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イルカの笛

宅急便のお荷物でーす。


「はーい。サインでいいですかー?」


「いえ。あなたのお命頂戴します。


「え。。」


サキのお腹に鈍い音がした。

「ドスっ」


「え。。。?あ、、あんた、、ミキじゃない?」


「バレたー??あははーー!冗談よ驚いた?」

帽子を脱いだそこには、サキの幼友達のミキがいた。

「みーーちゃん!!久しぶりいいいーー!!!」

サキはミキに思い切りハグした。

ミキは人間だ。幼馴染といっても、サキがそう言っているだけで、

実際は人間になってからの初めての友達なのだ。

だからサキにとっては幼馴染みらしい。

「どしたのよー。大丈夫だったー?」

ミキは隣県の港町出身だった。

大学を出て、フラフラしていた時、島の海に魅せられて、

島々水族館のイルカの世話をしていた。


「いやー。水族館大変でねー。ジンベイザメ駄目だったし。。

サキ大丈夫かなーって、様子見に来たのよ。」


「あんたの方が大変でしょー。さあ、はいりなよ!」


「おっ邪魔しまーす。」

ミキは赤毛のショートで妹気質な感じで明るい子だ。

太一も面識があった。

サキとは天然同士で、気が合った。


「でも無事でよかったよーう。知り合いみんな大変でさー。


「そうだよねー。北の方はもっとひどいよねー。」


「あんたたちに良いものもってきたよ。」

ミキはそういって、担いでいたリュックを開けた。

「ほら。これ。探してたもの。」


ミキが取り出したのは

見たこのとない古い木の笛だった。

サキはミキにその笛を探していると伝えていた。

ミキの実家は漁師の家で、昔からイルカと縁があった。

ミキの先祖が残して行ったものだったが

誰も使わず、倉の中にしまってあった。

サキは海で泳ぐ時、イルカとコミュケーションをとりたかったが、

アルミの笛だとなぜかサキの耳に合わず、鼓膜が破けそうになるので

柔らかい音の出る笛を探していたのだ。


「ミキー。ありがとー。こんな時に、大事なもの持ってきてくれるなんて。

「いやーついでだからさー。うちも断水してて、持ってくるものなかったしー。

2人は抱擁した。


太一がその古ぼけた笛を見せてもらうと、

表面には貝の絵柄が彫られており、

形はラッパのように湾曲しており、

音が出るだろうと思われる先端の穴は2つに分かれていた。


「これ、なんのために使ってたんだろうね。」


ミキが答えた。

「おばあちゃんから聞いたけど、昔はこれを漁に使ってたらしいよ。

イルカ追いって言うらしくて、定置網に迷い込ませるために、イルカが魚を

追いかけるようにこの笛で操作してたらしいわ。でもうちの家族も

おばあちゃんも誰も吹けないのよ。」


「へー。そうなんだーー!!!!」

好奇心旺盛なサキがまた目をキラキラさせている。

「ちょっと吹いてみなよ。あたし何回も試したんだけどだめで。。」


うん。太一、貸して。」

「いや、まず俺が試す」

「やりたいんかーーいw」


太一はおもむろに笛に口をつけて思い切り息をはいた。

が、笛は、うんともすんとも言わない。


「だめだねー。貸してってばー」


次はサキが吹いてみる。太一と同じように息を吹きかけた。

その瞬間、なんと、貝の装飾が青く光った!

そのままサキは息を吹きかける。


「キューーーーーー」

「鳴った!!」ミキと太一が驚く。

その音はまさにイルカの鳴き声のようだった。

すると、サキの金色の髪が風でなびいた。


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