人魚の切ない運命
2020年ーー
太一とサキは金庫の鍵を開けた。
そこには古い写真が入っていた。
ペニーの家族のものだ。
いとこも映っていた。
最後のページはペニーが一人暮らしをしているところだ。
三脚で自分で撮ったのか、畑をするシーンや料理をするシーン。
自給自足の生活が綴られていた。
アルバムの1番後ろのポケットに、古いモノクロ写真が差し込んであった。
2人はそれを見て驚く。
人魚の姿をしたアニーと、子供のペニーが人魚岩の前で笑っていた。
それだけではない。
高校生のアニーと、ペニーのデートの様子も写真に残してあった。
2人は自分達のようだと思った。
ペニーは自分とアニーの間に子供ができたことも知らなかった。
しかし、そこにはアニーが赤ん坊を抱いて、写っている写真があった。
アニーは赤ちゃんを王に授ける前、記念に残しておいたのだ。
そしてそれは、金庫の中にしまわれ、手紙と一緒に保管されていたのだ。
ペニーは未来でそれを見た。赤ん坊の存在、アニーが過去に行ったこと。
ペニーは全てを知っていた。
なぜならアニーは日記も残していた。
全てはそこにつづられていた。
「ペニーは辛かったろうね。。」
アニーには会えないし、赤ちゃんにも会えなかったのかな。。
サキはその場を離れて、海を見ながら泣いていた。
「大丈夫?」
サキは何か不思議な感覚にとらわれていた。
自分の肩にある人魚の印のあざ。
それと同じものがアニーの写真にも写っていた。
確かにイルカのアザは人魚の印。でも、それができる場所が同じと言うのは
家族以外にあり得ないからだった。
サキは太一の方を振り返る。
「太一。。わたし。。どこから来たのかな。。。」




