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何で悪く言ったの?

今日は霊洞関係で授業は終わりだ。入学二日目を丸々これに費やすとはさすがダンジョン高と言われるだけはある。


 明日からの授業で楽しみなのは魔法の授業だ。向こうで使えた魔法はこっちにも大体ある様だけど、今の俺は一切使えない状態だ。

どうも発動作法が向こうとこっちで違いがあるので一から学び直す必要があるとはアッちゃんの言だ。


 それからスキルと言う単なる技術と言う意味ではなく、魔法的な要素を多分に含んだ特殊技能と言うか、ある種必殺技と言うか、魔法とはまた違う作法によって発動する魔法とは呼ばれない魔法の様なものがある。向こうにもあったけど。

そのスキル習得に必要なのが経験値と呼ばれるものだ。


 それぞれ必要な訓練をしつつ、経験値がそのスキルの習得に必要充分な値に達すると唐突に自分の中に『あ、このスキルが使える』と言った具合に生えてくる。

ここの体育では運動系スキル習得のための訓練が授業内容となるので、各自やる事が別だ。疑問は都度教師に聞く事になるので担当は三人ほどが付くらしい。

この授業も楽しみだ。


 そのほかドロップや素材など霊洞資源に関する霊源工学や、魔力の応用を学ぶ応用魔導理学、魔導化合物を取り扱う魔導化学など面白そうな科目は多い。


 ま、探索科ではやらないんだけどね。

せっかくこう言う学校に来たのだから受けてみたいよなあ。

何せ勉強は一人で出来るからな……ふう。


 何だか悲しくなって来た。

おかしい、俺が何をした?人工霊洞でボスを倒しただけじゃないか。

それともナンパとかしちゃったからお調子者の尻軽野郎とか思われた?

もしくは俺の言動がみんなの癇に障ったのか?それとも俺の顔が怖かったか?生理的に無理とかか?普通に嫌われてるだけとか……ヘコむわぁ。


 今俺は部屋で一人悶々と反省会をしている。

授業云々はただの現実逃避兼未来予想図だ。見える見えるぞ一人図書館で辞典片手に魔法陣を黙々と描き綴る俺の姿が、暗黒の学院生活を送る俺の未来が見える。


『そろそろその愚痴だか悲観だか自虐だかをやめんか?我まで悲しい気がしてくるぞ』


『だってアッちゃん、俺は楽しい学校生活、延いては輝く青春を送りたくて戻って来たんだよ?友達無しのボッチ生活の為じゃないんだよ、俺は……何を間違えたんだ』


『うーむ、我には理解しにくいが、ハルキの言動が原因の一端だとすれば、それは無理からん事だがな』


『どう言う事?俺の何がダメなのさ』


『ハルキよ、お前が自分では気付いて無いだろう事を伝えよう』


『な、何さ』


『お前は以前我と共に神の座に在り、地上に生きる者たちを時に守り時に導き、時には粛清もした』


 う、まあ、ハイ。したな、別に好き好んででは無いけど、確かに相当数の命を奪った事実には違いない、言い訳はしない。


『今のお前は人間だが、精神性はその時のものを引き摺っておる。それがいびつな人格をお前にもたらしておるのだ』


『歪って、俺が?俺は前から俺のままだよ』


『そう思っておるだけだ、万を超える永き時の旅路にお前の視点は地上を生きる者の其れではなくなってしまった。上から目線どころか天から目線と言うか、天も次元も突破してと言うか、しかしながら神視点と言うわけでもない。』


『俺の精神が化け物だから、人間の友達は出来ないっての?』


『簡単に言ってしまえばそうなる。ただの人間だったお前に化け物が混ざったのだ、言い方は悪いがな。それは力にも心にも表れる、もっと悪く言えば化け物が中途半端に人のかたちを取り人の心を持ち、人の世に擦り寄って来たのだ、それは気持ち悪がられもしよう』


『何でもっと悪く言ったのさ』


『なあに、お前が何時迄も愚痴愚痴と思い悩んでおったのでな、いい加減鬱陶しくなった、もとい吹っ切れてもらって元気になって欲しかったのだよ』


『鬱陶しいかあ……そうだね、アッちゃんには割と俺の心情ダダ漏れっぽいし、ずっとこんなの聞かされたら嫌んなるよな』


『すまんな、口が過ぎたわ』


『いや、お陰で方向性が決まった。ありがとうアッちゃん』


 そうだ、俺の言動が周りの癇に障ると言うなら、無口キャラで行こう!

もう俺は喋らん、まあ挨拶ぐらいはしようかな、あと返事ぐらいは無口カテゴリーから外して良いよな。

それ以外は喋らん……俺からは。いや、それもやめておこう。


 ようし、明日からは新生藤堂 玻琉綺だ!

見てろよみんな、明日から俺の事なんて気にもしなくて大丈夫な様にしてやる。

居るのか居ないのかもわかんない様にしてやるぜ……何かおかしいな。

輝く青春どこ行った?俺は今何処を向いている?アッちゃんに誘導された?

もういいや、何かわかんなくなって来たし今日は早いけども寝よう。


『ふ、ハルキの友は我だけでいいのに』


 寝入る間際にそんな空耳が聞こえた。 


 翌朝、俺は時間調整をしながら教室に向かっている。

あまり早く行くと、俺の席はど真ん中なので目立つ。皆を不快にさせてしまう。

かと言って遅いのも目立つ、みんなが一番多く教室に来るのはおそらくホームルームの15分前くらいだろうか?その直後の十三分前辺りを狙っての登校だ。

まあ、どの道普通に気づくだろうが。


 ふと、隣のクラスが目に入った。E -9だ

別にクラスは成績順と言うわけでもないらしいが、1組と2組は貴族や海外留学組が多数を占める特選クラスだ、優秀かどうかは考慮されていない。

この学校に入れる時点で優秀ではあるんだけどな、俺以外。


 つまりこの9組もうちと何ら変わらないクラスという事だ。

なのに何故か入り口に結構な数のひとが固まって中を覗いている。

誰か有名人でもいるのか?


「おおスッゲー本物だ」 「稲城いなぎさん」 「まれなちゃん」


 主に男子だ。稲城 まれな、ねえ。知らない名前だ。

本物だとか言うぐらいだからそれなりに有名人なんだろうけど。

後でクラスの誰かに聞い……いや、俺は喋らん……とまではいかなくても無口キャラでいくのだ、無駄口を叩いてはいけない。


 人混みの隙間からちょっとだけ見えた彼女は呆れた感じでこちらも向かずに手をひらひらさせていた。


 クラスに入ると一瞬視線が集まる。が、どうと言うこともなくみんな普通に戻る。

まあそうだよな、教室に入ったぐらいで苦情を言われる事はない。

席に行くと隣の鳴瀬さんはもう席に着いていた。


「……おはよう」


「あ、藤堂君おはよう」


 くっ、こんな俺にも鳴瀬さんは笑顔で挨拶を返してくれる。優しい好き。


 それが俺の最後の言葉だった。……もちろん今日のと言う意味だ。

帰りの挨拶は出来なかった。午後の授業に彼女は来ず、そのまま終業となったのだ。どうしたのだろう、急病かな?心配だ。


 次の日も鳴瀬さんは休みだった。当然俺はまだ言葉を発してない。

一応ノートは綺麗に取っておく。たとえ無口でもそのくらいの気遣いはいいだろう、まだ授業も初めの段階だ、スタートは大事だ。


 そのまま放課後となった。何か風邪とかならいいけど、酷い病気とかだと心配だ。


「藤堂はまだいるか?」


 鴫ヶ谷先生が放課後の教室に入って来るなり俺を見つける。

鴫ヶしぎがや 琢也たくや、俺は密かにギガトンと呼んでいる。

俺が先生に向き直ると、


「お前に客だ、応接室に来て欲しいが頼めるか?」


 俺に客?誰だろうか、学院に訪ねてくる様な人に心当たりはない。

まあやる事もないしいいか、個人的に霊洞探索出来る様になるのは来月だしな。

審査はあるしチーム推奨だけど、ボッ……ソロ探索も認められれば大丈夫らしい。

その為には実習などで結果を出さなきゃならないけど、チームが組めないの困るなあ。


 ともあれ今日はそのお客さんとやらをお出迎えしよう。

いい調子で進められています、このまま止まらず行きたいですね。

文章考えて書くのは楽しい。


前回高評価してくださった方、ブックマークしてくださった方、イイネしてくれた方。

ありがとうございます。非常に嬉しいです。

このまま続けても大丈夫なんだと自信が持てました。

その方達のためにも、読んで下さるみなさんの期待に応えるためにも頑張ります。

どうか応援よろしくお願いします。

今日も読んで頂きありがとうございます。

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