運命の人。
「ずっと待ってたよ、」
ペニーは時が止まったように頭が真っ白になった。
と、。同時に胸のドキドキがおさまらなかった。
子供の頃のあの時と同じ感覚だった。
アニーのキスは潮の香りがした。
「ま、、まさか。。あの時の。。」
「んふふ。青い石は無くしてないでしょうね?」
ペニーは確信した。青い石のことは誰も知らない。
でもなんで人間の、、しかもセーラー服なのか。。
「ゆっくり説明するわ。」
アニーはペニーの手を取って、浜辺へ向かった。
2人は誰もいない春の浜辺の流木の上に座って話した。
アニーが言うには人魚が人間になる時は、人間が人魚に恋をしてしまう時だという。
そして、その想いは深い海の世界まで届き、人間が18歳の青年になった時、
満月の夜に選ばれた人魚は陸に導かれる。
あの青い石は、その道標の役割があると。
その石の周りでは、偶然が重なり、引き寄せ合うように運命が動き出す。
ペニーは急に恥ずかしくなった。あの人魚に初恋していた気持ちを自分の中に閉じ込めていたのに、
あろうことかその本人に知られてしまっていたなんて。
しかし、ペニーは夢を見ているようだった。あの憧れの人魚が自分を訪ねてきて、
そばで笑って話をしている。
「でも、アニー。君が言うことが本当だとしたら、申し訳ない。
僕のせいで人間になってしまったなんて。君はもう海で泳ぐこともできないわけだよね。。」
「違うわ。ペニー。人が愛する気持ちは特別なものよ。私はあなたの気持ちが嬉しかったの。
すごく暖かかったわ。その暖かさに触れてみたい。ずっとそう思っていたわ。
そして人間になれて、いろんなものを見ることができたわ。この素晴らしい世界。」
ペニーはずっとアニーの笑顔を見たいと感じていた。
ペニーの中にはずっとアニーがいた。忘れることはなかった。忘れたふりをしていただけだったのだ。
あの時、見た瞬間にアニーに心奪われ、ずっと憧れていた。
でもそれは叶わぬ恋だったのだ。
2人は翌日も、その翌日も、お互い導かれるように毎日愛を深めていった。
あの出来事が起こるまでは。。。




