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町で魔石を売ろう

今回のボスは前回ほどの迫力は無かった。

前回のが鳴瀬さんの溢流魔力が原因だとすると、今回は薬が効いてきたと言う事なのか。 

けど道中のエンカウントは前回同様多かった様に思うし、魔物の形態にも影響を与えているのは間違いなさそうだ。


 そして、渡した薬は人工霊洞の魔力と鳴瀬さんの魔力との差で体に悪影響を与えない様に、人工霊洞製の魔石を使って鳴瀬さんの体内魔力をあらかじめ調整しておく為のものだ。


 つまり溢流いつりゅう自体を防ぐ作用はない。それなのにボスの強化が為されていないのは……鳴瀬さんの魔力が霊洞の魔力に近くなっている、じゃあ純正の鳴瀬さん魔力が魔物強化に繋がっている……前回チームはガミ、サジ、沙河楽君。

今回よりも単純火力は上だから気づかなかったけど、前回は今回より道中魔物が強かったのか?


「おい、聞いているのか藤堂 玻琉綺!」


 おっと、いつの間にか全員集合しているのか。


「ごめん、聞いてなかった。何の話?」


「貴様……まあいい、トップだからと言い気にならない事だな」


「ゴメンな藤堂、トップおめでとうさすがだな。って言ってんだ〜」


 いや……好意的に捉えてもそうはならんだろ。

精々“トップを取られて悔しいけど油断してると追い抜くぞ気を抜くなよ”ってとこか?……ありがとうサジ。


 ってトップでゴールだったのか、聞いてなかった。

そう言えばチームのメンバーが喜んでるな。輪に入り損ねたか。

あ、気づかれた……俺も輪に入れてもらった。みんな優しい。


「やっぱ藤堂が今日のMVPだよなぁ」


「意義なし」 「アタシも」


「それはアタッカーのものだろ、鳴瀬さんの雷撃とか」


「アレも凄かったけど、あのプロボからの引き付けだろ、全ては」


「ホント、あの盾に食い込ませて動き止めるとか、狙ってたんでしょ」


「あ、アタシ、のは……みんな、が動き、止めてくれた……から」


 うーんみんな謙虚だなぁ……アレ、そう言えばガミは?

ちょっと照れながら辺りを見渡す。いた、ガミが三人の女子と話してる。


「みんなすまない、俺の力不足で」


「そんな事ない」 「剣ヶ峰君はみんなを守ってくれたんでしょ」 「そうだよ元気出して」


 なーんてのが聞こえてきた。何だモテてんじゃん、あの感じだとなんか失敗でもしたのかな……でもモテてんじゃん。


「おい、どうした藤堂」


「いや何でもない。それよりトップとかMVPって何かあるのか?」


「いや何もないぜ、勝手にこっちで言ってるだけだ」


 ないのかよ、じゃあ別にMVPでもいいや。


「ただ魔石が結構あるし割り切れないから、MVPが多めに貰うって話」


 あるんじゃん、まあここの魔石ぐらいなら特に騒ぐほどでもないしな。


「そう言う事ならありがたく頂戴するよ」


「そんでよ、放課後町に魔石売りにいかねえ?」


 お、興味深い、町にはあれ以来行ってないし、今ならデバイスもある。


「あ、いいね前回のと合わせてアタシも売りたい」


「ご、ゴメン、アタシこれから病院い、行かないと」


 そうか、鳴瀬さんはそうだよな。


「じゃあ病院まで一緒に行こ……って結構遠いんだっけ?」


 ヨミは病院に行った事は無いはずだけど、遠いと言う事は知ってるんだ。

車で15分くらいかかったから、確かに歩きじゃ遠いな。


「う、うん。でも……学校から、バスで行くから」


 バス、あるんだ……全く気付かなかった。


 結局ヨミとタツとの三人で町に行く事になった。

最後に寺井先生のありがたい訓示を聞いて授業終了となり、そのまま放課後となった。


「アタシ町に行くの初めて」


「おお、オレもだ、まだ町行っても買い物あんま出来るほど金、ってかビース無いしな」


「だよねー、ごはんなんかは寮の食堂で食べちゃうから、あんまし行く機会無いよね」


 二人とも街へは初めての様だけど、俺もあんま変わんない。

10分くらいぶらついた程度で帰っちゃったし。


「わ、結構凄い」 「おお、ちゃんと町じゃん」


 二人とも俺と同じ感想だ。

しばらく歩くと同じ制服の集団が出入りする店があった。


「あれがミッカド商会じゃないか」


 前にボス素材を町売りするなと言われた時に店の名前を聞いた。

今日はそこへ行く旨を二人に伝えていた。


「あそこがそうなんだ、人いっぱい居るね」


 多分だけどね、でもあってると思う。セトちゃんが説明してくれてる


《ミッカド商会:霊洞素材産業においてミスリル化合金属であるミス化カドミウムと導水酸化ニッケルによる大容量、大出力の小型電池を主軸に成長した企業の直営小売店 ミスリル、ニッケル、カドミウムを取ってミッカドコーポレーションと命名 商会においては霊洞素材の買取も行なっている》


 との事だ。カドミウムって……ミスリル化合物になって毒性が消えたとかなのか?確か有名な公害の主物質だよな。

でも販売しているのなら大丈夫なんだろう。


「うう、なんかこれぽっちの魔石売りに行きにくいな」


「そうね……なんか笑われそう」


「なら俺が行ってくる」


 一纏めにした方が数量的に格好がつくだろう。

そう思って二人から魔石を預かり、買取の列に並んだ。


「邪魔だ、どけ」


 普通に並んでいただけなのに邪魔者扱いされた。

普通に横入りしてくる神経が信じられないが、校章を見るに同じ一年の様だ。

周りは上級生が多いので、同じ一年の俺の前に割り込んだのだろう、小さい奴だな。

俺の後ろに上級生も並んでいるの分かってんのかな。


「お前が邪魔だ、失せろ」


 ちょっと高圧的にいって、手で押し除ける。こう言うやつに下手したてに出た所で何も変わらない。

まあ、これじゃ喧嘩売ってるみたいなので問題が無いわけじゃないが、上級生もいる店の中で揉め事は起こしにくいだろう。

店出てからは分からないが、二人には迷惑かけたくないな。


「な、何だと貴様……俺を誰だと」


 サジみたい。コイツも貴族かな?面汚しもいいとこだろ


「知らねえ、早く消えろ」


 周りがちょっとざわつき出す。横入り貴族は少し居心地の悪そうな顔をした後俺を睨みつけ、


「貴様……顔は覚えた。覚悟しておくんだな」


 そう言って店を出ていく。何しに来たんだ?

お供もいないし貴族ではないのかも。横柄な奴は貴族って決めつけは良くないな。

サジに似てるってだけだ。


 何にせよこの場はしのげた様だ。

少々の好奇の目に晒されながらも順番が回って来たので魔石を出し、注目されてちょっと恥ずかしいので誤魔化す様に持っている素材で売れそうなものをこっそり呟き一つ出す。


「ふうむ、レベル2のおつ魔石が20 に……これは凄い、スプリングシェルの甲殻か……ちょっと待っててね」


 そう言って店員さんが一度奥に引っ込む。

周りの先輩達もさっきとは別のざわめきを出す。


「お待たせ、えー魔石が全部で2千ビースで甲殻が一つで3万ビースになるね」


 た、高い……え、3万?これって1ビース1円換算だよね。

嘘、3万円で売れたって事?しかも学院内って買い叩かれてる金額じゃなかったっけ。いや魔石100円かよ。


「毎度、またいいの期待してるよ」


 ジロジロと見られながら店を出る。カツアゲとかされないかな。

エリート学校でそんなの無いよね。


「あ、どうだった!」 「いくらで売れた?」


 なんか期待してるな。言いづらい。


「魔石は一個100円だ、全部で2千円だな。人工霊洞のは質が悪みたいだな」


 おつ魔石って言ってたって事はこうもあるって事だ。


「えーそんなもんなんだ」 「まあ授業で手に入れたモンだしそんなモンか」


「折角だから何処かでお茶しないか、奢るよ」


 あの素材は内緒の課題で手に入れた物だし、そもそも霊洞にはまだ入れない事になってるから持ってるのはおかしい、コレを売った事は言えない。

せめて奢らせてくれ。


 あー眠い……昨晩もセトちゃんの眠れない睡眠学習で寝不足だ。

毎日これじゃ身が持たないって言うか身についてるかコレ?

魔導呪言語もなかなか覚えられないし……。


 そう言えば昨日の横入り野郎はなんかしてくんのかな?

クラスに迷惑がかからないといいけど……折角嫌われてはなさそうだったのに、迷惑かけたくないな。


 昇降口に向かう途中で数人の男達がたむろしているのが目についた。

あ、やな予感がします。


「あ、貴様あ‼︎」


 やっぱり昨日の横入り。


「ら、羅豪らごうさん、アイツです、この俺に因縁つけて来たのは」


 それはお前だろ。まあ確かに物言いは良くはなかったけど。


「ほう、なるほどな」


「この方はなあ、羅豪(らごう 慧斗(けいと様だ!貴様の様な底辺の平民とは高貴さが違う、おののき震えやがれ」


 羅豪君ね、やっぱり知らないけどこの横入りは、ナントカの威を借るって奴か。


「貴様はその羅豪様の一の家来であるこの佐藤さとう 俊朗としろう様に手を出したのだ、ただでは済まされんぞ!」


 家来って威張るもんなのか。まあよほど偉い人の家来なら誇りに思うのもいいだろうけど、誇るなら言動には気をつけろよ。あと手出してないし。


「トシ……」


「はい、羅豪様」


 羅豪君がトシと呼ばれた隣に立つ横入りに裏拳を入れた。


「ふぎい!」


 変な声を出すトシと呼ばれた横入り。


「勝手に話を進めるな……さて、貴公は藤堂だな」


 貴公ときた。名前にそぐわぬ物腰だ、容姿も整ってスラッとしてるし横入りの親玉とは思えない。


「俺を知っているのか」


「ああ、有名だからな……さて、うちの者が失礼した。僕は羅豪らごう 慧斗けいと、探索科一年の二組に所属している」


 二組って貴族クラスっぽいとこだったな。

家来とか言ってる奴がいるくらいだし、この人も貴族なのか。


「総代サマのお手並みを今度じっく見てみたいものだな、では」


 ……そう言い残して羅豪君は手下を引き連れて校舎へ入って行った。

何て言い残して?総代って言ったか?言ったな、確かに言った。

この前の兵藤院先輩の言ってたことってまさか……。

作中の買い叩くと言う表現ですが、店側は学院に売り上げの一部を出店代として払うため、買い取り金額をその分下げています。学内通貨制は生徒に税負担をさせないためで、生徒はきちんと恩恵を受けています。

また、ものによっては高額になるので学生に大金を与えない様に買取り上限や制限があり、そう言ったものは直接学院に納めて幾らかのビースと内申店に加算される様になってます。

つまりハルキの内申点は凄い事になっているでしょう。


今日で毎日投稿3週間になります。

よくぞ続いたと自分でも思います、皆さんに読んでもらってるおかげです。

いつも読んで頂きありがとうございます。

まだまだ頑張りますので、応援よろしくお願いします。

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