表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/58

幕間 決意した王子




 王宮で開かれたパーティー。愛しの令嬢と参加していた俺は貴族どもから注目を受け、ヒソヒソと噂をされていた。


「セドリック様は、あの男爵令嬢とパートナーだそうだ」

「リディア様を理不尽に婚約破棄したって話なのに、あの男爵令嬢も図々しいわねぇ」

「婚約破棄されたリディア様は、辺境の地で成功を収めてるとか。セドリック様は、デカい魚を逃しましたなぁ」


 クスクスと笑い声が響く。リディアと婚約破棄したばかりの頃は、彼女を批判する声ばかりだった。しかし、少し前から俺を批判し、リディアを称賛するような声が増えてきていた。


「リディア様の開発されたドライヤーが便利らしくて……」

「最近のトレンドはユードレイスの“お風呂”というものらしいわ。スミス夫人から聞いたの」

「もしかしたら、リディア様は新しい事業を始めるために、セドリック様からの婚約破棄を受け入れたのかもしれないわね」


 どいつもこいつもリディア、リディア、リディアとうるさい。

 辺境の地で冷遇されて泣いてると思ったのに、目立ちやがって……婚約破棄してもなお、あいつは目障りだ。


 きっと、急にあいつが称賛されるようになったのは、裏であいつの父親が手を引いているに違いない。ムカつく男だ。あの男は、リディアと婚約をしていた当時から、いつも俺に苦言を呈していたのだから。


 俺の愛しの女は、俺の隣で困ったような顔をしている。彼女が可哀想だとは思わないのか。



⭐︎⭐︎⭐︎



「クソッ! 本当にあの性悪女、無駄に活躍しやがって!」


 パーティーが終わり、自室に戻った俺は舌打ちをする。そんな俺の様子を見ていた愛しの女は、不安そうな声で俺に訴えかけてきた。


「セドリック様。私は本当にセドリック様と結婚できるのでしょうか?」

「……」


 リディアとよりを戻さなければ、彼女を側妃にすることは許されていない。

 しかし、現状、リディアが辺境の地から王都に戻って来る可能性は低いだろう。


 リディアとよりを戻すには、彼女を説得するしかない。


「よし。俺は辺境の地までリディアを迎えに行くことにする。リディアを正妃にすれば、君と結婚できるし、うるさい貴族どもも黙るだろう」

「え?」


 今、リディアが称賛されているのは、辺境の地で商売をしているからだ。それをやめさせれば、その評価も覆るに違いない。


「だから、君は待っていてくれ」

「は、はい……」

「任せてくれ!」


 俺は絶対に金髪美少女と結婚をすると決めていたんだ。……かつて俺の目の前に現れたあの子のような金髪美少女と。


 そのためにも、まずはリディアに話しに行こう。


 リディアだって俺が迎えに来たと知れば、泣いて喜ぶに違いない。だって、今の俺と結婚すれば確実に正妃になれるのだから。


 こうして俺はリディアを迎えに行く準備を始めた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ