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コレが……恋?


 今スキルが出たな……どう言う発動条件を満たしたのか分からない。

単に棒術で木の葉返し的な事をやろうと思っただけなのだけど、それが条件か?


「おいおい藤堂、今のってスキルじゃね?」


「そうみたいだ、なんか“かかり返し”って出てきた」


 木の葉返しは文字通りひっくり返すだけなんだけど。かかり返しだとその上でさらに吹っ飛ばすのか、飛距離も出たし。


 一応事前説明では、ここで使えたスキルや魔法は実際に使える素養があり、現実で必要経験を積めば使える。とは聞いた。 


 つまり、この訓練は現実では積みにくい経験や鍛錬をやって、使えるスキルや魔法の幅を広げることができるって事か。確かに現実ではあんなに相手を吹っ飛ばしたら大怪我するな。


 って事は、俺が襲われるのもそう言ったスキル的な鍛錬の一環か?

対人戦の方がスキル覚えやすいとか。 

なるほど、みんなの糧になるなら的にされるのも悪くない。


「さあ次は誰だ、どっからでもかかって来い」


 しーん……と、みんなこっちを見ない。


「まあ、あんなん見たら、そらそうなるわな」


 くっ。ちょっと恥ずかしい。どうやら9組には野心的な人物は少ない様だ。

まあ、そもそも今は無敵モード中で、勝敗も何もないし襲ってくる奴がイカれてんだよな。


 そして一時間が経ち、無敵モードが解除される。

ここからは致死ダメージでリタイアになったり、痛みも感じる様になる。

ただ、痛みレベルは任意で変えることができるので、痛みを抑えることもできるが、ダメージは変わらない為かすり傷だと思ってたらリタイアしてた、という事もあるし、何より実戦に出てからのギャップに苦しむ事になるので、推奨はされない。

これは実戦を見据えた訓練なのだから。


 そのまま流れで昨日のチームで集まる。タツ、ヨミ、鳴瀬さんだ。


「どうするタツ、今日もこのチームで組むか?」


 擬似訓練は戦闘訓練と探索訓練に大きく分けられる。

何か覚えたいスキルや魔法次第では戦闘訓練の方が覚えやすい傾向がある。

ただそれは戦闘向きのものであって、全員がそういう進路を希望している訳ではないから、探索訓練などで霊洞での立ち回りを覚えるのも大事だ。


 探索者の仕事は多岐にわたる。

攻略はもちろんの事、調査、救出、護衛、輜重隊など細かく上げればきりがないし、討伐専門部隊みたいなのもある。

そしてそれぞれに専門の者がいて、スキルや魔法など全て覚えられる訳もないので、役割りに見合ったものを身につける。

 

 単に探索という場合は、調査を指す。戦闘も攻略も何もその延長上だ。

まだ初回だけど、せっかくの訓練なのでチームを組んで霊洞探索の感覚を掴むのもいいだろう。


 結構な人数が戦闘訓練を始めているので、何も彼らに合わせる事もない。

選べる霊洞には限りもある事だし、今のうちにさっさと霊洞に入った方がいいと考える。


「俺はいいと思うぜ、昨日の実習もいい感じだったし、案外このチーム上手くいきそうだ」


「アタシも賛成!ヴァーチャルだけど、実際の霊洞ってどんなのか見てみたいし」


 擬似探索は実際の霊洞をデータ化して再現しているので、リアルな感覚を掴みやすい。

調査が終わった、あるいは終わりかけの霊洞がここで探索できる。


「ア、私も……みんなと一緒、がいいです」


 なんか鳴瀬さん、みんなといる時は喋りが固いな。

俺と話してる時は全然普通なんだけどなあ……ん?……俺とはふつう……オレだけトクベツ?


 え、あ、いや……くそ、タツが変な事言うからなんか意識してしまう。

そう、確かに可愛い、鳴瀬さんはカワイイのだ。

……でもヨミだって可愛いよな……お?アレおかしいぞ、何だコレ。

二人の顔がまともに見れない。

なんか暑くなってきた……は⁉︎まさかコレが……そうなのか、恋というヤツなのか?


 いやいや、だとしても何で二人なんだよ。

え、何俺ってば仲良くなったのが可愛い子だとこんな簡単に恋しちゃうの?

え、ちょろくない?って言うか節操がないにもほどがある。

二人同時にってホントに?いやまさかコレ違うだろ。


「どしたの?藤堂君顔赤いよ?」


 ぬお、ヨミのドアップ!

あんまり近づかないほうがいいぞ、俺がヤバい。

と言うかおい、ヴァーチャル!顔の赤さまで再現するんじゃない。

おいタツ、何を面白そうな顔してる!お前のせいだぞ。


「藤堂君、具合悪いの?」


 あ、ヤメテ鳴瀬さん、優しくしちゃダメ。


「いや、そのなんて言うか……」


「何だよ〜ハル〜。お前そんなにトイレ行きてえのか」


 何を……あ、でも考えたらそうだよな。トイレどうすんだ?

先生呼んで一回ヴァーチャル空間から出るのかな。


「何々〜、我慢はいけないなハル〜。あ、アタシもハルって呼んでいい?」


 タツが急にハル呼びしたと思ったらヨミも乗ってきたな。


「構わないよ、よかったら鳴瀬さんもそう呼んでくれ」


「あ、じゃ、じゃあアタシのことも何か……ニックネームとか」


「じゃあナルって呼んでいい?」


「う、うん!」


 いやー、平和な会話だ……擬似訓練中とは思えない。

まあそれはそれとして……。


「先生ー、トイレ行っていいですかー!」


 流石にトイレを断りはしないだろう、タツなかなかやるじゃないか。

取り敢えず一回脱出だ。


 ふう、危ないとこだった……くそう、何だこの緊張感は。

何とか脱出できたから、本当にトイレでも行ってちょっと落ち着こう。


『どうしたハルキよ、心拍数が高いではないか』


『アッちゃんどうしよう、二人の女子が急に気になってきたんだ……俺ってこんな気の多いヤツだったっけ……タスケテ』


『何を助ければ良いのか分からんが、良いではないか、お前はそう言う事がしたかったのではないのか?』


 むう、確かにそう言った……けど。

こんなにドギマギするもんなの?ずっとセナとカナタとしか遊んでなかったから、こんなの初めてだ……いやセナは今は女の子だけど。

向こうの世界じゃそんなの無縁だったし、それどころじゃ無かったし。


『一体何があった、我にはヴァーチャル内での事は分からぬ』


『いや実はさ…………』


『ふむなるほど、我には何ともできんな。別に良いではないか、何人好きになろうとも、それぞれに誠実に向き合えば良い……ルキウスとはそんな男だっただろう』


 そうだったっけ……自覚は無いけどアッちゃんがそう言うならそうなんだろう。

うん、そうだな。

それぞれに、か……ドキドキはどうしようもないにしても、相手がどうなのかってのもどうしようもないけど、少なくとも自分は、自分の心には素直に従うか。


 何が素直な気持ちかも分かんないかもだけど。



「あ、戻ってきたー」


 擬似訓練に戻るとヨミが手を振ってくる。

そういやみんなはトイレ平気なのかな?聞くのはデリカシーが足らんか?


おっし、霊洞は選んどいたから早速入ろうぜ」


 タツが待ちくたびれた感も出さずにそう言うと、霊洞の入り口に向かい出す。

気持ちに気づかせてくれたって事でタツには感謝しておくか。


「あ、宝箱だ!」


 霊洞に入って割とすぐにヨミが宝箱を見つける。

確かに霊洞課題でも見かけたし、駅前霊洞にも宝箱はあった。が、今思えば皆が堕ちた所は多分ボス部屋だ。

一角虎はそこに向かっていたのだろう……ボスはボス部屋に湧く訳じゃないのか?

そして方向的に宝箱はその奥にあった。


 つまり、こんな近場にある宝箱など罠の可能性が高い。

まあ本物でも宝なんてないんだけど。


「わー、何が入ってるんだろう」


「おいバカやめろ」


 宝箱を開けたと同時に矢が飛び出す。

すんでのところでヨミの襟首を掴んで引いて、矢は躱せた。


「霊洞は甘くない、宝箱を見つけても喜ぶ前にまずは疑った方がいい」


 などと偉そうに言うが、俺の場合はセトちゃんが教えてくれるので安心して開けられるってだけだ。

霊洞課題でも三回ほど宝箱を見かけたが、全て罠だったので素通りした。

誰だよ仕掛けてんの。


今日も何とか更新できました。

みなさん今回も読んで下さってありがとうございます。

応援よろしくお願いします。

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