刺されるパターン
地震で破壊された島の状況はひどく、
太一は持って行った水や食料などを置いてきたことを思い出す。
じゅん、権田も大変だろう。
だが、彼らを巻き込むわけにはいかない。
こんな事情を話せるはずもなく。
サキを襲ったあの巨大な鳥の足は
悪魔なのだろうか。
海の中ならサキの仲間がいたとして、戦えるかもしれないが、
陸上となると、味方は誰もいないし
政府に言っても信じてもらえない。
そもそも能登は大惨事で、みんなそれどころじゃない。
まさに災害と戦っているのだ。
権田もじゅんも村おこし協力隊だったはず。。
いやいや、だめだ。
人間に太刀打ちできる相手じゃない。
どうすれば。。
「太一!インスタにメッセきたよ!」
サキが呼んだ
そのメッセージにはこう書いてあった。
「あたし、人魚から人間なりました。
でも、不幸せです。あなた方とは関わりたくありません。」
その二行だけだった。
不幸せ。。
いや。。他にもいたと言う驚きよりも、
不幸せが気になった2人。。
「不幸せって。。これほんとかな。。怪しくない?
ほら、最近人魚のコスプレとか流行ってんじゃん?
そのたぐいじゃない?人魚で検索したら出てきた的な。
あはは。。」
「でもどちらにしても残念だな。。」
太一が言った。
「あ。またきたよ。」
「うん?」
「違う人からのメッセージだな。えーと。なになに。。」
「今日の夜、港でまつ。。。カゲロウより」
2人は目が点に。。
「いやいや。やっぱだめだよ。サキ。こんなイタズラメッセージしか来ないよ。」
「そっかなあ。」
ピンポーーーン。
アパートのチャイムが鳴った。
「お。たいちぃ。もしかしてもしかしてー。人魚がいきなり尋ねてきたりしてーー!!」
サキは子供のようにはしゃいで、玄関に向かう。
覗き穴から外を見たサキ。
「なーんだ。宅急便かあ。はーーい。今開けますねー。」
サキは太一に振り返り、小声で
「この後、刺されるパターン?」とウインクした。




