重なる残響
壊れた世界
眩しすぎる光
照らされたのは
誰かのために強くあろうとした人
子供でいられない世界で、子供でいようとした人
強さが問われる世界で
それでもやさしさを捨てなかった
手に入れたのは
ただの鋼じゃなくて
こころの重みで、歩く何か
変わってゆくために
重ねた翼
形を変えるって
少しだけ、勇気がいる
見慣れたものを壊して
その先に、何を描けるかなんて
ほんとは誰にもわからないのに
でも、彼は進んだ
重なった翼
わかれて、合わさって
それでも揺らがない芯があって
強いってことは
きっと痛みを知ってるってこと
世界は、簡単にはほどけない
守ろうとしても
奪われるものはあって
笑いながら、泣く人もいる
彼のそばにいたのは
年齢より大人びた目をした子たち
誰もが、なにかを背負っていて
それでも手を伸ばした
届くかどうかもわからない場所へ
戦いは続いて
形を変えた鋼は
正しさだけじゃ測れなかった
それでも立ち向かうたびに
一つずつ、強さを重ねていった
それが、誰かのためならって
そんな風に、思えたんだと思う
すべてを守れるわけじゃなくて
でも、それでも、手を伸ばしたのは
後悔を抱えたままじゃ
前には進めなかったから
戦いの先にあったのは
勝利じゃなくて
帰る場所をつくることだったんだと思う
誰かの涙も、誰かの笑顔も
ぜんぶ連れて、立ち止まらずに進んでいくこと
変わりつづけるその姿は
もう鋼なんかじゃなかった
意思を持った祈りのようで
それは、光になって
夜の空を、まっすぐ貫いた
壊れた世界
空だけは変わらない
変わらない空の外へ進んで行く
まっすぐに立ち止まらないで