来ん」


「心配するな、オレも出来ねえ」


 心配しかない。俺が言えた事じゃないけど威張んなよ。


「話は聞かせてもらった」


 ガミ?いつの間に。俺に気付かせないとはやる様になった。


「藤堂君、俺もそこに住んで構わないだろうか?少しのっぴきならない事情があって」


 君付けとはどう言う風の吹き回しだ。コレがものを頼む態度というヤツか。

事情は察することができる、多分あの三体の事だろう。

一回出てきた以上、黙ってガミの中に隠れてるとも思えない奴らだった。


「事情がどうかは分からんけど、家ん中で勝負を吹っかけられんのはゴメンだぞ」


 俺をライバル視するのは勝手だけど、ガミは土曜も挑んできたし四六時中相手なんか出来るか。


「今まで済まない、君がライバルなのは変わらないけど、よほど自信が付くまでは無闇な勝負を挑む事はもうしないよ。心配しないくれ」


 どうしたんだガミ?昨日なんか変な物でも食ったのか?


「話は聞いたぞ、藤堂 玻琉綺!」 「話は聞いたわ!」


 聞くなよお前ら、俺がするまで待ってろよ、しないって事はそういう事だと察しろよ。


「藤堂 玻琉綺、俺は常々今の自分の部屋が相応しいとは思えなかった。なあに心配する事は無い、総代の屋敷なら不足はない」


 何で偉そうなんだよ、貴族だからか。


「ハル、水臭いじゃない。アタシ料理は得意よ!」


 ヨミ、そうじゃないんだよ。料理が得意なのは魅力だけど、俺の心が持たないかも知れないんだ。

男女が一緒に住むのはよろしくない。


「心配しないで、ナルも一緒だからアタシは大丈夫!」


「え、ええ!」


 いやナル驚いてんじゃん。

って言うか君達さあ……何で心配ないとか言って心配させんの?


こんばんは、今日も仕事の焼小麦です。

まあ先週結構休んでたので仕方ないです、その分先週は書けたので。

けど何とか今日も投稿出来ました

ブックマークも増えて二桁になりました、本当にありがたいです。

コレからも頑張って書きますので応援よろしくお願いします。


今日も読んでくださってありがとうございます。

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